NARUTO/サスサク 短編
君影草~スズラン~/吉岡亜衣加
窓を叩く雨音で目が覚めた。
「今日も雨だわ……」
体を起こし、外をみるとどんよりとした雲が広がり、ザーザーと雨が降っていた。
ぼーとして見てると一匹の鷹が飛んできて、窓を叩く。
私は急いで窓を開け、鷹を中に入れるとその足についていた手紙をみる。
それはサスケくんからで、今日の夕方頃里に帰るとのことだった。
半年ぶりに会える...!
こうしちゃいられないわ、色々準備しなきゃ。
私はベッドがら降りると身支度を急いで整え、冷蔵庫の中身を確認し、買い足すものを頭に入れると、お気に入りの傘を持ち玄関を出た。
必要なものを買い終え、自宅に戻る途中に私はある光景に足を止めた。
その光景は私の胸を高鳴らせ、私はある決意をし、足早に自宅に戻った。
家に帰ると、昼食を簡単にすませ、部屋の掃除を終え、夕食の準備に取り掛かる。
「これで完璧」
それさえも終えると、ちょうど夕方にさしかかる時間帯だった。雨は降り続いている。
私は傘を持ち、里の門へと向かった。
傘を差しながら待ってると、傘を差さないサスケくんの姿が見えたため、大きく手を振る。
「サスケく〜ん!」
「サクラ!?」
サスケくんは驚いたように私に近づいてくる。
「どうした、サクラ? なぜ家で待っていなかった」
「お帰りなさい、サスケくん」
「あぁ、ただいま...って、俺の質問に答えろ」
「あのね、雨が降ってたから迎えに来たの」
「このぐらいの雨、俺は平気だ」
「そうだよね。でも少しでも早く会いたくて」
私は雨で濡れたサスケくんの体を持ってきたタオルで拭く。
「風邪引いちゃうから、早く帰りましょう。ご飯の準備はできてるから、サスケくんがお風呂入っている間にはできると思う」
一通り拭き終えると、私は「行きましょ」と持っていた傘を渡す。
「? そしたらお前の傘がないぞ」
「大丈夫」
サスケくんは首を傾げ、「どういうことだ?」と戸惑った表情をした。
「だから、こうするのよ」
意味が分かっていないサスケくんの手を取り傘の持ち手を握らせると、私はその隣に移動し寄り添った。
「……何をしている、サクラ」
いまだにサスケくんは理解できないようだ。
「相合傘よ、相合傘。一度してみたかったのよね~。さぁ、帰りましょう」
私はサスケくんを急かすが、動こうとしない。
「サスケくん?」
「誰かに見られたらどうする」
「別にいいじゃない、やましいことはしていないんだし。それにこんな雨の日は人出も少ないし、傘で顔も見えないわよ」
「だが……」
それでも渋るサスケくんに、私は最後の悪あがきをすることにした。
これでダメだったら、残念だけど諦めよう。
「……どうしてもサスケくんと相合傘したかったの。でも、サスケくんがダメなら先生に頼むしかないかな。先生は優しいからきっと私としてくれるよね……」
「!? それは許さない。行くぞ、サクラ」
一瞬だけ殺気を纏ったと思ったが、それをすぐにしまい、サスケくんは私を連れて歩き出した。
「えへへ、ありがとね。サスケくん」
「別にいい。カカシとされるよりはマシだ」
「うふふ。あのね、今日買い物に出たら、お爺さんとお婆さんが仲良さそうに相合傘をしているのを見たの。その光景がとても素敵で、私もサスケくんとしたいなーって思ったんだ」
サスケくんは黙って聞いている。
「私達もあんな風になれたらいいなって。でも、お爺ちゃんになってもサスケくんはカッコいいんだろうなー。私はどうだろう……きっとヨボヨボだわ」
かっこいいお爺ちゃんのサスケくんと、ヨボヨボのお婆ちゃんの私。
私はその将来を想像し、絶望した。
