NARUTO/カカサク 短編①
メルヒェン/Kalafina
「ねぇ、サクラ。このサイト知ってる?」
「なに?」
「いま流行ってるのよ。自分が書いた小説を投稿したり、他の人の作品を読んだりできるの」
「へぇ~」
「題材はなんでもいいらしいんだけど、ランキングをみるとサスケくんが一番みたいね」
「サスケくん!?」
「そう、サスケくん。サスケくんは高嶺の花だから、世の女子たちがこうして願望を小説にして消化してるのよ。ちなみに、あんたもランキングに入ってるわよ」
「えっ! 何で?」
「大戦で活躍してたからじゃない。ナルトも入ってるし、カカシ先生もいるわよ」
「……」
いのに教えてもらったサイトを家に帰ってから見ると、本当にたくさんの作品が投稿されている。
「サスサク……? 私とサスケくんってこと!? そんなのもあるんだ……うわぁ~、嬉しいような恥ずかしいような……」
最初は興味本位だったが、私はどんどんとこのサイトにはまり、いつのまにか夜寝る前に小説を読むのが日課になっていた。読むのはもちろん“サスサク”。時々“ナルサク”などを読んだりして、いろんなことを考える人がいるのね~と楽しんでいた。そして、読んでいくうちに“カカサク”というのも見つけた。
「カカシ先生と私? いや~、ないわ。どれだけ歳が離れてると思ってるのよ」
それでも気になってしまい、私は目に入った作品をとりあえず読んでみることにした。
「なにこれ……最高……」
いくつかのカカサク作品を読んでいくうちに“エノキ”という作者が書くカカサクに猛烈に惹かれるようになった。話がしっかり作りこまれてるのはもちろん、描写が丁寧ですんなりとその光景が想像できるのだ。しかもリアルさも兼ね備えてるので、本当に私とカカシ先生の間に実際に起きたのではないかと思ってしまうほど。
「最初はないなと思ったけど、案外カカシ先生もありかも……。まぁ、現実ではカカシ先生が私に興味を持つなんてありえないけど」
自分で言いつつ少し寂しく思いながらも、私はせめて小説の中ぐらいならいいよねと、私はすっかりエノキさんの作品の虜になっていったのだった。
数日後。仕事の報告書を出しに、カカシ先生のいる執務室を訪れる。
「報告書、ありがとう。いつも分かりやすくて助かるよ」
「当然でしょ」
「あれ? サクラ、寝不足? クマができてるよ」
「あ~、最近ちょっと読書にはまっていて。それでつい夜更かししちゃってるからかな」
「仕事関係のやつとか?」
「違うわ。お気に入りの作者を見つけて、その人の作品ばっかり読んでるの」
「へ~。俺も読みたいな。教えてよ」
「ダメ!」
「え?」
いきなりの私の大声に先生が驚いている。
「あっ、ごめんなさい。えっと、先生にはつまらないと思うわ」
「でも、サクラのお気に入りなんでしょ」
「そうだけど……設定がちょっとありえないし……。しかも、現物がないから売ってないし、貸せないのよね」
「現物がない?」
「とにかくごめんなさい! それじゃあ、そろそろ戻るわね」
そう言って足早に執務室を後にする。“私とカカシ先生の恋愛小説にハマってます“なんて、絶対に言えるわけないじゃない。絶対変に思われたけど、バレるよりはましだ。私は赤い顔を誰にも見られないように、急いで自分の職場に戻った。
―――――――――――――――
サクラの去った後の執務室。
「なんだったんでしょうね」
「さぁ? それにしても現物がない本……シカマルは何か知ってる?」
「いや……あっ! もしかしたらケータイやパソコンで見るやつじゃないっすか?」
「あ~、確かに。それはあり得るかも」
「そういえば、いのが最近ある読み物サイトにハマってるって言ってましたね」
「読み物サイト?」
「自分の作品を投稿したり、他の人の作品を読むことができるみたいですよ」
「へ~、そんなサイトがあるのね」
「まぁ、六代目は興味ないっすよね」
「……そうだね」
シカマルにはそう言ったが、俺はそのサイトを実は知っている。なにしろ“エノキ”という名前でいくつかの"カカサク"作品を投稿しているから。最初は誰にも打ち明けられないサクラへの気持ちを消化するために自己満で書き始めただけだったが、いまでは嬉しいことに読んでくれる人が多いらしく、好意的なコメントも多い。
「もしかしたら、サクラもハマってるかもしれませんね」
「あはは、そうかもね」
サクラがもしあのサイトにハマってるとしてもどうせ“サスサク”だろう。
「はぁ~」
「どうしました?」
「ううん、別に。それより早く帰りたいし、この書類の山終わらせようか」
そのことに寂しさを感じつつも、俺は次回作のカカサクを完成させるべく、早く仕事を終わらせようと筆を握った。
「ねぇ、サクラ。このサイト知ってる?」
