NARUTO/カカサク 短編①
Everyday Yeah!/IDOLiSH7
快晴だった空がいつのまにか黒い雲に覆われ、大粒の雨が降り注ぐ。俺は建物の下で雨宿りしていた。
「サクラの言った通りだったな……」
家を出る時に"今は晴れていても夕方から天気が急変するから、傘を忘れないでね”と言われたのにも関わらず、たかをくくって傘を持たないで出たらこの有様。このまま濡れて帰ることもできるが、この前そうしたときにサクラに激怒されたため、俺はどうしようかと思案していた。降り続く雨は待っていても止みそうにない。しかたがないと、サクラに怒られることを覚悟し、一歩踏み出そうとすると目の前から見慣れたピンク色がやってくるのが見え、思わず足を止める。
「先生! すれ違いにならないで良かった~」
ピンク色の傘をさしたサクラが俺の元へやってきて、手に持っている緑色の傘を俺に差し出す。
「なにこれ?」
「なにこれ? じゃないでしょ! せっかく人が迎えにきてあげたのに」
「あはは、だよね~」
「もうっ! 今日は雨降る予報だって言ったじゃない」
「大丈夫かなと思ったんだよ」
「大丈夫じゃなかったわね。はぁ~、私のありがたい忠告を無視したどこかの誰かさんのせいで結局私が迎えにくるはめになったじゃない」
「それはごめんね」
俺は呆れた様子のサクラから傘を受け取ろうとしたが、ある考えが思い浮かびそれをとめる。それを不思議に思ったサクラは首を傾げ、俺に尋ねる。
「どうしたの?」
「傘は一本で良くない? 相合傘しようよ」
俺の提案にサクラの顔が真っ赤になる。
「えっ! ちょっと、何言ってるのよ!?」
「一度してみたかったんだよね~」
「誰かに見られたらどうするの!?」
「俺達の関係はみんな知ってるし、別に良くない?」
「そうだけど……恥ずかしいじゃない」
「えー、サクラは俺と相合傘したくないの?」
「そういうわけではないけど……」
「じゃあ、いいじゃない」
「う~ん……今日はダメ! せっかく2本持ってきたんだから!」
あと一押しでいけるかと思っていたが、どうやらサクラは恥ずかしさの方が勝ってしまったようだ。少し残念だったが、またの機会にすればいいかと思い直し、傘を受け取る。
「分かった。また今度」
「……うん」
サクラは真っ赤な顔を俯かせながら、小さな声で頷く。そして、サクラと2人歩き出そうとしたが、視線の先に不安そうに俯いている男の子が目に入りその足を止める。雨宿りしているみたいだが、迎えが来る様子はない。サクラに「ちょっと待ってて」と声をかけた俺は、男の子の元へと向かった。
「ねぇ、君。雨宿りしてるの?」
「!? ……うん」
いきなり声をかけられた男の子は驚いたようだったが、俺の質問に素直に答える。
「誰か迎えに来るの?」
「……来ないよ。お父さんもお母さんもお仕事だし。だから、雨が止むのを待ってるんだ」
「でも、この雨はしばらくやまないと思うよ」
「……」
俺の言葉を聞いて、男の子はまた俯いてしまう。その様子を見た俺は自分の持っている傘を男の子に差し出す。
「俺の傘使っていいよ」
「えっ、でも……」
「いつやむのか分からないでしょ。このまま夜遅くまで降り続けるかもしれないし。俺なら大丈夫だから。ね?」
サクラの方を指差すと、男の子は納得したようで「……ありがとう」と俺から傘を受け取る。
「どうやって返せばいい?」
「別に返さなくてもいいよ」
「それはダメだよ!」
「うーん。それじゃあ、アカデミーに届けてくれない?」
「分かった! 必ず返すから」
そう言って男の子は傘をさして帰っていく。俺はその光景を満足そうに見守る。
「先生、かっこいいじゃない」
後ろを振り向くと、いつのまにかサクラが俺の傍にきていた。
「でしょ。ということで、俺の傘は貸しちゃったから、サクラの持っている傘しかないよね」
「でしょうね。仕方ないから、相合傘してあげる。その代わり、先生が傘を持ってよね!」
「もちろん」
顔を真っ赤にしたサクラが勢いよく差し出した傘を受け取ると、俺達は雨の中をゆっくりと歩き出す。
「サクラ、もうちょっと俺の方に寄ってくれないと濡れちゃうよ」
「大丈夫だから!」
「だーめ」
サクラの肩を少し強引に引き寄せると、サクラが再び顔を真っ赤にする。俺はそれを愛おしく思いながら、いつもより遅く歩いて家へ向かうのだった。
