NARUTO/カカサク 短編①
Love so sweet/嵐
「せんせーい!」
サクラに呼び止められ、俺は立ち止まる。
「はい、これ。バレンタインのお菓子」
「毎年ありがとうね」
サクラから綺麗にラッピングされた箱を受け取る。
そういえば、今日はバレンタインデーだったな。俺はサクラに渡されたことで気づく。
「それじゃあ、私行くわね。あまり日持ちしないから、なるべく早めに食べてね」
そう言ってサクラは去っていった。俺はリボンをとり、さっそく箱を開ける。丸い形をした桜色と緑色のものが2つ入っていた。
桜色と緑色、まるで俺とサクラの色みたいだなと、柄に合わないことを思う。
箱の中にはメッセージカードも入っていて、サクラの可愛いらしい字でこう書かれていた。
ハッピーバレンタイン!
たくさんの色があってどの色を作るか迷ったんだけど、この2色にしたの。
まるで先生と私の色じゃない? なんてね!
ちゃんと味わって食べてね!
サクラも同じことを考えていたのかと、俺は思わずニヤける。
「何ニヤけてるの、気持ち悪い。あら、マカロンなんてオシャレね」
偶然通りかかったであろう紅が俺に悪態をついたかと思うと、箱の中身を覗く。
「これがマカロンなのか?」
サクラに以前言われたことを思い出す。
「えぇ、そうよ。今日はバレンタインだったわね。マカロンを渡すなんて中々の上級者じゃない」
「上級者?」
「マカロンって、ものにもよるけど、けっこうな値段がするのよ。作るにしても大変だし。それは手作りみたいね。そこまで作るのに苦労したと思うわよ。それに……」
「それに?」
「……いや、これは私が言うことじゃないわね。まぁ、自分で考えなさい」
そう言うと紅は去っていった。
俺はさっそく緑色のマカロンを食べる。
サクサクしていて不思議な食感だ。見た目通り抹茶味で、甘さ控えめで食べやすい。
桜色にも手を伸ばす。これも同じく桜の味がした。こちらも甘さが抑えられており、サクラの気遣いが感じられる。
もしかして、これもキャンディと同じように意味があるのだろうか。
あるとしたら、サクラはそれを知ってあえて渡したのか。それともそうではないのか。
俺はとりあえずマカロンの意味を調べることにした。
マカロンの意味を調べると“あなたは特別な人”ということが分かった。
念のため、ナルトやサスケにも確認したが、サクラから受け取ったのはチョコレートらしく、マカロンはどうやら俺だけみたいだ。これは期待してもいいのか……俺は悩んでいた。
とりあえずいつも通っている飴専門店を訪れる。そこは夫婦で営んでいる個人店で、俺でも入りやすい。サクラにあげる飴はいつもここで買っているので、俺は店主にも顔を覚えられていた。
「いらっしゃいませ。今日はホワイトデーのお返しですか?」と、店主が笑顔で出迎えてくれる。
「えぇ、まぁ」と返事をし、俺は少し恥ずかしい気持ちになりながらも、店内を物色する。色々種類があって悩むな……去年は小瓶に入った色とりどりの飴で、その前は飴で作ったミニブーケ。今年はどんな飴にしよう。俺が悩んでいると店主の奥さんが思わぬ提案をしてきた。
「そんなに悩むなら、自分で作ってみませんか?」
「えっ?」
「飴細工です。やってみませんか?」
「でも、やったことないですし……」
「初めてでも簡単にできるものもあるので、そこは心配しなくて大丈夫です。手作りの方がきっと思いが伝わりますよ」