「なに?」
「いま流行ってるのよ。自分が書いた小説を投稿したり、他の人の作品を読んだりできるの」
「へぇ~」
「題材はなんでもいいらしいんだけど、ランキングをみるとサスケくんが一番みたいね」
「サスケくん!?」
「そう、サスケくん。サスケくんは高嶺の花だから、世の女子たちがこうして願望を小説にして消化してるのよ。ちなみに、あんたもランキングに入ってるわよ」
「えっ! 何で?」
「大戦で活躍してたからじゃない。ナルトも入ってるし、カカシ先生もいるわよ」
「……」
いのに教えてもらったサイトを家に帰ってから見ると、本当にたくさんの作品が投稿されている。
「サスサク……? 私とサスケくんってこと!? そんなのもあるんだ……うわぁ~、嬉しいような恥ずかしいような……」
最初は興味本位だったが、私はどんどんとこのサイトにはまり、いつのまにか夜寝る前に小説を読むのが日課になっていた。読むのはもちろん“サスサク”。時々“ナルサク”などを読んだりして、いろんなことを考える人がいるのね~と楽しんでいた。そして、読んでいくうちに“カカサク”というのも見つけた。
「カカシ先生と私? いや~、ないわ。どれだけ歳が離れてると思ってるのよ」
それでも気になってしまい、私は目に入った作品をとりあえず読んでみることにした。
「なにこれ……最高……」
いくつかのカカサク作品を読んでいくうちに“エノキ”という作者が書くカカサクに猛烈に惹かれるようになった。話がしっかり作りこまれてるのはもちろん、描写が丁寧ですんなりとその光景が想像できるのだ。しかもリアルさも兼ね備えてるので、本当に私とカカシ先生の間に実際に起きたのではないかと思ってしまうほど。
「最初はないなと思ったけど、案外カカシ先生もありかも……。まぁ、現実ではカカシ先生が私に興味を持つなんてありえないけど」
自分で言いつつ少し寂しく思いながらも、私はせめて小説の中ぐらいならいいよねと、私はすっかりエノキさんの作品の虜になっていったのだった。
数日後。仕事の報告書を出しに、カカシ先生のいる執務室を訪れる。
「報告書、ありがとう。いつも分かりやすくて助かるよ」
「当然でしょ」
「あれ? サクラ、寝不足? クマができてるよ」
「あ~、最近ちょっと読書にはまっていて。それでつい夜更かししちゃってるからかな」
「仕事関係のやつとか?」
「違うわ。お気に入りの作者を見つけて、その人の作品ばっかり読んでるの」
「へ~。俺も読みたいな。教えてよ」
「ダメ!」
「え?」
いきなりの私の大声に先生が驚いている。
「あっ、ごめんなさい。えっと、先生にはつまらないと思うわ」
「でも、サクラのお気に入りなんでしょ」
「そうだけど……設定がちょっとありえないし……。しかも、現物がないから売ってないし、貸せないのよね」
「現物がない?」
「とにかくごめんなさい! それじゃあ、そろそろ戻るわね」
そう言って足早に執務室を後にする。“私とカカシ先生の恋愛小説にハマってます“なんて、絶対に言えるわけないじゃない。絶対変に思われたけど、バレるよりはましだ。私は赤い顔を誰にも見られないように、急いで自分の職場に戻った。
―――――――――――――――
サクラの去った後の執務室。
「なんだったんでしょうね」
「さぁ? それにしても現物がない本……シカマルは何か知ってる?」
「いや……あっ! もしかしたらケータイやパソコンで見るやつじゃないっすか?」
「あ~、確かに。それはあり得るかも」
「そういえば、いのが最近ある読み物サイトにハマってるって言ってましたね」
「読み物サイト?」
「自分の作品を投稿したり、他の人の作品を読むことができるみたいですよ」
「へ~、そんなサイトがあるのね」
「まぁ、六代目は興味ないっすよね」
「……そうだね」
シカマルにはそう言ったが、俺はそのサイトを実は知っている。なにしろ“エノキ”という名前でいくつかの"カカサク"作品を投稿しているから。最初は誰にも打ち明けられないサクラへの気持ちを消化するために自己満で書き始めただけだったが、いまでは嬉しいことに読んでくれる人が多いらしく、好意的なコメントも多い。
「もしかしたら、サクラもハマってるかもしれませんね」
「あはは、そうかもね」
サクラがもしあのサイトにハマってるとしてもどうせ“サスサク”だろう。
「はぁ~」
「どうしました?」
「ううん、別に。それより早く帰りたいし、この書類の山終わらせようか」
そのことに寂しさを感じつつも、俺は次回作のカカサクを完成させるべく、早く仕事を終わらせようと筆を握った。
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