NARUTO/カカサク 短編①
届かない恋/上原れな
七班での任務がある日。あいかわらず先生は集合時間になってもこなかった。私はしびれを切らして、先生を探しに出ることに。何度か探しに出るうちに先生はいつも同じ場所にいることに気が付いた。私は今日もその場所に向かう。
やはり先生は慰霊碑の前で佇んでいた。
「先生! やっぱりここにいたのね」
「サクラか」
「もうとっくに集合時間過ぎてるんだけど……」
私は先生の隣に行く。
「あはは、悪いね」
「思ってもないこと言わないの」
「手厳しいね」
私は先生と一緒に慰霊碑を見る。たくさんの名前がここにはある。この中には先生の仲間や大事な人の名前もあるのだろう。先生の過去やここに来る理由は分からない。聞いてもはぐらかされるのだ。でも、なんとなくなら想像がつく。
私は先生の横顔を盗み見る。やはり何を考えているのか分からないが、先生の心の中にはきっとこの慰霊碑にのっている人たちがいるのだろう。
「……ねぇ、先生?」
「うん?」
「もし私の名前が慰霊碑にのったら、こんな風にきてくれる?」
私はこの慰霊碑に名前がのっている人たちが羨ましかった。だって先生の心をこんな風に独占できるんだもん。私もその一員になりたかった。
「お前……なにバカなことを言っているんだ!?」
先生がすごい剣幕で私の肩を掴み怒鳴る。まさか怒鳴られると思っていなかったため、恐怖で縮こまる。それに気づいた先生がハッとして、私の肩から手を離し、いつもの表情に戻る。
「悪い……」
「私の方こそごめんなさい」
「でも急にどうしてそんなこと……」
「……」
理由は言えなかった。きっと呆れられるから。俯く私の頭を先生が優しく撫でる。
「サクラが急に何でそう言ったのか分からないけど、俺はお前の名前がのったらここには来ないよ」
「えっ……」
来ないって……。私、そんなに価値がないの? いや、あるとは思ってなかったけど、こうはっきり言われると……。私は思わず泣きそうになる。
「ごめん、言い方が悪かった。サクラの名前が慰霊碑にのることはないから、俺がくる必要がないっていう意味」
「のらない保証なんてないじゃない」
「あるよ。だって俺が必ず守るから」
“当然でしょ”という顔で私を見つめる先生。こういうことを普通に言うから困る。ますます惚れちゃうじゃない。でもきっと深い意味はないのだろう。一応、その意味を尋ねる。
「どうして?」
「どうしてって……。お前は俺の大事な教え子だからだよ」
「そうよね……」
予想通りの答えに私は気づかれないようにため息をつく。けっこう先生に好きアピールしてるんだけどな……。まぁ、カカシ先生だから仕方ないか。とりあえず“私を必ず守る”という言葉が聞けただけで満足するかと、私は思考を切り替える。
「約束だからね! 破ったら針千本飲ますから!」
「あぁ、約束するよ」
私が小指を差し出すと、先生も同じように小指を絡める。
「……それより、俺を呼びに来たんじゃないの?」
「ハッ! 確かに!」
先生に言われて、私がここに来た本来の目的を思い出す。
「行くわよ、先生! ナルトやサスケくんが待ってるわ」
先生の手を取ると、集合場所へ向かう。先生は私に連れられるがままだった。繋いだ手のぬくもりを感じながら、私はいつか理由が“教え子”から“恋人”に変わるように頑張らなきゃと改めて決意した。
七班での任務がある日。あいかわらず先生は集合時間になってもこなかった。私はしびれを切らして、先生を探しに出ることに。何度か探しに出るうちに先生はいつも同じ場所にいることに気が付いた。私は今日もその場所に向かう。
やはり先生は慰霊碑の前で佇んでいた。
「先生! やっぱりここにいたのね」
「サクラか」
「もうとっくに集合時間過ぎてるんだけど……」
私は先生の隣に行く。
「あはは、悪いね」
「思ってもないこと言わないの」
「手厳しいね」
私は先生と一緒に慰霊碑を見る。たくさんの名前がここにはある。この中には先生の仲間や大事な人の名前もあるのだろう。先生の過去やここに来る理由は分からない。聞いてもはぐらかされるのだ。でも、なんとなくなら想像がつく。
私は先生の横顔を盗み見る。やはり何を考えているのか分からないが、先生の心の中にはきっとこの慰霊碑にのっている人たちがいるのだろう。
「……ねぇ、先生?」
「うん?」
「もし私の名前が慰霊碑にのったら、こんな風にきてくれる?」
私はこの慰霊碑に名前がのっている人たちが羨ましかった。だって先生の心をこんな風に独占できるんだもん。私もその一員になりたかった。
「お前……なにバカなことを言っているんだ!?」
先生がすごい剣幕で私の肩を掴み怒鳴る。まさか怒鳴られると思っていなかったため、恐怖で縮こまる。それに気づいた先生がハッとして、私の肩から手を離し、いつもの表情に戻る。
「悪い……」
「私の方こそごめんなさい」
「でも急にどうしてそんなこと……」
「……」
理由は言えなかった。きっと呆れられるから。俯く私の頭を先生が優しく撫でる。
「サクラが急に何でそう言ったのか分からないけど、俺はお前の名前がのったらここには来ないよ」
「えっ……」
来ないって……。私、そんなに価値がないの? いや、あるとは思ってなかったけど、こうはっきり言われると……。私は思わず泣きそうになる。
「ごめん、言い方が悪かった。サクラの名前が慰霊碑にのることはないから、俺がくる必要がないっていう意味」
「のらない保証なんてないじゃない」
「あるよ。だって俺が必ず守るから」
“当然でしょ”という顔で私を見つめる先生。こういうことを普通に言うから困る。ますます惚れちゃうじゃない。でもきっと深い意味はないのだろう。一応、その意味を尋ねる。
「どうして?」
「どうしてって……。お前は俺の大事な教え子だからだよ」
「そうよね……」
予想通りの答えに私は気づかれないようにため息をつく。けっこう先生に好きアピールしてるんだけどな……。まぁ、カカシ先生だから仕方ないか。とりあえず“私を必ず守る”という言葉が聞けただけで満足するかと、私は思考を切り替える。
「約束だからね! 破ったら針千本飲ますから!」
「あぁ、約束するよ」
私が小指を差し出すと、先生も同じように小指を絡める。
「……それより、俺を呼びに来たんじゃないの?」
「ハッ! 確かに!」
先生に言われて、私がここに来た本来の目的を思い出す。
「行くわよ、先生! ナルトやサスケくんが待ってるわ」
先生の手を取ると、集合場所へ向かう。先生は私に連れられるがままだった。繋いだ手のぬくもりを感じながら、私はいつか理由が“教え子”から“恋人”に変わるように頑張らなきゃと改めて決意した。
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