俺は少し悩んだ後、その提案を引き受けることにし、後日店主と奥さんに教えてもらいながら、飴細工で3本の薔薇を作った。
ホワイトデー当日。俺はサクラの家を訪れ、チャイムを鳴らす。
しばらくしてサクラが「いらっしゃい、先生!」とドアを開ける。俺は「はい、ホワイトデーのお返し」と、さっそく自分で作った飴を渡す。
「ありがとう!……これって飴の薔薇?」
「うん、俺が作ったからすこし不格好だけど」
「えっ、これ先生が作ったの!? てっきりお店で買ったのかと……」
「俺が良く行くお店の店主が好意で俺に教えてくれたんだ」
「そうだったのね……」
サクラはまじまじと飴を見つめる。
「そんなに見ないでよ……恥ずかしい」
「いやよ、先生が私のために作ってくれたんでしょ。すごく嬉しい」
サクラの笑顔に俺は良かったと安心する。でも……
「ねぇ、サクラ?」
「うん?」
「それ薔薇だよね」
「えぇ、どこからどう見ても薔薇よ」
「赤色だよね」
「うん、イチゴ味?」
「そう、イチゴ味。じゃなくて、本数は?」
「3本よ」
サクラは不思議そうに俺を見つめる。ここまでしても気付かないか……俺が項垂れていると、サクラは「赤色の薔薇、3本……」と呟いて考えている。そして、「えっ!」と何かに思い当たったようだ。
「先生、もしかして……」
サクラの顔が赤く染まっていく。
「……やっと気づいてくれた?」
「えっと……先生が私に告白してくれてるってこと?」
「そう! はぁ、ここまで長かった」
安心した俺は思わずため息をつく。
「もうっ! 分かりづらいわよっ!」
「ごめんごめん。俺ってこう見えて奥手だからさー。でも、サクラからバレンタインデーにマカロンもらって、勇気出してみたわけよ」
「奥手とかいう割には前にキスしてきたくせに」
「まぁ、それはそれってことで。で、サクラの返事は?」
「もう分かってるんじゃないの?」
「うん。でもサクラの言葉で聞きたいなー」
「それじゃあ、先生もきちんと言葉で聞かせてくれる?」
「それはサクラ次第かなー」
「仕方ないわね……。大好き、先生!」
そう言ってサクラは抱きついてくる。「俺も好きだよ」と、そんなサクラを俺は優しく受け止めた。
これで一件落着と思ったが、サクラの家の玄関先でこのやり取りをしていたため、それを偶然目撃した紅に俺達のことが言いふらされ、しばらく里中から冷やかされていたのはまた別の話。
(3本の赤い薔薇→あなたを愛しています)
「せんせーい!」
サクラに呼び止められ、俺は立ち止まる。
「はい、これ。バレンタインのお菓子」
「毎年ありがとうね」
サクラから綺麗にラッピングされた箱を受け取る。
そういえば、今日はバレンタインデーだったな。俺はサクラに渡されたことで気づく。
「それじゃあ、私行くわね。あまり日持ちしないから、なるべく早めに食べてね」
そう言ってサクラは去っていった。俺はリボンをとり、さっそく箱を開ける。丸い形をした桜色と緑色のものが2つ入っていた。
桜色と緑色、まるで俺とサクラの色みたいだなと、柄に合わないことを思う。
箱の中にはメッセージカードも入っていて、サクラの可愛いらしい字でこう書かれていた。
ハッピーバレンタイン!
たくさんの色があってどの色を作るか迷ったんだけど、この2色にしたの。
まるで先生と私の色じゃない? なんてね!
ちゃんと味わって食べてね!
