NARUTO/カカサク 短編①
恋降る月夜に君想ふ/King & Prince
月が綺麗な夜。
「サクラー! 見えてるー?」
「見えてるわよー」
「やっぱり顔を見て話せるっていいわねー」
「ねー! あれ? いの、少し太った?」
「失礼ね! サクラこそ、ブサイクになったんじゃないのー?」
「はぁ? イノブタに言われたくないわよ!」
「「……」」
「あはは~、この感じ久しぶり! やっぱりそうこなくっちゃね!」
パソコンの画面越しに、親友のサクラと笑い合う。高校卒業後、私は地元に残り、サクラは都心に出て、それぞれの生活を満喫していた。気軽に会える距離ではないため、いつも電話でやり取りをしていたのだが、私がPCを購入したのを機に初めてオンラインで会話をすることになったのだ。
「そっちの生活はどうー?」
「もう最高よ! コンビニは徒歩で歩いて行ける距離だし、電車もすぐ来るのよ」
「さすが都会ねー」
「でも、人が多くて疲れるのよね。電車もいつも満員で……」
話の途中に「ピンポーン」とインターホンが鳴った。一瞬、私の方かと思ったが、どうやらサクラの方だったらしい。
「サクラ、誰か来たみたいよ」
「宅配便かも。確か期間限定のあんみつ頼んだっけ」
「あんたらしいわね~。ここはいいから行ってきなさいよ」
「あ~、それなら大丈夫。私の代わりに受け取る人がいるから」
「えっ? あんた一人暮らしじゃなかった?」
「うーん、そうだったんだけど……「サクラ―! お取り寄せのあんみつ届いたよー」
「分かったー! 後で食べる!」
「了解。冷蔵庫入れとくねー!」
「ありがとー!」
私との会話の最中に入ってきた声にサクラが返事をする。“えっ、いまのって……”と、思わず私が目を見開いたまま固まっていると、サクラがそれに気づき声を掛ける。
「いの? 大丈夫?」
「いまの……男の声よね……?」
「うん」
「うんって、あんた……」
サクラに詳しく事情を聞こうとした瞬間、サクラの部屋のドアがガチャリと開く。
「サクラ―。明日のことなんだけど……あー、ごめん。お友達とお話し中だった?」
入ってきたのは、銀髪の長身でイケメン。しかし、やる気のなさそうな雰囲気を纏った男性だった。
「カカシ先生! いつもノックしてから入ってって言ってるでしょ!」
「ごめんごめん」
「もー、次からは気を付けてよね」
「はーい」
私の存在を忘れたかのように会話する2人に、私はただ唖然とするしかない。それに再び気づいたのか、サクラが我に返ったように私の方へ向き直し話し出す。
「ごめんなさい、いの!」
「うん、大丈夫よ。それよりその人は……?」
大丈夫じゃなかったが、それよりその男性の事が聞きたくて私はサクラに問いかける。
「えっとね、この人は、カカシ先生。大学でお世話になってるのよ。先生、この子はいの。ほら、よく話してるでしょ? 私の親友なの」
「君がいのちゃんかー。サクラからよく話は聞いてるよ。よろしくねー」
そう言って、ヘラっとカカシ先生(私もそう呼ぶことにした)は笑う。私はそれに「あはは、よろしくお願いします」と愛想笑いを返す。誰だかは分かった。だけど、どうしても分からないことが一つだけある。なぜ、大学の先生が夜にサクラの家にいるのかということだ。しかも、服装がラフなスウェットなため、家庭訪問とかではないはず。
「え~と、それで大学の先生がなぜサクラの家に……?」
「やっぱそうなるわよね~、えっと……」
サクラがチラッとカカシ先生の方を見る。カカシ先生はそれに気づくと、にっこりと頷いてサクラの頭を撫でる。そして、私の方へ顔を向けた。
「俺たち付き合ってるんだよ。一応、先生と生徒って立場だから、周りには秘密にしてるんだけど、君はサクラの親友だからね」
「なるほど……」