快晴だった空がいつのまにか黒い雲に覆われ、大粒の雨が降り注ぐ。俺は建物の下で雨宿りしていた。
「サクラの言った通りだったな……」
家を出る時に"今は晴れていても夕方から天気が急変するから、傘を忘れないでね”と言われたのにも関わらず、たかをくくって傘を持たないで出たらこの有様。このまま濡れて帰ることもできるが、この前そうしたときにサクラに激怒されたため、俺はどうしようかと思案していた。降り続く雨は待っていても止みそうにない。しかたがないと、サクラに怒られることを覚悟し、一歩踏み出そうとすると目の前から見慣れたピンク色がやってくるのが見え、思わず足を止める。
「先生! すれ違いにならないで良かった~」
ピンク色の傘をさしたサクラが俺の元へやってきて、手に持っている緑色の傘を俺に差し出す。
「なにこれ?」
「なにこれ? じゃないでしょ! せっかく人が迎えにきてあげたのに」
「あはは、だよね~」
「もうっ! 今日は雨降る予報だって言ったじゃない」
「大丈夫かなと思ったんだよ」
「大丈夫じゃなかったわね。はぁ~、私のありがたい忠告を無視したどこかの誰かさんのせいで結局私が迎えにくるはめになったじゃない」
「それはごめんね」
俺は呆れた様子のサクラから傘を受け取ろうとしたが、ある考えが思い浮かびそれをとめる。それを不思議に思ったサクラは首を傾げ、俺に尋ねる。
「どうしたの?」
「傘は一本で良くない? 相合傘しようよ」
俺の提案にサクラの顔が真っ赤になる。
「えっ! ちょっと、何言ってるのよ!?」
「一度してみたかったんだよね~」
「誰かに見られたらどうするの!?」
「俺達の関係はみんな知ってるし、別に良くない?」
「そうだけど……恥ずかしいじゃない」
「えー、サクラは俺と相合傘したくないの?」
「そういうわけではないけど……」
「じゃあ、いいじゃない」
「う~ん……今日はダメ! せっかく2本持ってきたんだから!」
あと一押しでいけるかと思っていたが、どうやらサクラは恥ずかしさの方が勝ってしまったようだ。少し残念だったが、またの機会にすればいいかと思い直し、傘を受け取る。
「分かった。また今度」
「……うん」
サクラは真っ赤な顔を俯かせながら、小さな声で頷く。そして、サクラと2人歩き出そうとしたが、視線の先に不安そうに俯いている男の子が目に入りその足を止める。雨宿りしているみたいだが、迎えが来る様子はない。サクラに「ちょっと待ってて」と声をかけた俺は、男の子の元へと向かった。
「ねぇ、君。雨宿りしてるの?」
「!? ……うん」
いきなり声をかけられた男の子は驚いたようだったが、俺の質問に素直に答える。
「誰か迎えに来るの?」
「……来ないよ。お父さんもお母さんもお仕事だし。だから、雨が止むのを待ってるんだ」
「でも、この雨はしばらくやまないと思うよ」
「……」
俺の言葉を聞いて、男の子はまた俯いてしまう。その様子を見た俺は自分の持っている傘を男の子に差し出す。
「俺の傘使っていいよ」
「えっ、でも……」
「いつやむのか分からないでしょ。このまま夜遅くまで降り続けるかもしれないし。俺なら大丈夫だから。ね?」
サクラの方を指差すと、男の子は納得したようで「……ありがとう」と俺から傘を受け取る。
「どうやって返せばいい?」
「別に返さなくてもいいよ」
「それはダメだよ!」
「うーん。それじゃあ、アカデミーに届けてくれない?」
「分かった! 必ず返すから」
そう言って男の子は傘をさして帰っていく。俺はその光景を満足そうに見守る。
「先生、かっこいいじゃない」
後ろを振り向くと、いつのまにかサクラが俺の傍にきていた。
「でしょ。ということで、俺の傘は貸しちゃったから、サクラの持っている傘しかないよね」
「でしょうね。仕方ないから、相合傘してあげる。その代わり、先生が傘を持ってよね!」
「もちろん」
顔を真っ赤にしたサクラが勢いよく差し出した傘を受け取ると、俺達は雨の中をゆっくりと歩き出す。
「サクラ、もうちょっと俺の方に寄ってくれないと濡れちゃうよ」
「大丈夫だから!」
「だーめ」
サクラの肩を少し強引に引き寄せると、サクラが再び顔を真っ赤にする。俺はそれを愛おしく思いながら、いつもより遅く歩いて家へ向かうのだった。
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