NARUTO/サスサク 短編
Time after time〜花舞う街で〜/倉木麻衣
里のはずれにある、石畳の階段を上ったところには古ぼけたお堂がある。
そのお堂のそばには大きな桜の木があった。春になったら、きっと綺麗に咲き誇るだろう。
私はその場所を偶然見つけ、ある決意をした。
満開の桜の木の下でサスケくんにきちんと告白しよう、と。
そして、季節は廻り、春がやってきた。
私はサスケくんをこの場所へ呼び出した。
「急にごめんね、サスケくん。きてくれてありがとう」
「それより用はなんだ」
サスケくんの冷たい視線に耐えながら、私はサスケくんの目を見つめる。
「もう分かっているとは思うんだけど……私、サスケくんが好きなの。確かに最初はかっこいい見た目だったり、クールな雰囲気に惹かれたけど、いまは七班として一緒に過ごしてきて、いろんなサスケくんを知って、よりこの気持ちが確かなものになったの。だから私……サスケくんの隣にずっといたい!」
「……お前は俺に必要ない。それに弱いやつは迷惑だ」
一世一代の告白。
私の恋は桜の花びらとともに散った。
「そっか……でも私、これぐらいで諦めないから! もっと頑張ってサスケくんに釣り合うような女になるわ!」
そうは言ったものの、やはり断られるのは辛い。
私は涙を見せたくなくて、足早に立ち去ろうとしたが、段差に躓いてしまった。
「きゃっ!」
転ぼうとした瞬間、サスケくんがとっさに腕を掴んでくれたため、転倒はまぬがれた。
「ったく……何やってるんだ」
「ごめんなさい」
私が項垂れていると、サスケくんが手を差し出す。
「?」
「目の前で転ばれるのはごめんだ。仕方ないから、下まで繋いでてやる」
サスケくんは前を向いていたため表情は分からなかったが、耳が赤いのは分かった。
「……ありがとう!」
私はサスケくんの手を取る。
さっきの沈んだ気持ちはもうどっかにいってしまっていた。
サスケくんと手を繋いで歩くという、幸せな時間はあっという間で、階段の下にきてしまった。
サスケ君は私の手を離し「それじゃあな」と立ち去ろうとする。
私は「サスケくん!」と呼び止めると、サスケくんは振り返る。
「私、いまよりもっと強くなってあの場所でまたサスケくんに告白するから! そのときは、また来てくれる?」
サスケくんは返事をせず再び前を向き歩き出したが、最後の瞬間に腕をあげてくれた。
おそらく了承の意味だと、私は思う。
私は再び告白できる日を夢見ていたが、その時がくることはなかった。
サスケくんが里を抜けたのだ。
―――――――――――――――――――――
大戦終結後、サスケくんは旅に出ていってしまった。
そして、季節は春になり、私はあの古ぼけたお堂の桜の木の下にいる。
毎年こうしてきているのだ。もちろんサスケくんが来たのはあの一度っきりだったけれど……。
あいかわらず見事に桜は咲き誇っていた。
私は目を瞑り、桜を感じる。
「ここは変わらないわね」と、あの日の思い出に想い馳せると、自然と涙が頬を伝う。
「サクラ」
サスケくんの声が聞こえる。大人になり、より低くなった声色。私の好きな声。
「サクラ!」
強い口調で呼ばれ、私は目を開ける。
目の前にはサスケくんがいた。
「サスケくん……」
「この場所は変わってないな」
そう言ってサスケくんは微笑んだ。私は言葉も出せずに、ただサスケくんを見つめる。
「約束を果たしにきた」
これは夢なのだろうか。私は自分の頬を引っ張る。
「何やってるんだ」
「いや、夢かなと思って」
「はぁ……。夢なわけないだろう」
そう言ってサスケくんは私を抱き締める。
あたたかいぬくもりを感じ、私はようやく夢ではないと信じることができた。
「本当にサスケくんなんだね」
「あぁ」
「もう約束なんて忘れてるかと思った」
「確かに忘れていた……いや、思い出す暇がなかった時期はあったな」
「うふふ、そうだよね」
「お前には長い時間待たせてしまって、すまない」
「もういいの。こうして来てくれたから」
「……サクラ、あの時の言葉もう一度聞かせてくれないか?」
「……私、サスケくんが好き。この気持ちはあの頃とこれっぽっちも変わっていないわ。私ね、すごく頑張ったの。いっぱいいっぱい努力したの。それでもまだサスケくんに釣り合わないかもしれないけれど……サスケくんの隣にいさせてくれる?」
「あぁ。お前はよく頑張った、もう十分だ。こんな俺のためにありがとう。俺にはお前が必要みたいだ。俺もサクラのそばにいていいか?」
「もちろん!」
風が強く吹き、桜の花びらが舞う。
それはまるで私たちを祝福してくれるような優しい花吹雪だった。