「あまり周りに誇れる関係じゃないって分かってるんだけど、好きになっちゃったものはしょうがないよね~」
そうじゃないかとは思っていたが、やはりそうだった。この関係が誇れるものではないと分かってるのだろう。「いの……」と、サクラが不安そうな顔で私を見つめる。まったく、何年あんたと一緒に過ごしてきたと思ってるのよ。
「サクラ……あんた、カカシ先生の事が好き?」
「えっ、いきなり何よ」
「いいから、答えて! 好きなの!? 嫌いなの!?」
困惑するサクラを無視し、私は回答を迫る。
「えっ、そんなの好きに決まってるじゃない!」
顔を真っ赤にしながらも、サクラははっきりと答える。その様子をカカシ先生は笑顔で見つめている。
「カカシ先生とやら!」
まさか自分にくるとは思っていなかったのだろう。「えっ!?」とびっくりしたような表情で再び私の方を向く。
「サクラのこと幸せにする自信ある!?」
「えっ? そりゃあ、まぁ……」
「もっとはっきりと!」
「あります!!」
私の勢いに押されたのか、カカシ先生も勢いよく答える。
「ならいい! 2人とも、幸せになんなさいよ!」
笑顔でそう宣言すると、サクラは「いの……。ありがとう」と涙ぐむ。カカシ先生はそんなサクラの頭を「良かったね」と優しく撫でている。
「サクラ、何かあったら私に言いなさいよ。すぐにそっちに行ってあげるんだから」
「うん……」
「カカシ先生、サクラを悲しませたら許さないんだからね」
「あぁ、分かってる」
2人の様子に私は大丈夫だと確信を持った。
「それじゃあ、もう夜も遅いし、そろそろこの辺で退散するわね。2人とも、熱い夜を過ごして寝坊しちゃダメよー」
「ちょっ、いの!」
サクラの声を無視して、私は接続を切る。なんだか2人を見てたら、私も彼氏に会いたくなっちゃった。明日起きたら一番に会いに行こうかな。そう決意し、私は布団にもぐった。
月が綺麗な夜。
「サクラー! 見えてるー?」
「見えてるわよー」
「やっぱり顔を見て話せるっていいわねー」
「ねー! あれ? いの、少し太った?」
「失礼ね! サクラこそ、ブサイクになったんじゃないのー?」
「はぁ? イノブタに言われたくないわよ!」
「「……」」
「あはは~、この感じ久しぶり! やっぱりそうこなくっちゃね!」
パソコンの画面越しに、親友のサクラと笑い合う。高校卒業後、私は地元に残り、サクラは都心に出て、それぞれの生活を満喫していた。気軽に会える距離ではないため、いつも電話でやり取りをしていたのだが、私がPCを購入したのを機に初めてオンラインで会話をすることになったのだ。
「そっちの生活はどうー?」
「もう最高よ! コンビニは徒歩で歩いて行ける距離だし、電車もすぐ来るのよ」
「さすが都会ねー」
「でも、人が多くて疲れるのよね。電車もいつも満員で……」
話の途中に「ピンポーン」とインターホンが鳴った。一瞬、私の方かと思ったが、どうやらサクラの方だったらしい。
「サクラ、誰か来たみたいよ」
「宅配便かも。確か期間限定のあんみつ頼んだっけ」
「あんたらしいわね~。ここはいいから行ってきなさいよ」
「あ~、それなら大丈夫。私の代わりに受け取る人がいるから」
「えっ? あんた一人暮らしじゃなかった?」
「うーん、そうだったんだけど……「サクラ―! お取り寄せのあんみつ届いたよー」
「分かったー! 後で食べる!」
「了解。冷蔵庫入れとくねー!」
「ありがとー!」
私との会話の最中に入ってきた声にサクラが返事をする。“えっ、いまのって……”と、思わず私が目を見開いたまま固まっていると、サクラがそれに気づき声を掛ける。
「いの? 大丈夫?」
「いまの……男の声よね……?」
「うん」
「うんって、あんた……」
サクラに詳しく事情を聞こうとした瞬間、サクラの部屋のドアがガチャリと開く。
