NARUTO/カカサク 短編①
EONIAN -イオニアン-/ELISA
激動の大戦も終わり、俺は火影になった。今日も執務に追われてると、ドアをノックする音が聞こえる。
「はい、どうぞー」
「失礼しまーす」
そう言って入ってきたのはサクラだった。
「サクラじゃないの、久しぶりだね」
「お久しぶりです、六代目」
「その呼び方止めてよねー、昔みたいに先生って呼んでよ」
「……それじゃあ、先生。これ報告書の確認お願いします」
そう言ってサクラは報告書を差し出してくるので、俺はそれを受け取る。
「あっ!」
「どうしたの?」
「これって向日葵?」
サクラの視線を辿ると、棚の上の花瓶に生けてある向日葵があった。
「あぁ、それね。お客さんにもらったやつをシカマルが生けてくれたんだよね」
「ふ~ん」
サクラはそれをしばらく眺めると、唐突に話し出す。
「……先生、覚えてる? 昔、私と先生とナルトとイルカ先生の4人で向日葵畑に行ったこと」
「あ~、覚えてるよ。お前たちに無理やり連れて行かれたやつでしょ」
「無理やりって……最終的には先生も楽しんでたじゃない」
「そうだっけ?」
「そうよ。最終的には忍犬たちも呼び出して、追いかけっこしたのは懐かしいわね~」
サクラはあの頃を思い出しているのか懐かしい目をしている。
「あの向日葵畑はもう見れないのよね……」
「そうだね、確かいまは更地になっているはず」
「そっかー。もう一回見たかったな……」
寂しい表情をするサクラに俺はかける言葉が見つからなかった。
サクラが出て行ったあと、執務を再開したが、どうにもあの悲しそうな顔が頭から離れない。俺が項垂れていると休憩から戻ってきたシカマルが驚いてこちらを見る。
「どうしたんっすか?」
「ねぇ、シカマル。向日葵畑つくるにはどうしたらいい?」
「急に何ですか……とりあえず、幻術とかはどうっすか?」
「幻術じゃあちょっと……」
「だったら植えるしかないんじゃないっすか」
「だよねー……よし! 決めた!」
「えっ………まさか」
シカマルが青ざめた顔をする。俺はそれを無視し、ある頼みごとをした。
―――――――――――――――――――――――――――――
「ちょっと!? いきなりどうしたの?」
「いいからいいから」
休日にいきなり先生が家に来たかと思うと、私は目隠しをされ、連れられるがまま歩いている。
「ね~、どこに行くの?」
「どこだと思う?」
「だからそれを聞いてるんだって。それより先生、こんなところで油を売ってていいの?」
「今日は特別に休みをもらったから、大丈夫」
「へぇ~、珍しいわねー」
先生は私が転ばないようにしっかりと手を繋いで歩いている。私は久しぶりの先生のぬくもりにドキドキしていた。実は、私は先生のことが好きなのだ。サスケくんへの思いはいつのまにか昇華し、代わりに先生への想いに気づいたのだが、その頃には先生は“火影”という手の届かない存在になっていた。そのため半ば諦めていたのだが、まさか先生から訪ねてきてくれるとは。もちろん元教え子だからという理由だろうが、それでも私は嬉しかった。そんなことを考えていると先生の歩みが止まる。
「着いた?」
「うん、もうそれ取っていいよ」
先生が手を離してくれたため、私は目隠しを取る。そして目の前に広がった光景に思わず目を奪われる。
「ここって……」
「そう。昔と同じ場所ではないけどね」
まわりを見渡すと、あたり一面立派な向日葵が咲いていた。昔、4人で来た向日葵畑にそっくりだ。
「……これ、一体どうしたの?」
「前に言ってたでしょ、向日葵畑が見たいって。俺もそれから見たくなって、シカマルにも協力してもらいながら、ここまで育て上げたんだ」
確かにそんな話はした。でも、その話をしたのは1年ほど前だったはず。それからこの向日葵畑を作り上げたとしたら……
「すごい……」
「でしょー。人間やろうと思えば、案外やれるもんだね」
そう得意げに微笑むから、私もつられて笑顔になる。それから私達は懐かしい話をたくさんした。先生とこんなにゆっくり過ごしたのは久しぶりだな。
「まさかまたこの向日葵畑が見れるなんて……夢みたい」
「俺、頑張ったでしょー」
「はいはい、頑張りましたねー」
「ちょっと、感情込もってないんだけど」
「込めてるわよ。それよりまたナルトやイルカ先生も一緒に来たいわね。もちろん先生の忍犬達も呼んで」
「それもいいね。でも俺はまた2人で来たいな」
「2人?」
「俺とサクラ」
「いま来てるじゃない」
「そうなんだけど……」
先生の歯切れが悪い。一体どうしたんだろう?