「どうしよう、きっと釣り合わないわ。師匠みたいに術を使おうかしら」
ぶつぶつ言ってると、サスケくんの足が止まり、私も同じく止まる。
「サスケくん?」
「……お前はそのままでいい。それに歳をとったお前の姿も見てみたい」
あまりにも真顔で言うから、私の涙腺が緩んでいく。
「シワシワのヨボヨボだわ、きっと。サスケくん、幻滅しちゃう……」
「しない。俺はどんな姿のお前でも受け止める自信がある。サクラだって、俺がもしヨボヨボのシワだらけのジジイだったら、嫌だろう?」
「嫌じゃない! だって、サスケくんだもん。どんなサスケくんも大好きだもん」
「俺も同じだ」
その言葉についに私の涙腺が崩壊した。
「ザズゲぐ〜ん」
私はサスケくんに抱きついた。
「本当に、本当に大丈夫? 幻滅しない?」
「あぁ。何度も言わせるな」
サスケくんは呆れたように私の涙を乱暴に拭う。
「すごい顔だな、サクラ」
「サスケくんのせいよ」
「俺のせいなのか」
「うん。あまりにも嬉しいこと言うから」
「別に当たり前の事を言っただけだ」
「サスケくん……」
「それよりお前体が冷えてるぞ。どのぐらい門の外にいたんだ」
「え〜と、2時間ぐらいかな」
「このバカっ! さっさと帰るぞ」
サスケくんは私の肩を引き寄せ、再び歩き出す。
今日はなんて嬉しい日なんだろう。
サスケくんが帰ってきて、相合傘もできて、嬉しい言葉も聞けた。
私は幸せすぎて鼻歌を口ずさむと、サスケくんが「フッ」と笑った。
「ちょっと、何よ」
「別に」
そんな感じで(主に私が)じゃれあいながら、家へと帰る。
もちろん相合傘はそのままで。
ふと遠くの空を見ると、グレーな雲の隙間から日差しが見え、空には虹がかかっている。
この雨ももうすぐやむだろう。
私は、その景色とともに、この思い出は一生忘れないことを心に誓った。
窓を叩く雨音で目が覚めた。
「今日も雨だわ……」
体を起こし、外をみるとどんよりとした雲が広がり、ザーザーと雨が降っていた。
ぼーとして見てると一匹の鷹が飛んできて、窓を叩く。
私は急いで窓を開け、鷹を中に入れるとその足についていた手紙をみる。
それはサスケくんからで、今日の夕方頃里に帰るとのことだった。
半年ぶりに会える...!
こうしちゃいられないわ、色々準備しなきゃ。
私はベッドがら降りると身支度を急いで整え、冷蔵庫の中身を確認し、買い足すものを頭に入れると、お気に入りの傘を持ち玄関を出た。
必要なものを買い終え、自宅に戻る途中に私はある光景に足を止めた。
その光景は私の胸を高鳴らせ、私はある決意をし、足早に自宅に戻った。
家に帰ると、昼食を簡単にすませ、部屋の掃除を終え、夕食の準備に取り掛かる。
「これで完璧」
それさえも終えると、ちょうど夕方にさしかかる時間帯だった。雨は降り続いている。
私は傘を持ち、里の門へと向かった。
傘を差しながら待ってると、傘を差さないサスケくんの姿が見えたため、大きく手を振る。
「サスケく〜ん!」
「サクラ!?」
サスケくんは驚いたように私に近づいてくる。
「どうした、サクラ? なぜ家で待っていなかった」
「お帰りなさい、サスケくん」
「あぁ、ただいま...って、俺の質問に答えろ」
「あのね、雨が降ってたから迎えに来たの」
「このぐらいの雨、俺は平気だ」
「そうだよね。でも少しでも早く会いたくて」
私は雨で濡れたサスケくんの体を持ってきたタオルで拭く。
「風邪引いちゃうから、早く帰りましょう。ご飯の準備はできてるから、サスケくんがお風呂入っている間にはできると思う」
一通り拭き終えると、私は「行きましょ」と持っていた傘を渡す。
「? そしたらお前の傘がないぞ」
「大丈夫」