里のはずれにある、石畳の階段を上ったところには古ぼけたお堂がある。
そのお堂のそばには大きな桜の木があった。春になったら、きっと綺麗に咲き誇るだろう。
私はその場所を偶然見つけ、ある決意をした。
満開の桜の木の下でサスケくんにきちんと告白しよう、と。
そして、季節は廻り、春がやってきた。
私はサスケくんをこの場所へ呼び出した。
「急にごめんね、サスケくん。きてくれてありがとう」
「それより用はなんだ」
サスケくんの冷たい視線に耐えながら、私はサスケくんの目を見つめる。
「もう分かっているとは思うんだけど……私、サスケくんが好きなの。確かに最初はかっこいい見た目だったり、クールな雰囲気に惹かれたけど、いまは七班として一緒に過ごしてきて、いろんなサスケくんを知って、よりこの気持ちが確かなものになったの。だから私……サスケくんの隣にずっといたい!」
「……お前は俺に必要ない。それに弱いやつは迷惑だ」
一世一代の告白。
私の恋は桜の花びらとともに散った。
「そっか……でも私、これぐらいで諦めないから! もっと頑張ってサスケくんに釣り合うような女になるわ!」
そうは言ったものの、やはり断られるのは辛い。
私は涙を見せたくなくて、足早に立ち去ろうとしたが、段差に躓いてしまった。
「きゃっ!」
転ぼうとした瞬間、サスケくんがとっさに腕を掴んでくれたため、転倒はまぬがれた。
「ったく……何やってるんだ」
「ごめんなさい」
私が項垂れていると、サスケくんが手を差し出す。
「?」
「目の前で転ばれるのはごめんだ。仕方ないから、下まで繋いでてやる」
サスケくんは前を向いていたため表情は分からなかったが、耳が赤いのは分かった。
「……ありがとう!」
私はサスケくんの手を取る。
さっきの沈んだ気持ちはもうどっかにいってしまっていた。
サスケくんと手を繋いで歩くという、幸せな時間はあっという間で、階段の下にきてしまった。
サスケ君は私の手を離し「それじゃあな」と立ち去ろうとする。
私は「サスケくん!」と呼び止めると、サスケくんは振り返る。
「私、いまよりもっと強くなってあの場所でまたサスケくんに告白するから! そのときは、また来てくれる?」
サスケくんは返事をせず再び前を向き歩き出したが、最後の瞬間に腕をあげてくれた。
おそらく了承の意味だと、私は思う。
私は再び告白できる日を夢見ていたが、その時がくることはなかった。
サスケくんが里を抜けたのだ。
―――――――――――――――――――――
大戦終結後、サスケくんは旅に出ていってしまった。
そして、季節は春になり、私はあの古ぼけたお堂の桜の木の下にいる。
毎年こうしてきているのだ。もちろんサスケくんが来たのはあの一度っきりだったけれど……。
あいかわらず見事に桜は咲き誇っていた。
私は目を瞑り、桜を感じる。
「ここは変わらないわね」と、あの日の思い出に想い馳せると、自然と涙が頬を伝う。
「サクラ」
サスケくんの声が聞こえる。大人になり、より低くなった声色。私の好きな声。
「サクラ!」
強い口調で呼ばれ、私は目を開ける。
目の前にはサスケくんがいた。
「サスケくん……」
「この場所は変わってないな」
そう言ってサスケくんは微笑んだ。私は言葉も出せずに、ただサスケくんを見つめる。
「約束を果たしにきた」
これは夢なのだろうか。私は自分の頬を引っ張る。
「何やってるんだ」
「いや、夢かなと思って」
「はぁ……。夢なわけないだろう」
そう言ってサスケくんは私を抱き締める。
あたたかいぬくもりを感じ、私はようやく夢ではないと信じることができた。
「本当にサスケくんなんだね」
「あぁ」
「もう約束なんて忘れてるかと思った」
「確かに忘れていた……いや、思い出す暇がなかった時期はあったな」
「うふふ、そうだよね」
「お前には長い時間待たせてしまって、すまない」
「もういいの。こうして来てくれたから」
「……サクラ、あの時の言葉もう一度聞かせてくれないか?」
「……私、サスケくんが好き。この気持ちはあの頃とこれっぽっちも変わっていないわ。私ね、すごく頑張ったの。いっぱいいっぱい努力したの。それでもまだサスケくんに釣り合わないかもしれないけれど……サスケくんの隣にいさせてくれる?」
「あぁ。お前はよく頑張った、もう十分だ。こんな俺のためにありがとう。俺にはお前が必要みたいだ。俺もサクラのそばにいていいか?」
「もちろん!」
風が強く吹き、桜の花びらが舞う。
それはまるで私たちを祝福してくれるような優しい花吹雪だった。
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