「どうしたのよ、先生?」
「サクラ……」
先生が急に真剣な眼をして、私の両手を握ってくる。
「俺と結婚してください」
「……ん?」
“結婚してください”って言った? 先生が? 私に?
「えーーーーーーーーーーーーーー!!!」
私は思わず叫ぶ。
「えっ、ちょっと待って! そもそも私達付き合ってないよね?」
「うん」
「うんって……じゃあ、どうして」
「分かった。言い方を変えるよ。俺と結婚を前提に付き合ってください」
「それならいいわよ……じゃなくて! なんでいきなり」
「俺、前からサクラのこと好きだったよ」
「うそ! そんな素振り見せなかったじゃない」
「そうかな? そりゃあ、火影になってからは忙しくてあまり会えなかったけど。その前はけっこう構っていたじゃない」
「それはてっきり元教え子だからかなって……」
「サクラだから。それにこの向日葵畑も、俺が見たかったっていうのもあるけど、一番はサクラが見たいって言ったからだよ」
次々と明かされる先生の気持ちに私はただただ驚いていた。
「……それで返事は?」
先生は少しだけ不安そうに私のことを見つめてくる。私の答えはもう決まっている。
「私も先生のことが好きです。よろしくお願いします」
私はこの気持ちが伝わるようにしっかりと先生の目を見つめ、先生の手を握る。先生は少し目を見開いたかと思うと、すぐに破顔し私を抱き締めた。
「来年も、再来年も、そのずっと先も。こうやって一緒にこの景色を見ような」
「うん!」
私もそれに応えるように、先生の背中に腕をまわした。
激動の大戦も終わり、俺は火影になった。今日も執務に追われてると、ドアをノックする音が聞こえる。
「はい、どうぞー」
「失礼しまーす」
そう言って入ってきたのはサクラだった。
「サクラじゃないの、久しぶりだね」
「お久しぶりです、六代目」
「その呼び方止めてよねー、昔みたいに先生って呼んでよ」
「……それじゃあ、先生。これ報告書の確認お願いします」
そう言ってサクラは報告書を差し出してくるので、俺はそれを受け取る。
「あっ!」
「どうしたの?」
「これって向日葵?」
サクラの視線を辿ると、棚の上の花瓶に生けてある向日葵があった。
「あぁ、それね。お客さんにもらったやつをシカマルが生けてくれたんだよね」
「ふ~ん」
サクラはそれをしばらく眺めると、唐突に話し出す。
「……先生、覚えてる? 昔、私と先生とナルトとイルカ先生の4人で向日葵畑に行ったこと」
「あ~、覚えてるよ。お前たちに無理やり連れて行かれたやつでしょ」
「無理やりって……最終的には先生も楽しんでたじゃない」
「そうだっけ?」
「そうよ。最終的には忍犬たちも呼び出して、追いかけっこしたのは懐かしいわね~」
サクラはあの頃を思い出しているのか懐かしい目をしている。
「あの向日葵畑はもう見れないのよね……」
「そうだね、確かいまは更地になっているはず」
「そっかー。もう一回見たかったな……」
寂しい表情をするサクラに俺はかける言葉が見つからなかった。
サクラが出て行ったあと、執務を再開したが、どうにもあの悲しそうな顔が頭から離れない。俺が項垂れていると休憩から戻ってきたシカマルが驚いてこちらを見る。
「どうしたんっすか?」
「ねぇ、シカマル。向日葵畑つくるにはどうしたらいい?」
「急に何ですか……とりあえず、幻術とかはどうっすか?」
「幻術じゃあちょっと……」
「だったら植えるしかないんじゃないっすか」
「だよねー……よし! 決めた!」
「えっ………まさか」
シカマルが青ざめた顔をする。俺はそれを無視し、ある頼みごとをした。
―――――――――――――――――――――――――――――
「ちょっと!? いきなりどうしたの?」
「いいからいいから」
休日にいきなり先生が家に来たかと思うと、私は目隠しをされ、連れられるがまま歩いている。
「ね~、どこに行くの?」
