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NARUTO/カカサク 短編①

Girlfriend/アヴリル・ラヴィーン


任務がない日、当てもなく歩いているとカカシ先生を見つけた。

「カカシせんせ〜い!」
「サクラじゃないか、どうした?」
「特に用はないんだけど、カカシ先生を見つけたから声をかけてみたの。先生は何やってるの?」
「あ〜、俺は」
「カカシ? 誰、その子?」

カカシ先生が言い淀んでいると、長い艶やかな黒髪と翡翠色の瞳が綺麗な女の人がカカシ先生のそばに寄ってきた。

「この子は俺の教え子だよ」
「あっ、初めまして。春野サクラです」
「サクラちゃんって言うのね。初めまして、カカシの彼女です」

そう言って、カカシ先生の腕を組んだ。
なんとなくだけど、女の勘が働いた。
私、この女の人気に入らない。
そして、ある賭けに出ることにした。

「そうなんですか。先生と偶然会ったので、せっかくだから修行してもらおうと思ったんですけど……邪魔しちゃ悪いですよね」

私は悲しい表情で2人を見た。

「そうね、ごめんなさいね。いまはカカシとデー「いや、大丈夫だよ」

断りを入れる彼女の言葉をカカシ先生が遮った。

「えっ、カカシ。どういうこと」
「悪いね。可愛い教え子の頼みは断れない。いまからサクラの修行をみることにするよ」

その返事を聞き、私は心の中でガッツポーズをした。

「ありがとう、先生! 彼女さん、ごめんなさい」
「えっ、ちょっと」

戸惑う彼女を無視し、私はカカシ先生の腕を引っ張り、その場を後にした。
振り返ると、彼女に向かって勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
彼女は呆気に取られていた。


そのあとすぐにカカシ先生に彼女と別れたことを聞いた。

「それってもしかして私のせい? あの時邪魔しちゃったから……」

「う〜ん、きっかけはそうかもしれないけど、俺もそんなに好きじゃなかったしね。こうなるのは時間の問題だったと思うよ」

「じゃあ、なんで付き合ったの?」

「告白されたから。彼女もいなかったからね」

「ふ〜ん。まぁ、いいんじゃない。カカシ先生にはもっとお似合いの人がいると思うよ」

「ありがとな、サクラ」

そう言ってカカシ先生は私の頭を撫でた。




それからすこし経ったあと、また当てもなく歩いていると、カカシ先生を見つけた。
桃色のショートカットの小柄な可愛い人と一緒に腕を組んで歩いている。

そういえば、新しい彼女できたって言ってたわね。
私はまた賭けをしようと、2人に近寄った。

「せんせ〜い!」
「サクラじゃないか」
「先生ってことはカカシの生徒かしら?」
「そうだよ」
「先生、その人が新しい彼女?」

彼女の眉がピクッと動いたのが分かった。

「うん、そうだよ」
「そっか。あのね、デートしてる最中に悪いんだけど、先生にお願いがあるの」
「どうした?」

私は眉を下げて先生を見た。

「明日任務があるでしょ。ナルトとサスケくん、もちろん先生にもお弁当作るんだけど、食材の買い出し手伝ってほしいなって。4人分の買い出し、1人じゃ不安なの」
「ちょっと、何なの。いまカカシは私とデート中よ」

彼女が苛立ったように私に言った。

「……それは大変だな。よし、分かった」
「ちょっ! カカシ」
「そういうことだから、悪いな。行くか、サクラ」
「うん!」

カカシ先生は彼女から腕を振りほどき、私の手を繋いで歩き出した。
私は後ろを振り向き、先生に見えないようにあっかんべーした。
彼女が地団駄を踏んでいるのが見えた。


前回同様、あのあとすぐに彼女と別れたことをカカシ先生から聞いた。

「早いわね〜。もしかして今回もあのときのことがきっかけ?」
「そうかもな」
「先生、私のこと優先してくれるのは嬉しいけど、これで良かったの?」
「サクラの方が大事だから、これでいいんだよ」

そう言ってまたカカシ先生は私の頭を撫でた。
カカシ先生の手、安心するわ。



カカシ先生はまたすぐに彼女を作った。
私は同じように先生と彼女の邪魔をした。
邪魔というか、賭けをしたのだ。
私と彼女のどちらを優先するか。
カカシ先生は私を選んでくれた。

そしてまたカカシ先生は新しい彼女を作り、私が賭けをしていくという無限ループ。
もちろんカカシ先生は私をいつも優先する。

自分でも良くないことだと思うけど、カカシ先生の隣に自分以外の女がいるのが嫌なのだ。
でも、いつか私以外を優先する日がくるのだろうか。
それは嫌だな。

先生がまた彼女と別れたらしい。

「ねぇ、これでもう何人目?」
「うーん。何人目だろうな」
「もう彼女作るのやめたら?」
「でも向こうが告白してくるし。別に嫌いじゃないからいいかなって」
「好きでもないんでしょ?」
「まぁね」
「先生は好きな人いないのー?」
「うーん、どうだろうね」
「えっ!? いるの」

てっきりいないって返ってくるかと思った。

「……サクラの好きな人はサスケでしょ?」
「えっ、うん。たぶん」
「なんだ、たぶんって」
「確かにサスケくんはかっこいいし、トキメクんだけどね。彼氏じゃなくていいかなーって」
「どういう意味だ?」
「付き合うなら私の事が好きな人と付き合いたいの。私を大事にしてほしいの。サスケくんとはそういう想像つかないわ」
「なるほどねー」
「ねぇ、カカシ先生。私を彼女にしない?」
「サクラを彼女に?」
「うん。だって、先生。私のこと好きでしょ」

先生は目を見開いた。

「どうしてそう思うの?」
「だって、いつも彼女より私を優先してくれるじゃない」
「そりゃあ、大事な教え子だからね」
「彼女より、教え子優先するの?」
「だってサクラといる方が楽しいんだもん」
「じゃあ、いいじゃない。私も先生といると落ち着くし」
「落ち着くって……。でも、サクラだって俺のこと好きでしょ」
「どうして?」
「俺が女の人といるといつも邪魔してくるでしょ」
「だって先生の隣に私以外の女の人がいるのが気に入らないんだもん」
「それをヤキモチって言うんでしょ。それより俺の彼女になってくれるの?」
「うん! 私しか先生に相応しい人いなさそうだしね」
「すごい自信だね。まぁ、そんなサクラにについていけるのも俺しかいないね」
「当然でしょ!」

そして、私達は付き合いはじめた。

―――――――――――――――――――――

仲良さそうに腕を組んで歩くカカシとサクラを眺める2人がいた。

「やっと付き合ったわね、あの2人。お互い好きなの丸わかりなのに、長かったわー」
「本当にな。カカシのやつはサクラのこと好きなくせに彼女作るし。まぁ、付き合う女はどこかしらサクラに似てるやつばっかりだったけどな」
「サクラもサスケくんにアピールするのは変わらないのに、私と話するのはカカシ先生の話ばっかりだったわ。カカシ先生に彼女ができるたびに荒れてて、何度それに付き合わされたことか」
「それは大変だったな。まぁ、カカシもサクラに近づく男、片っ端から片付けてたしな」
「あら、やっぱりそうだったの。サクラに近づく男、減ったなって思ってたのよね」
「結局なんだかんだ似たもの同士でお似合いだな、あの2人は」
「そうね。似合いすぎよ」
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