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NARUTO/カカサク 短編①

SUISAI/TRIGGER

「う~ん、重い」

肩にずっしりとした重みを感じて閉じていた目を開けると、目の前にごつごつとした腕が見えた。まさかと思い、首を少し後ろに動かすとカカシ先生が私を後ろから抱き込むようにして寝ていた。

「なるほどね」

確かカカシ先生の家で先生が帰ってくるのを待っていたけれど、窓から差し込む陽の光が心地良すぎて寝ちゃったんだっけ……。おそらくその後に帰ってきた先生が私を起こさないようにしながら一緒に寝たのだろう。私は先生と向かい合う形になるように体を動かし、先生の頬を指先でつんつんと突く。

「う~ん」

突いた効果があったのか、私と同じような感じでカカシ先生が目を開いて「おはよう」と寝起き特有の声で挨拶をする。

「おはよう、じゃなくてもう夕方よ。帰ってきたなら、起こしてくれれば良かったのに」
「だってサクラが気持ち良さそうに寝てるから起こすの悪いかなって思って」
「別にそんなの気にしなくていいわよ。それよりお帰りなさい」
「ただいま」

私達は恒例となっているお帰りのキスをする。

「それにしても、そんな気を遣うなんて。先生って、私の飼っていた犬みたいね」

クスっと思い出し笑いすると、先生が怪訝な表情をする。

「犬?」
「うん。子供のころ、1匹の犬を飼っていたの。その子、すごく優しくてね。いつも一緒にいたのよ。今回みたいに私がお昼寝していると、私を起こさないようにしながら一緒に寝てくれてたりして……なんだか懐かしくなっちゃった」
「俺、犬じゃないんだけど……」
「だから、例えだって」
「それを言うならサクラは猫だね」
「猫?」
「そう。一時期知り合いの猫を預かっていた時があって。その猫、普段はツンケンしてるのに時々すごく甘えてくるの。俺が寝ている時も容赦なく猫パンチして起こしてきたかと思えば、起こすと満足するのかそのまま俺を放っておいて寝ちゃうし……」
「私、そんなことしてないわよ」
「してただろう、この前。お前が酔って俺の家にいきなり来たかと思えば、寝ていた俺を無理やり叩き起こして、そのまま俺のベッドで朝まで熟睡していたのはどこの誰だっけ?」
「あはは、そんなことあったかしら……?」

あったようななかったような……。確かにその日は久しぶりの女子会だったから、テンションが上がってつい飲みすぎちゃったのよね。起きたらいつのまにかカカシ先生のベッドにいてびっくりしたっけ。そんなことを思い出していると、先生がそんな様子の私に呆れながらも私の頬に手を這わせ、優しく撫でる。

「連絡してくれたら俺が迎えに行ったのに」
「だって、悪いかなって思ったのよ。最近忙しそうだったし、会う約束もしてなかったでしょ。まぁ、結局迷惑はかけちゃったみたいだけど……」
「別にサクラなら迷惑じゃないよ。だから、飲み会する時は俺に必ず連絡すること」
「大丈夫。今度は飲みすぎないようにするわ」
「ダメ。お前、酔うと記憶なくすでしょ。これで他の男のところにでも行かれたら……」
「さすがに他の男のところには行かないわよ~」
「どうだか。昔、酔ってナルトの家に行ったって聞いたんだけど。まぁ、ナルトだから良かったものの……」

先生は拗ねた表情で、ぶつぶつと小言を言っている。

「それは先生と付き合う前の話でしょ」
「とにかく、迎えに行くから連絡して。分かった?」
「……分かった。これからはきちんと連絡する」
「そうしてくれると助かる」

私が了承すると先生は満足そうに微笑む。付き合ってから色んな表情を見せてくれるようになった先生。私はそれが嬉しくて先生の胸に頭を寄せる。

「どうしたの、急に? 甘えたくなっちゃった?」
「そんなとこ」
「でも、起きるんじゃなかったの?」
「うーん、もう少しこのままで」
「仕方ないな~」

そう言いつつも、すり寄る私を先生は優しく抱え込み、頭を撫でてくれる。私はその心地よさに目を閉じ、もうひと眠りすることにした。
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