「どこだと思う?」
「だからそれを聞いてるんだって。それより先生、こんなところで油を売ってていいの?」
「今日は特別に休みをもらったから、大丈夫」
「へぇ~、珍しいわねー」
先生は私が転ばないようにしっかりと手を繋いで歩いている。私は久しぶりの先生のぬくもりにドキドキしていた。実は、私は先生のことが好きなのだ。サスケくんへの思いはいつのまにか昇華し、代わりに先生への想いに気づいたのだが、その頃には先生は“火影”という手の届かない存在になっていた。そのため半ば諦めていたのだが、まさか先生から訪ねてきてくれるとは。もちろん元教え子だからという理由だろうが、それでも私は嬉しかった。そんなことを考えていると先生の歩みが止まる。
「着いた?」
「うん、もうそれ取っていいよ」
先生が手を離してくれたため、私は目隠しを取る。そして目の前に広がった光景に思わず目を奪われる。
「ここって……」
「そう。昔と同じ場所ではないけどね」
まわりを見渡すと、あたり一面立派な向日葵が咲いていた。昔、4人で来た向日葵畑にそっくりだ。
「……これ、一体どうしたの?」
「前に言ってたでしょ、向日葵畑が見たいって。俺もそれから見たくなって、シカマルにも協力してもらいながら、ここまで育て上げたんだ」
確かにそんな話はした。でも、その話をしたのは1年ほど前だったはず。それからこの向日葵畑を作り上げたとしたら……
「すごい……」
「でしょー。人間やろうと思えば、案外やれるもんだね」
そう得意げに微笑むから、私もつられて笑顔になる。それから私達は懐かしい話をたくさんした。先生とこんなにゆっくり過ごしたのは久しぶりだな。
「まさかまたこの向日葵畑が見れるなんて……夢みたい」
「俺、頑張ったでしょー」
「はいはい、頑張りましたねー」
「ちょっと、感情込もってないんだけど」
「込めてるわよ。それよりまたナルトやイルカ先生も一緒に来たいわね。もちろん先生の忍犬達も呼んで」
「それもいいね。でも俺はまた2人で来たいな」
「2人?」
「俺とサクラ」
「いま来てるじゃない」
「そうなんだけど……」
先生の歯切れが悪い。一体どうしたんだろう?
「どうしたのよ、先生?」
「サクラ……」
先生が急に真剣な眼をして、私の両手を握ってくる。
「俺と結婚してください」
「……ん?」
“結婚してください”って言った? 先生が? 私に?
「えーーーーーーーーーーーーーー!!!」
私は思わず叫ぶ。
「えっ、ちょっと待って! そもそも私達付き合ってないよね?」
「うん」
「うんって……じゃあ、どうして」
「分かった。言い方を変えるよ。俺と結婚を前提に付き合ってください」
「それならいいわよ……じゃなくて! なんでいきなり」
「俺、前からサクラのこと好きだったよ」
「うそ! そんな素振り見せなかったじゃない」
「そうかな? そりゃあ、火影になってからは忙しくてあまり会えなかったけど。その前はけっこう構っていたじゃない」
「それはてっきり元教え子だからかなって……」
「サクラだから。それにこの向日葵畑も、俺が見たかったっていうのもあるけど、一番はサクラが見たいって言ったからだよ」
次々と明かされる先生の気持ちに私はただただ驚いていた。
「……それで返事は?」
先生は少しだけ不安そうに私のことを見つめてくる。私の答えはもう決まっている。
「私も先生のことが好きです。よろしくお願いします」
私はこの気持ちが伝わるようにしっかりと先生の目を見つめ、先生の手を握る。先生は少し目を見開いたかと思うと、すぐに破顔し私を抱き締めた。
「来年も、再来年も、そのずっと先も。こうやって一緒にこの景色を見ような」
「うん!」
私もそれに応えるように、先生の背中に腕をまわした。
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