NARUTO/カカサク 短編①
BOYS & GIRLS/LM.C
任務が終わり、家に帰ろうとするとカカシ先生に声を掛けられた。
「サークラ! 報告書、書くの手伝ってくれない?」
「なんで私が手伝わなきゃいけないのよ」
「あんみつ奢ってあげるから」
「……そういうことなら、仕方ないわね」
家に帰ってもすることがなかった私は、こうして先生の報告書作成を手伝うことに。これをきっかけに先生は味を占めたらしく、私が先生の報告書作成に付き合うことが増えた。
私も手伝うことは苦ではなかったし、終わった後はいつも甘いものを奢ってくれるので、特段と気にすることはなかった。
そして、今日もまた報告書作成を手伝っていると、先生が話しかけてきた。
「サクラ、明日一緒に映画に行かない?」
「急にどうしたのよ」
「いつも手伝ってもらってくれてるからね、ご褒美にどうかなって思って」
「それは嬉しいけど、ごめんなさい。明日は先約があって……」
「そっか。俺、明日しか休みないんだよね。でも1人で映画っていうのもね……」
先生は悲しそうな表情で私を見る。
「そんな捨てられた子犬みたいな目で見ないでよ。サスケくんやナルトは?」
「サスケがくるわけないだろう。ナルトは寝るに決まってる」
「確かに……。ちなみになんの映画?」
「これ」
そう言って先生はチケットを見せてきた。その映画は人気作で、私も見に行きたい作品だった。
「先生! このチケットって、人気でなかなか取れないやつじゃない!」
「知り合いにもらってね。でもサクラが行けないなら、今回は諦めるか……」
私は悩んだ。この機会を逃したら、もうその人気作は映画館で見れないかもしれない。明日は家の用事だが、別に私がいなくても構わないはず……。
「……分かった。行くわ」
「本当!? でも用事はいいの?」
「私が必ずいなきゃいけない用事でもないしね」
「ありがとう、サクラ」
先生はさっきの悲しそうな表情とは打って変わって笑顔で私にお礼を言った。私もなんだか嬉しい気持ちになった。
「そうと決まれば、早く報告書を仕上げましょう」
私は止まっていた手を再び動かした。
映画を見に行った以降、先生に度々誘われることが増えた。映画や食事のほか、遊園地や水族館だったり。私も予定がなかったり、その場所に行きたかったりしたので、先生の誘いを受けていた。
ある休日、いのと女子会をしていると、恋愛の話題になった。
「ねぇ、サクラ。あんた、カカシ先生と付き合ってるの?」
「はぁ? 何言ってるのよ」
「だって休日にあんたとカカシ先生が水族館で一緒にいるところを見たって」
「あ~、あれね。先生が任務のお礼として、チケットをもらったらしくて。“良かったら、一緒にどう?”って誘われて行ったのよ」
「2人だけで?」
「チケットが2枚しかなかったみたいよ。サスケくんやナルトはそういうの興味ないでしょ。必然的に私になったってわけ」
「でも、映画館や遊園地にも行ってたよね?」
「うん。先生のまわりにそういうの付き合ってくれる人が私しかいないらしくてね。仕方なくよ」
「ふ~ん。でも、あんた達にその気がなくても、周りには付き合ってるって思われてるわよ」
「えっ!?」
「だってそうじゃない。付き合ってもいない男とそんな頻繁に遊びにいかないわよ」
「そうかしら」
「そうよ」
いままでなんとなく誘われて行っていたので、あまり意識したことがなかったが、確かによくよく考えるとこれは付き合っていると間違われても仕方ない気がする。
「カカシ先生の方は分からないけど、あんたにその気がないなら、もうあまり気安く行かない方がいいわよ」
「そっか……そうだよね」
私は少し寂しい気持ちになったが、いのの言う通りにすることにした。
いのとそんな話をした数日後、いつもの調子で先生は私に誘いをかけてきた。
「この舞台のチケットもらったんだけど、一緒に観に行かない?」
「ごめんなさい、先生。もうあんまり一緒に行けないわ」
「……どうして?」
私が俯いて答えると、カカシ先生が心配そうに私の顔を覗き込む。
「付き合ってもいない男女が2人で頻繁に出かけるのはおかしいって言われて、確かにそうだなって思ったの。だから……」
「うーん、そっか」
私の返答を聞いた先生が顎に手をあてて、少し考え込む。
「……でも、サクラはどうしたいの?」
「どうしたいって?」
「だから、サクラの気持ちってこと」
「私の気持ち?」
「そう。俺と出掛けるのは嫌?」
「別に嫌じゃないわ。一緒にいて楽だし、楽しいし。それに奢ってくれるし」
“奢ってくれるし”の部分でカカシ先生が苦笑いをする。
「なら、それでいいじゃない。大事なのはサクラの気持ちだよ」
「でも……」
「俺は他人の目よりも、サクラと行きたいっていう自分の気持ちを優先するよ」
「先生……」
「それに、俺は別にサクラと付き合ってるって思われてもいいし」
「えっ、そうなの?」
「うん。サクラはどう?」
「どうって……。別に嫌ではないけど」
「じゃあ、付き合おう。そうすれば一緒に出掛けても問題ないでしょ」
「……何か軽くない?」
「細かいことは気にしない」
「……それもそうか」
「だろ? じゃあ、舞台は行くってことでいいな?」
「うん!」
私の返事を聞くと、先生が笑顔を見せる。
なんか先生の言葉に上手く乗せられた気もするけど、まぁいいか。
私と先生が恋人同士。うん、案外悪くないかもね!
