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NARUTO/カカサク 短編①

ユニバーサル・バニー/シェリル・ノーム starring May'n

「う~ん」

煙草を買いに行った帰り、聞き慣れた声がしたので視線を向けると、一人の男が公園のベンチに座り項垂れていた。“触らぬ神に祟りなし”と俺は足早に通り過ぎようとしたが、「う~ん。どうしたもんか」と明らかに俺に視線を向けてアピールしてくる視線に耐え兼ね、仕方なく相手をすることにした。

「どうしたんだ、カカシ」
「アスマ! 奇遇だな」

芝居がかった反応に俺はため息をつきながら、隣に腰を下ろす。

「で、何を悩んでるんだ」
「悩みってほどではないんだけど。この前サクラと久しぶりに会ってね。あんみつを奢ってあげることにしたんだけど……」

―――――――――――

「わ~、あんみつ! 先生ありがとう!」
「どういたしまして」

あんみつを前にして喜ぶサクラは昔と変わらず、俺はその笑顔に安心していた。見た目も振る舞いもすっかり大人になったサクラだったが、こうしているとやっぱり変わってないなと思う。最近はお互い忙しく、なかなか会えていなかったから、今回こうして会えて良かったと思う。

あんみつを美味しそうに食べるサクラを「やっぱり俺の教え子は可愛いなぁ~」とニコニコと見つめていると、サクラがあんみつについているサクランボを食べようとしていた。サクランボの茎を親指と人差し指で掴んで上に持ち上げ、同じく顔を上に向けながら口を開けてサクランボを食べる様子に俺は釘付けになった。なんていうか、食べ方がセクシーだったのだ。

「うん? どうしたの、先生?」

俺の視線に気づいたサクラが不思議そうに問いかける。「いや、なんでもないよ」と俺はとっさに平静を装う。

「なら、いいんだけど」

追及されるかと思ったがされなかったため、ホッとしたのも束の間、サクラはさらなる追い打ちをかけてきた。

「そういえば、先生。サクランボの茎って結べる?」
「茎を結ぶ? やったことないから分からないな」

唐突な質問に今度は俺が首を傾げる。

「私、できるのよ。ほら」

サクラは茎を口に含み口を動かしたかと思うと、しばらくして舌を出す。その上には綺麗に結び目ができた茎がのっていた。俺はまたしてもその妖艶なしぐさに釘付けになる。

「ねぇ、知ってる? サクランボの茎を結べる人ってキスが上手なんだって。先生はどうなんだろうね?」

サクラは俺の視線を受け止め、妖艶に笑う。俺が視線を外せずにいると、「……なんてね」とサクラは俺から視線を外し、あんみつを「う~ん、やっぱりあんみつが一番よね!」と再び食べ始める。雰囲気はすっかり最初に戻っていた。そこからオレ達は何事もなかったかのように過ごしたが、俺はその出来事が頭から離れなかった。

―――――――――――――――――――――――

「こういうことがあってさ。そこからサクラを今まで通りに見れなくなったというか……」
「……なるほどな。つまりいままでは“可愛い可愛い教え子”として見ていたが、“どこか気になる大人の女”としか見えなくなったってことか」
「やっぱりそうなるのか」
「まぁ、別にいいじゃないか。サクラももういい大人だし、サスケともなにもないみたいだしな。それにいまフリーらしいぞ」
「なんでお前が知ってるのよ」
「いのが言っていたからな。モテるみたいなんだが、相手にしないらしい。だが、お前ならいけるんじゃないか」
「その根拠は?」
「さあな」
「さぁなって……。他人事だと思って……」
「まぁ、頑張れや。振られたら飲みには付き合ってやる」

俺は立ち上がり、その場を後にする。ふと振り返ると、カカシが意を決したかのように立ち上がり、どこかへ……いや、おそらくサクラの元だろう、向かっていった。

俺はその背中を見送りながら、いのとの会話を思い出す。

―――――――――――――――――――――――――

「サクラ、モテるのに誰とも付き合わないのよね~。どうやら好きな人がいるみたい」
「サスケじゃないのか?」
「それがサスケくんじゃないっぽいのよ。これは私の勘だけど……カカシ先生の事が好きなんじゃないかしら」
「カカシ? どうしてだ?」
「カカシ先生の話になると表情が明るくなるというか……恋する女の表情になるの。それに最近、“セクシーな女になる方法”って本を読んでいるのよ。カカシ先生のまわりの女の人たちってセクシーな人が多いじゃない。だから、カカシ先生の好みになるために勉強してるんじゃないかって思って」
「なるほどな……」
「この前も必死にサクランボの茎を口の中で結ぶ練習してたのよ。健気よね~」

―――――――――――――――――――――――――

さっきのカカシと、いのの勘が当たっていれば2人はお互いを意識してるってことになる。くっつくのも時間の問題だろう。

「今度のカカシとの飲みはアイツの惚気になりそうだな……」

俺はタバコをつけると、家へと帰っていった。
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