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NARUTO/カカサク 短編①

メロンジュース/HKT48


「サクラちゃんの髪からいい匂いするけど、何のシャンプー使ってるの?」
「えーと、何だったけ?」

友人からのいきなりの問いに私は考え込む。
お母さんがいつも買ってきてくれるシャンプーを使っているので、私は種類などあまり気にしていなかった。
確かピンクのラベルで、名前はTUYA何とかだった気が……。

「木ノ葉製薬の“TUYAHIME~撫子桜の香り~”だよね。ピンクのラベルパッケージの」

何て答えようか迷っていると、カカシ先生が話に割り込んでくる。

「……そう! 確かそれよ!」
「そうなのね。私も探して使ってみるわ。ありがとう!」

そう言って友人は去っていった。

「ありがとね、先生。でも、なんで先生が知っているの?」
「サクラのお母さんが前にお店でそのシャンプーを買ってるのを見たから、もしかしてと思って」
「そうなんだ」

そんなこと覚えているなんて、さすが先生ね。

「そういえば、サクラ。これ好きだったよね?」

先生は私がいつも食べているアイスを差し出す。
しかも、最近発売されたばかりの新フレーバーだ。

「好き! しかも、これ新フレーバーよね。一度食べてみたかったから嬉しいわ」
「偶然見つけたから買ってみたんだよね」
「ありがとう! 先生!」

笑顔を向けると、先生も微笑んでくれた。

「でも、よく私がこのアイス好きって分かったわね」
「前に食べてたじゃない。忘れたの?」
「そうだっけ? 私、家でしか食べてない気がするけど」
「……まぁ、細かいことはいいじゃない」
「それもそうね」

先生は私のことを何でも知っている。
時々私より知っているんじゃないかなって思うぐらいに。
少し気にはなったけど、目の前のアイスでその思考はすぐにどこかに飛んでいった。

ーーーーーーーーー

サクラのことなら何でも知っている。
好きなものはもちろん、嫌いなものから行動範囲まで。
俺自身はもちろん、影分身や忍犬を使えば、調べるのは簡単だ。
シャンプーやアイスの事を知っていたのも、前にサクラの家にパックンを泊まらせたからだ。

今日も俺はサクラの部屋が見える木の上にいて、サクラの行動を観察する。
サクラはベッドに寝そべり、雑誌を読んでいる。そして、あるページに付箋を挟んだ。

俺は後日、本屋でサクラが読んでいた雑誌を見つけ、付箋を挟んだページを探す。
それはある喫茶店が紹介されているページだった。この喫茶店はドリンクが評判らしい。
だが、けっこういい値段がする店なので、サクラが友達同士で入るのは難しいだろう。
俺はあることを思いつき、さっそく行動に移すことにした。


サクラを探し歩いていると、すぐにピンク色の髪を見つけた。
行動範囲を把握しているため、見つけるのは容易い。

「サークラ! 偶然だね」
「先生! どうしたの?」
「俺は本屋に行った帰りだよ。サクラは?」
「勉強のために図書館に行ってたの」
「休日なのにえらいね~。よし! ご褒美に俺がいい所に連れてってあげる」
「本当!? あんみつ?」
「いや、たまには別のところにしようかなって」

俺は雑誌に掲載されていたお店にサクラを連れて行く。

「ここだよ」
「ここって……けっこういいお値段がするところだけど、大丈夫?」
「いいの、いいの。ドリンクが美味しいって評判らしくて、一度来てみたかったんだよね。ただ、男一人じゃ入りづらいでしょ。だから、サクラがいてくれると助かる」
「そういうことなら……」

俺とサクラは店に入ると、店員に案内されたテーブルにつき、メニューを見る。
目を輝かせてメニューをみるサクラは可愛い。

「注文するものは決まった?」
「えっとね、色々あって迷ったんだけど……これにする! ここのお店はメロンジュースがおススメらしいのよ」

サクラはメロンジュースを指差す。

「了解」

俺は店員を呼び、珈琲とメロンジュースを注文する。

「それにしてもまさかここに来れるなんて思ってもいなかったわ」
「来たかったの?」
「うん。雑誌で紹介されていていいなと思っていたの。でも高いから無理かなって諦めていたから……」
「それなら良かった」

そんなことはとっくに知ってる。でも、あえて知らないふりをする。

ほどなくして、飲み物が運ばれてくる。
サクラはさっそくストローを差し、メロンジュースを口に含む。

「う~ん、美味しい!」

満面の笑みでジュースを飲むサクラを見て、俺は幸せな気持ちになる。
連れてきて良かった。この笑顔をずっとそばで見ていたい。

サクラは俺の視線に気付いたのか、「どうしたの?」って聞いてくる。

「いや、美味しそうに飲んでるなって思って」
「先生も飲んでみる?」

そう言ってサクラはグラスを差し出してきた。
俺は一瞬戸惑ったが、それを受け取り、サクラと同じストローで一口飲む。
甘い……はっきり言って、苦手な味だ。

「どう?」
「うーん、まぁまぁかな」

サクラの機嫌を損ねないように無難な答えを返し、サクラにグラスを戻す。

「その反応は微妙だったのね……。こんなに美味しいのにな〜」

サクラは再びジュースを飲み始める。
一応間接キスなんだけど、全然気にしてないな。
意識しているのは俺だけか。密かにため息をつく。


いまはまだ厳しいかもしれないけれど、いつか俺の気持ちを伝えたときにあの笑顔が見られたらいいなと思う。
サクラに意識してもらえるように頑張りますか、と俺は改めて心の中で気合いを入れた。
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