「サクラ―。明日のことなんだけど……あー、ごめん。お友達とお話し中だった?」
入ってきたのは、銀髪の長身でイケメン。しかし、やる気のなさそうな雰囲気を纏った男性だった。
「カカシ先生! いつもノックしてから入ってって言ってるでしょ!」
「ごめんごめん」
「もー、次からは気を付けてよね」
「はーい」
私の存在を忘れたかのように会話する2人に、私はただ唖然とするしかない。それに再び気づいたのか、サクラが我に返ったように私の方へ向き直し話し出す。
「ごめんなさい、いの!」
「うん、大丈夫よ。それよりその人は……?」
大丈夫じゃなかったが、それよりその男性の事が聞きたくて私はサクラに問いかける。
「えっとね、この人は、カカシ先生。大学でお世話になってるのよ。先生、この子はいの。ほら、よく話してるでしょ? 私の親友なの」
「君がいのちゃんかー。サクラからよく話は聞いてるよ。よろしくねー」
そう言って、ヘラっとカカシ先生(私もそう呼ぶことにした)は笑う。私はそれに「あはは、よろしくお願いします」と愛想笑いを返す。誰だかは分かった。だけど、どうしても分からないことが一つだけある。なぜ、大学の先生が夜にサクラの家にいるのかということだ。しかも、服装がラフなスウェットなため、家庭訪問とかではないはず。
「え~と、それで大学の先生がなぜサクラの家に……?」
「やっぱそうなるわよね~、えっと……」
サクラがチラッとカカシ先生の方を見る。カカシ先生はそれに気づくと、にっこりと頷いてサクラの頭を撫でる。そして、私の方へ顔を向けた。
「俺たち付き合ってるんだよ。一応、先生と生徒って立場だから、周りには秘密にしてるんだけど、君はサクラの親友だからね」
「なるほど……」
「あまり周りに誇れる関係じゃないって分かってるんだけど、好きになっちゃったものはしょうがないよね~」
そうじゃないかとは思っていたが、やはりそうだった。この関係が誇れるものではないと分かってるのだろう。「いの……」と、サクラが不安そうな顔で私を見つめる。まったく、何年あんたと一緒に過ごしてきたと思ってるのよ。
「サクラ……あんた、カカシ先生の事が好き?」
「えっ、いきなり何よ」
「いいから、答えて! 好きなの!? 嫌いなの!?」
困惑するサクラを無視し、私は回答を迫る。
「えっ、そんなの好きに決まってるじゃない!」
顔を真っ赤にしながらも、サクラははっきりと答える。その様子をカカシ先生は笑顔で見つめている。
「カカシ先生とやら!」
まさか自分にくるとは思っていなかったのだろう。「えっ!?」とびっくりしたような表情で再び私の方を向く。
「サクラのこと幸せにする自信ある!?」
「えっ? そりゃあ、まぁ……」
「もっとはっきりと!」
「あります!!」
私の勢いに押されたのか、カカシ先生も勢いよく答える。
「ならいい! 2人とも、幸せになんなさいよ!」
笑顔でそう宣言すると、サクラは「いの……。ありがとう」と涙ぐむ。カカシ先生はそんなサクラの頭を「良かったね」と優しく撫でている。
「サクラ、何かあったら私に言いなさいよ。すぐにそっちに行ってあげるんだから」
「うん……」
「カカシ先生、サクラを悲しませたら許さないんだからね」
「あぁ、分かってる」
2人の様子に私は大丈夫だと確信を持った。
「それじゃあ、もう夜も遅いし、そろそろこの辺で退散するわね。2人とも、熱い夜を過ごして寝坊しちゃダメよー」
「ちょっ、いの!」
サクラの声を無視して、私は接続を切る。なんだか2人を見てたら、私も彼氏に会いたくなっちゃった。明日起きたら一番に会いに行こうかな。そう決意し、私は布団にもぐった。
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