任務が終わり、家に帰ろうとするとカカシ先生に声を掛けられた。
「サークラ! 報告書、書くの手伝ってくれない?」
「なんで私が手伝わなきゃいけないのよ」
「あんみつ奢ってあげるから」
「……そういうことなら、仕方ないわね」
家に帰ってもすることがなかった私は、こうして先生の報告書作成を手伝うことに。これをきっかけに先生は味を占めたらしく、私が先生の報告書作成に付き合うことが増えた。
私も手伝うことは苦ではなかったし、終わった後はいつも甘いものを奢ってくれるので、特段と気にすることはなかった。
そして、今日もまた報告書作成を手伝っていると、先生が話しかけてきた。
「サクラ、明日一緒に映画に行かない?」
「急にどうしたのよ」
「いつも手伝ってもらってくれてるからね、ご褒美にどうかなって思って」
「それは嬉しいけど、ごめんなさい。明日は先約があって……」
「そっか。俺、明日しか休みないんだよね。でも1人で映画っていうのもね……」
先生は悲しそうな表情で私を見る。
「そんな捨てられた子犬みたいな目で見ないでよ。サスケくんやナルトは?」
「サスケがくるわけないだろう。ナルトは寝るに決まってる」
「確かに……。ちなみになんの映画?」
「これ」
そう言って先生はチケットを見せてきた。その映画は人気作で、私も見に行きたい作品だった。
「先生! このチケットって、人気でなかなか取れないやつじゃない!」
「知り合いにもらってね。でもサクラが行けないなら、今回は諦めるか……」
私は悩んだ。この機会を逃したら、もうその人気作は映画館で見れないかもしれない。明日は家の用事だが、別に私がいなくても構わないはず……。
「……分かった。行くわ」
「本当!? でも用事はいいの?」
「私が必ずいなきゃいけない用事でもないしね」
「ありがとう、サクラ」
先生はさっきの悲しそうな表情とは打って変わって笑顔で私にお礼を言った。私もなんだか嬉しい気持ちになった。
「そうと決まれば、早く報告書を仕上げましょう」
私は止まっていた手を再び動かした。
映画を見に行った以降、先生に度々誘われることが増えた。映画や食事のほか、遊園地や水族館だったり。私も予定がなかったり、その場所に行きたかったりしたので、先生の誘いを受けていた。
ある休日、いのと女子会をしていると、恋愛の話題になった。
「ねぇ、サクラ。あんた、カカシ先生と付き合ってるの?」
「はぁ? 何言ってるのよ」
「だって休日にあんたとカカシ先生が水族館で一緒にいるところを見たって」
「あ~、あれね。先生が任務のお礼として、チケットをもらったらしくて。“良かったら、一緒にどう?”って誘われて行ったのよ」
「2人だけで?」
「チケットが2枚しかなかったみたいよ。サスケくんやナルトはそういうの興味ないでしょ。必然的に私になったってわけ」
「でも、映画館や遊園地にも行ってたよね?」
「うん。先生のまわりにそういうの付き合ってくれる人が私しかいないらしくてね。仕方なくよ」
「ふ~ん。でも、あんた達にその気がなくても、周りには付き合ってるって思われてるわよ」
「えっ!?」
「だってそうじゃない。付き合ってもいない男とそんな頻繁に遊びにいかないわよ」
「そうかしら」
「そうよ」
いままでなんとなく誘われて行っていたので、あまり意識したことがなかったが、確かによくよく考えるとこれは付き合っていると間違われても仕方ない気がする。
「カカシ先生の方は分からないけど、あんたにその気がないなら、もうあまり気安く行かない方がいいわよ」
「そっか……そうだよね」
私は少し寂しい気持ちになったが、いのの言う通りにすることにした。
いのとそんな話をした数日後、いつもの調子で先生は私に誘いをかけてきた。
「この舞台のチケットもらったんだけど、一緒に観に行かない?」
「ごめんなさい、先生。もうあんまり一緒に行けないわ」
「……どうして?」
私が俯いて答えると、カカシ先生が心配そうに私の顔を覗き込む。
「付き合ってもいない男女が2人で頻繁に出かけるのはおかしいって言われて、確かにそうだなって思ったの。だから……」
「うーん、そっか」
私の返答を聞いた先生が顎に手をあてて、少し考え込む。
「……でも、サクラはどうしたいの?」
「どうしたいって?」
「だから、サクラの気持ちってこと」
「私の気持ち?」
「そう。俺と出掛けるのは嫌?」
「別に嫌じゃないわ。一緒にいて楽だし、楽しいし。それに奢ってくれるし」
“奢ってくれるし”の部分でカカシ先生が苦笑いをする。
「なら、それでいいじゃない。大事なのはサクラの気持ちだよ」
「でも……」
「俺は他人の目よりも、サクラと行きたいっていう自分の気持ちを優先するよ」
「先生……」
「それに、俺は別にサクラと付き合ってるって思われてもいいし」
「えっ、そうなの?」
「うん。サクラはどう?」
「どうって……。別に嫌ではないけど」
「じゃあ、付き合おう。そうすれば一緒に出掛けても問題ないでしょ」
「……何か軽くない?」
「細かいことは気にしない」
「……それもそうか」
「だろ? じゃあ、舞台は行くってことでいいな?」
「うん!」
私の返事を聞くと、先生が笑顔を見せる。
なんか先生の言葉に上手く乗せられた気もするけど、まぁいいか。
私と先生が恋人同士。うん、案外悪くないかもね!
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