サクラも同じことを考えていたのかと、俺は思わずニヤける。
「何ニヤけてるの、気持ち悪い。あら、マカロンなんてオシャレね」
偶然通りかかったであろう紅が俺に悪態をついたかと思うと、箱の中身を覗く。
「これがマカロンなのか?」
サクラに以前言われたことを思い出す。
「えぇ、そうよ。今日はバレンタインだったわね。マカロンを渡すなんて中々の上級者じゃない」
「上級者?」
「マカロンって、ものにもよるけど、けっこうな値段がするのよ。作るにしても大変だし。それは手作りみたいね。そこまで作るのに苦労したと思うわよ。それに……」
「それに?」
「……いや、これは私が言うことじゃないわね。まぁ、自分で考えなさい」
そう言うと紅は去っていった。
俺はさっそく緑色のマカロンを食べる。
サクサクしていて不思議な食感だ。見た目通り抹茶味で、甘さ控えめで食べやすい。
桜色にも手を伸ばす。これも同じく桜の味がした。こちらも甘さが抑えられており、サクラの気遣いが感じられる。
もしかして、これもキャンディと同じように意味があるのだろうか。
あるとしたら、サクラはそれを知ってあえて渡したのか。それともそうではないのか。
俺はとりあえずマカロンの意味を調べることにした。
マカロンの意味を調べると“あなたは特別な人”ということが分かった。
念のため、ナルトやサスケにも確認したが、サクラから受け取ったのはチョコレートらしく、マカロンはどうやら俺だけみたいだ。これは期待してもいいのか……俺は悩んでいた。
とりあえずいつも通っている飴専門店を訪れる。そこは夫婦で営んでいる個人店で、俺でも入りやすい。サクラにあげる飴はいつもここで買っているので、俺は店主にも顔を覚えられていた。
「いらっしゃいませ。今日はホワイトデーのお返しですか?」と、店主が笑顔で出迎えてくれる。
「えぇ、まぁ」と返事をし、俺は少し恥ずかしい気持ちになりながらも、店内を物色する。色々種類があって悩むな……去年は小瓶に入った色とりどりの飴で、その前は飴で作ったミニブーケ。今年はどんな飴にしよう。俺が悩んでいると店主の奥さんが思わぬ提案をしてきた。
「そんなに悩むなら、自分で作ってみませんか?」
「えっ?」
「飴細工です。やってみませんか?」
「でも、やったことないですし……」
「初めてでも簡単にできるものもあるので、そこは心配しなくて大丈夫です。手作りの方がきっと思いが伝わりますよ」
俺は少し悩んだ後、その提案を引き受けることにし、後日店主と奥さんに教えてもらいながら、飴細工で3本の薔薇を作った。
ホワイトデー当日。俺はサクラの家を訪れ、チャイムを鳴らす。
しばらくしてサクラが「いらっしゃい、先生!」とドアを開ける。俺は「はい、ホワイトデーのお返し」と、さっそく自分で作った飴を渡す。
「ありがとう!……これって飴の薔薇?」
「うん、俺が作ったからすこし不格好だけど」
「えっ、これ先生が作ったの!? てっきりお店で買ったのかと……」
「俺が良く行くお店の店主が好意で俺に教えてくれたんだ」
「そうだったのね……」
サクラはまじまじと飴を見つめる。
「そんなに見ないでよ……恥ずかしい」
「いやよ、先生が私のために作ってくれたんでしょ。すごく嬉しい」
サクラの笑顔に俺は良かったと安心する。でも……
「ねぇ、サクラ?」
「うん?」
「それ薔薇だよね」
「えぇ、どこからどう見ても薔薇よ」
「赤色だよね」
「うん、イチゴ味?」
「そう、イチゴ味。じゃなくて、本数は?」
「3本よ」
サクラは不思議そうに俺を見つめる。ここまでしても気付かないか……俺が項垂れていると、サクラは「赤色の薔薇、3本……」と呟いて考えている。そして、「えっ!」と何かに思い当たったようだ。
「先生、もしかして……」
サクラの顔が赤く染まっていく。
「……やっと気づいてくれた?」
「えっと……先生が私に告白してくれてるってこと?」
「そう! はぁ、ここまで長かった」
安心した俺は思わずため息をつく。
「もうっ! 分かりづらいわよっ!」
「ごめんごめん。俺ってこう見えて奥手だからさー。でも、サクラからバレンタインデーにマカロンもらって、勇気出してみたわけよ」
「奥手とかいう割には前にキスしてきたくせに」
「まぁ、それはそれってことで。で、サクラの返事は?」
「もう分かってるんじゃないの?」
「うん。でもサクラの言葉で聞きたいなー」
「それじゃあ、先生もきちんと言葉で聞かせてくれる?」
「それはサクラ次第かなー」
「仕方ないわね……。大好き、先生!」
そう言ってサクラは抱きついてくる。「俺も好きだよ」と、そんなサクラを俺は優しく受け止めた。
これで一件落着と思ったが、サクラの家の玄関先でこのやり取りをしていたため、それを偶然目撃した紅に俺達のことが言いふらされ、しばらく里中から冷やかされていたのはまた別の話。
(3本の赤い薔薇→あなたを愛しています)
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