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NARUTO/カカサク 短編①

CAT'S EYE/杏里

-カカシSide-

風呂も入り、明日の準備も終え、そろそろ寝ようと寝室へ移動する。
寝室に入るとベッドの上にネコがいた。

「お前、今日もきたのね」
「ニャー」

ベッドに入ると、そのネコも当たり前のように入る。
俺はいつものようにネコを抱え、目を閉じ、眠りにつく。


確か2週間ほど前だろうか。これが日常になったのは。
俺はもともと不眠気味だったが、ここ数日はさらにひどかった。
同期や教え子たちにも心配されるしまつで、どうにかしないと……と考えていたときだった。

今日の夜も眠れるか分からないが、とりあえず布団に入ろうとした時、1匹のネコが俺の寝室の窓から入ってきたのだ。

ロシアンブルーのようなスラっとした見た目だが、体は桃色で、翡翠色に輝く瞳。
まるで俺の教え子、サクラのような色合いだ。
月明りを浴びる姿は神々しく、俺は思わず見惚れる。
そのネコも俺をただひたすらに見つめる。

どのぐらいそうしていただろう。あまりにも綺麗なネコだったのでどこかの飼いネコだと思い、とりあえず追い出そうとしたがすぐに戻ってくる。腹が減っているのかと思いミルクをあげたが、飲まなかったため餌目当てでもないらしい。

どうしたものかと悩んでいると、そのネコはベッドの端にうずくまり、寝ようとしていた。俺はもうどうにでもなれと思い、ネコをつぶさないように布団に入ると目を閉じた。ネコの体温は温かい。それに落ち着く香りもする。この香りはどこかで嗅いだことがあるけど、どこだったけ……。そうこう考えているうちにいつのまにか深い眠りに入っていった。

目を開けると、朝になっていた。頭もすっきりしている。横を見ると隣にいるはずのネコがいなくなっていた。夢だったのだろうか。
しかし、温かさが残っているため、先ほどまで傍にいたことが分かる。窓が少し開いていて、そこから出て行ったのだろう。俺は久しぶりにいい調子で家を出た。

それから夜になると、ネコはほとんど毎日やってきた。
俺はそのネコを抱いて眠るという日々が続いていた。

ある日、ネコが来なかった日があったが、案の定眠れなかった。
次に来なかった日にはパックンを抱いて寝てみたが、やはり眠れない。
「お前じゃないみたい。なんか、ごめん」と言った時のパックンの呆れた表情を忘れることはないだろう。
どうやらあのネコじゃないと、俺はぐっすり眠れないらしい。
今日も来たネコを抱えると、この日々がいつまでも続くようにと目を閉じた。

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-サクラSide-

最近、先生のクマと顔色がひどい。
ただでさえ眠そうな顔がさらにひどい顔になっており、私含めナルトやサスケくんも心配していた。
聞いたところによると、どうやら眠れないらしい。

私はこのままだと任務に支障が出かねないと思い、本などを読んで先生の不眠を直す方法を探した。
そして、“動物と寝るといい”という記事をみた。

術で変化したらすぐにバレるし、本物の動物をプレゼントしてもきっと困るだろう。
悩んだ結果、私は“動物に変身できる”薬を作ることにした。
無事に薬が完成し、試しに飲んでみると瞬く間にネコに変身。
その人物に合う動物に変身する薬だったが、私はネコのようだ。
鏡の前にいき、一回転して容姿を確認する。

ピンとした耳に細長い尻尾、どこからどう見てもネコ。
念のため「あー」って声を出すと、「ニャー」と聞こえる。
どうやら言葉も話せなくなるみたいね。
私はさっそく先生の家に行くことにした。

向かいながら、先生の家にどうやって入ろうかを考える。
玄関から入ろうにしても呼び鈴を鳴らすのはこの大きさじゃ厳しいし、怪しまれるだろう。
だとしたら窓から入るしかないか。
開いていれば普通に入ればいいし、鍵がかかっていれば叩いて気付いてもらえばいい。

先生の家に着き、窓が開いていたためそこから入る。
ちょうど先生がいて、私はびっくりして固まる。
先生も驚いているようだった。

私はドキドキが止まらない。術を使っていないとはいえ、体毛など珍しい色なため、もしかしたらバレるかもしれない。

しばらく見つめ合う。先に動いたのは先生だった。
こちらに来ると、私の首根っこを掴み、「お前、帰る家間違えてるよ」と言って外に放り出す。

どうやらバレていないらしい。私はこれはチャンスと、再び窓から入る。
先生はそのたびに追い出そうとするが、私も負けまいとすぐに戻る。
すると、先生は諦めたのか部屋から出て行った。
怒ったのかな? と心配していると、皿を持って戻ってきた。
そして、その皿を私の前に置く。どうやらミルクが入っているようだった。

「俺の家にはこれぐらいしかあげられるものがないけど……」

どうやらお腹を空かせていると勘違いしているらしい。
私は首を横に振ると、皿を先生の方へ押す。

「腹も減っていないのに、どうして……」

先生が悩みこんでいるため、私はベッドに行くとそこにうずくまる。
こうすれば“一緒に寝てあげる”という意味に気づくだろう。
それを見た先生は観念したようにベッドに入ると私を抱え込む。
先生の腕の中は温かかった。


陽の光で目が覚める。どうやら朝のようだ。
目を開けると、先生がぐっすりと寝ている。
眠れたみたいで、良かった。さすがネコ効果。

私はバレないようにそっと先生の腕から抜け出すと、窓から家に帰っていく。
自分の部屋に戻ると、薬を飲んで、人間の姿になる。
そして、任務に行く準備をし、何事もなかったかのように家を出た。


待ち合わせ場所にくると、やはり誰もいない。
しばらくするとサスケくん、ナルトがやってくる。
そして、案の定集合時間を過ぎても先生は来ない。
私がせっかく添い寝してあげたのに……。

そう思っているとようやく先生がやってきた。

「先生、今日も遅い……って、なんかスッキリした顔してるってばよ」
「あ~、何か久しぶりによく眠れてね」

先生の顔を見ると、ナルトが言ったように顔色はだいぶ良くなっている。

「俺の顔見てどうしたの、サクラ?」

凝視していたせいか、先生に不思議がられる。

「ううん、何でもない。よく眠れたみたいで良かったなって思って。さぁ、今日の任務は何かしら?」

私は何事もなかったかのように返し、先生が今日の任務内容を説明する。
それを聞きながら、私はこれからもできるだけネコになって添い寝してあげようと心に決めた。
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