NARUTO/カカサク 短編①
Snow White/The Brow Beat
7班での任務中、俺は大木の下でナルト達の様子を見ていた。今日の任務は草むしりで、3人とも必死に作業している。
温かい春の日差しに加え、昨日夜遅くまで本を読んでいたせいか寝不足の俺は“一応、任務中だから……”と眠気と戦っていたが、ついにそれに負け、目を閉じてしまった。
―――――――――――――――――――――
寝ていても、長年の感覚で誰かが俺の近くにやってくるのが分かった。この気配は危険なものでもなく、馴染みのある気配だったのでおそらく3人のうちの1人だろう。
どうせ俺が寝ている間にマスクをはぎ取ってやろうという魂胆だと思ったので、ひたすら寝たふりを続けた。直前で目を開けて注意すればいい。
気配が俺のすぐそばまで来ている。視線を感じるので、おそらく顔を覗き込まれているのだろう。気配が顔のすぐ近くまできたため、俺は“いまだ”と目を開けた。
すると、綺麗な翡翠色の瞳と視線がぶつかり、さらに唇にマスク越しだが柔らかい感触を感じた。
翡翠色の瞳は俺が突然目を開けたことに驚いたのか、形を丸くしながら離れていった。
「びっくりした……」
「それはこっちの台詞だよ……サクラ」
そう、目の前にいたのはサクラだったのだ。
「てか、お前……いま……」
「うん、キスしちゃった」
悪びれた様子もなくサクラは言う。やはり俺はマスク越しにキスされたのか……。
「しちゃったって、どうして……」
「先生ったら、全然起きないんだもん。ほら、よくお伽話であるでしょ? 王子様のキスでお姫様が目覚めるって。だから、試してみたんだけど本当だったみたいね!」
サクラは悪戯が成功したように笑った。
「だったら普通逆だと思うんだけど……。それにお前はサスケが好きなんじゃなかったのか?」
「もちろん好きよ」
「だったら何で俺にキスを?」
「私は先生も好きなの。もちろんナルトも」
「はぁ……?」
俺はサクラの言っていることが理解できなかった。
「じゃあ、俺以外にもこうしてキスするの?」
「うーん、どうだろう? でも、いまはね何かしたいな~と思って。だからしたの」
サクラの様子を見るに、本当に他意はないらしい。したいからするって……少しの残念な気持ちと、サクラの今後が心配になった。
「はぁ……。お前、誰にでもするんじゃないぞ」
「はーい」
能天気な返事に俺は思わず頭を抱えた。
「でも、先生の驚いた顔、面白かったなー」
おかしそうに笑うサクラに俺は仕返しをしたくなった。
「ねぇ、サクラ?」
「うん?」
俺はサクラの腕を引っ張り、片方の手で自分のマスクをおろすと、サクラの頭に手をまわし、顔を引き寄せ口付けた。
「えっ……」
「俺もしたくなっちゃって」
唇を離しニコッと笑うと、呆気に取られていたサクラの顔がだんだんと赤くなっていく。
「なに今更恥ずかしがってるの」
「だって、直接だったし……それに自分からするのと、相手からされるのじゃあ、色々と違うのよ……」
よっぽど恥ずかしかったのだろう。サクラは両手で顔を隠しているが、その間からは真っ赤に染まる肌色が見える。そして、指の隙間から見える潤んだ翡翠色の瞳に俺は釘付けになった。
仕返しは成功したが、いままで見たことのないサクラの表情にどうやら俺の心は捕らわれたらしい。
7班での任務中、俺は大木の下でナルト達の様子を見ていた。今日の任務は草むしりで、3人とも必死に作業している。
温かい春の日差しに加え、昨日夜遅くまで本を読んでいたせいか寝不足の俺は“一応、任務中だから……”と眠気と戦っていたが、ついにそれに負け、目を閉じてしまった。
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寝ていても、長年の感覚で誰かが俺の近くにやってくるのが分かった。この気配は危険なものでもなく、馴染みのある気配だったのでおそらく3人のうちの1人だろう。
どうせ俺が寝ている間にマスクをはぎ取ってやろうという魂胆だと思ったので、ひたすら寝たふりを続けた。直前で目を開けて注意すればいい。
気配が俺のすぐそばまで来ている。視線を感じるので、おそらく顔を覗き込まれているのだろう。気配が顔のすぐ近くまできたため、俺は“いまだ”と目を開けた。
すると、綺麗な翡翠色の瞳と視線がぶつかり、さらに唇にマスク越しだが柔らかい感触を感じた。
翡翠色の瞳は俺が突然目を開けたことに驚いたのか、形を丸くしながら離れていった。
「びっくりした……」
「それはこっちの台詞だよ……サクラ」
そう、目の前にいたのはサクラだったのだ。
「てか、お前……いま……」
「うん、キスしちゃった」
悪びれた様子もなくサクラは言う。やはり俺はマスク越しにキスされたのか……。
「しちゃったって、どうして……」
「先生ったら、全然起きないんだもん。ほら、よくお伽話であるでしょ? 王子様のキスでお姫様が目覚めるって。だから、試してみたんだけど本当だったみたいね!」
サクラは悪戯が成功したように笑った。
「だったら普通逆だと思うんだけど……。それにお前はサスケが好きなんじゃなかったのか?」
「もちろん好きよ」
「だったら何で俺にキスを?」
「私は先生も好きなの。もちろんナルトも」
「はぁ……?」
俺はサクラの言っていることが理解できなかった。
「じゃあ、俺以外にもこうしてキスするの?」
「うーん、どうだろう? でも、いまはね何かしたいな~と思って。だからしたの」
サクラの様子を見るに、本当に他意はないらしい。したいからするって……少しの残念な気持ちと、サクラの今後が心配になった。
「はぁ……。お前、誰にでもするんじゃないぞ」
「はーい」
能天気な返事に俺は思わず頭を抱えた。
「でも、先生の驚いた顔、面白かったなー」
おかしそうに笑うサクラに俺は仕返しをしたくなった。
「ねぇ、サクラ?」
「うん?」
俺はサクラの腕を引っ張り、片方の手で自分のマスクをおろすと、サクラの頭に手をまわし、顔を引き寄せ口付けた。
「えっ……」
「俺もしたくなっちゃって」
唇を離しニコッと笑うと、呆気に取られていたサクラの顔がだんだんと赤くなっていく。
「なに今更恥ずかしがってるの」
「だって、直接だったし……それに自分からするのと、相手からされるのじゃあ、色々と違うのよ……」
よっぽど恥ずかしかったのだろう。サクラは両手で顔を隠しているが、その間からは真っ赤に染まる肌色が見える。そして、指の隙間から見える潤んだ翡翠色の瞳に俺は釘付けになった。
仕返しは成功したが、いままで見たことのないサクラの表情にどうやら俺の心は捕らわれたらしい。
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