サスケくんは首を傾げ、「どういうことだ?」と戸惑った表情をした。
「だから、こうするのよ」
意味が分かっていないサスケくんの手を取り傘の持ち手を握らせると、私はその隣に移動し寄り添った。
「……何をしている、サクラ」
いまだにサスケくんは理解できないようだ。
「相合傘よ、相合傘。一度してみたかったのよね~。さぁ、帰りましょう」
私はサスケくんを急かすが、動こうとしない。
「サスケくん?」
「誰かに見られたらどうする」
「別にいいじゃない、やましいことはしていないんだし。それにこんな雨の日は人出も少ないし、傘で顔も見えないわよ」
「だが……」
それでも渋るサスケくんに、私は最後の悪あがきをすることにした。
これでダメだったら、残念だけど諦めよう。
「……どうしてもサスケくんと相合傘したかったの。でも、サスケくんがダメなら先生に頼むしかないかな。先生は優しいからきっと私としてくれるよね……」
「!? それは許さない。行くぞ、サクラ」
一瞬だけ殺気を纏ったと思ったが、それをすぐにしまい、サスケくんは私を連れて歩き出した。
「えへへ、ありがとね。サスケくん」
「別にいい。カカシとされるよりはマシだ」
「うふふ。あのね、今日買い物に出たら、お爺さんとお婆さんが仲良さそうに相合傘をしているのを見たの。その光景がとても素敵で、私もサスケくんとしたいなーって思ったんだ」
サスケくんは黙って聞いている。
「私達もあんな風になれたらいいなって。でも、お爺ちゃんになってもサスケくんはカッコいいんだろうなー。私はどうだろう……きっとヨボヨボだわ」
かっこいいお爺ちゃんのサスケくんと、ヨボヨボのお婆ちゃんの私。
私はその将来を想像し、絶望した。
「どうしよう、きっと釣り合わないわ。師匠みたいに術を使おうかしら」
ぶつぶつ言ってると、サスケくんの足が止まり、私も同じく止まる。
「サスケくん?」
「……お前はそのままでいい。それに歳をとったお前の姿も見てみたい」
あまりにも真顔で言うから、私の涙腺が緩んでいく。
「シワシワのヨボヨボだわ、きっと。サスケくん、幻滅しちゃう……」
「しない。俺はどんな姿のお前でも受け止める自信がある。サクラだって、俺がもしヨボヨボのシワだらけのジジイだったら、嫌だろう?」
「嫌じゃない! だって、サスケくんだもん。どんなサスケくんも大好きだもん」
「俺も同じだ」
その言葉についに私の涙腺が崩壊した。
「ザズゲぐ〜ん」
私はサスケくんに抱きついた。
「本当に、本当に大丈夫? 幻滅しない?」
「あぁ。何度も言わせるな」
サスケくんは呆れたように私の涙を乱暴に拭う。
「すごい顔だな、サクラ」
「サスケくんのせいよ」
「俺のせいなのか」
「うん。あまりにも嬉しいこと言うから」
「別に当たり前の事を言っただけだ」
「サスケくん……」
「それよりお前体が冷えてるぞ。どのぐらい門の外にいたんだ」
「え〜と、2時間ぐらいかな」
「このバカっ! さっさと帰るぞ」
サスケくんは私の肩を引き寄せ、再び歩き出す。
今日はなんて嬉しい日なんだろう。
サスケくんが帰ってきて、相合傘もできて、嬉しい言葉も聞けた。
私は幸せすぎて鼻歌を口ずさむと、サスケくんが「フッ」と笑った。
「ちょっと、何よ」
「別に」
そんな感じで(主に私が)じゃれあいながら、家へと帰る。
もちろん相合傘はそのままで。
ふと遠くの空を見ると、グレーな雲の隙間から日差しが見え、空には虹がかかっている。
この雨ももうすぐやむだろう。
私は、その景色とともに、この思い出は一生忘れないことを心に誓った。
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