NARUTO/カカサク 短編①
rainy day/浜崎あゆみ
降りしきる雨の中、私は傘もささずにカカシ先生を待っていた。
急ぎ足でどこかに向かう人や、相合傘で寄り添う恋人たちを何時間も眺めている私は、傍から見たら可哀そうな人だと思われただろう。
中には心配して傘を譲ってくれようとした人もいたが、私はそれを丁重に断った。
雨は嫌いという人が多いけれど、私は嫌いじゃない。
現にいまの私の心の中はとても穏やかなのだから。
雨は一向に止む気配はなく、降り注ぐ大粒の雫は容赦なく私の体温を奪い、体は小刻みに震えている。
それでもただ微笑みながら立つ私は、さぞかし異様だっただろう。
どれぐらいの時間が経っただろうか。
前方からカカシ先生が走ってくるのが見えた。
私の前にきて、膝に手を置きながら呼吸を整える様子を見ると、きっと全速力で走ってきたのだろう。
傘はさしていないため、私と同じくずぶ濡れだった。
「カカシ先生、ずぶ濡れだね」
「サクラこそ」
カカシ先生は呼吸を整え体を起こすと、私の頬に手を当てた。
「すごく冷えてる、一体いつからここにいたの?」
「うーん、いつからだろう。気にしてないから分かんないや」
「こんな場所にずっといたら、風邪ひくよ」
「私は師匠に鍛えられているのよ。そんな簡単に風邪ひかないわ」
「俺がもし来なかったらどうしてたの」
「カカシ先生は絶対に来るって信じていたから大丈夫。それに来るまでずっと待っていたわ」
「俺はサクラが思っているようなやつじゃないよ」
「どんなカカシ先生でも受け入れる自信があるわ」
「俺はお前を幸せにできるのか分からない」
「私は幸せにしてほしいわけじゃない。私の幸せは私が決めるの」
「周りから色々言われるかも」
「そんなことを気にするとでも。それにグチグチ言うやつがいたら、この私がぶっ飛ばしてあげる」
「里のことが一番大事だし、寂しい思いをさせることだってきっとある」
「私だって里が一番大事だからお互い様よ」
「今日みたいに何時間も待たせることだって」
「私が待つのは得意なことは知ってるでしょ」
「…本当に俺でいいのか?」と言うカカシ先生の手は震えていた。
私は頬にあるカカシ先生の手に自分の手を重ねた。
「私は先生がいいの。カカシ先生じゃなきゃダメなの」
そう言うと、カカシ先生は泣き出しそうな顔で笑った。
「お前の俺への思いが強いことは分かっていたけど、まさかこれほどまでとはね」
「先生は真面目過ぎるのよ。髪は柔らかいのに、頭は固すぎるわ」
「俺の負けだよ、サクラ」
「そうみたいね」
「……好きだ、サクラ。ずっと好きだったんだ」
「知ってる。私もカカシ先生のことが好き。大好きなの」
私たちは強く抱き締めあった。
そして、雨がいつのまにかあがったことに気づいた私たちは手を繋ぎ、歩き出した。
「とりあえず俺の家に行こうか。二人ともびしょ濡れのままじゃ風邪をひいちゃうし」
「びしょ濡れなのは先生のせいでしょ」
「そうだったね。お詫びに俺が温めてあげる」
「……なんか先生、今までと違うね」
「もう我慢するのはやめたからね。これからは自分の思うままに行動するよ。俺の愛は重いから覚悟してね」
「そんなのとっくにできているわ。カカシ先生こそ私の愛を舐めないでね」
「知ってるよ、ずっとサクラのことを見ていたんだから」
カカシ先生は嬉しそうに笑い、私の手をより強く握りしめた。
ほらね、雨の日もそんなに悪くない。
いつか必ずあがるものだし、後には虹がかかる時もある。
雨が止むのとと同時に、私と先生の今までの関係は終わった。
空にかかっている虹はこれからの私たちが歩んでいく道を彩ってくれているようで、私は自然と笑みがこぼれた。
降りしきる雨の中、私は傘もささずにカカシ先生を待っていた。
急ぎ足でどこかに向かう人や、相合傘で寄り添う恋人たちを何時間も眺めている私は、傍から見たら可哀そうな人だと思われただろう。
中には心配して傘を譲ってくれようとした人もいたが、私はそれを丁重に断った。
雨は嫌いという人が多いけれど、私は嫌いじゃない。
現にいまの私の心の中はとても穏やかなのだから。
雨は一向に止む気配はなく、降り注ぐ大粒の雫は容赦なく私の体温を奪い、体は小刻みに震えている。
それでもただ微笑みながら立つ私は、さぞかし異様だっただろう。
どれぐらいの時間が経っただろうか。
前方からカカシ先生が走ってくるのが見えた。
私の前にきて、膝に手を置きながら呼吸を整える様子を見ると、きっと全速力で走ってきたのだろう。
傘はさしていないため、私と同じくずぶ濡れだった。
「カカシ先生、ずぶ濡れだね」
「サクラこそ」
カカシ先生は呼吸を整え体を起こすと、私の頬に手を当てた。
「すごく冷えてる、一体いつからここにいたの?」
「うーん、いつからだろう。気にしてないから分かんないや」
「こんな場所にずっといたら、風邪ひくよ」
「私は師匠に鍛えられているのよ。そんな簡単に風邪ひかないわ」
「俺がもし来なかったらどうしてたの」
「カカシ先生は絶対に来るって信じていたから大丈夫。それに来るまでずっと待っていたわ」
「俺はサクラが思っているようなやつじゃないよ」
「どんなカカシ先生でも受け入れる自信があるわ」
「俺はお前を幸せにできるのか分からない」
「私は幸せにしてほしいわけじゃない。私の幸せは私が決めるの」
「周りから色々言われるかも」
「そんなことを気にするとでも。それにグチグチ言うやつがいたら、この私がぶっ飛ばしてあげる」
「里のことが一番大事だし、寂しい思いをさせることだってきっとある」
「私だって里が一番大事だからお互い様よ」
「今日みたいに何時間も待たせることだって」
「私が待つのは得意なことは知ってるでしょ」
「…本当に俺でいいのか?」と言うカカシ先生の手は震えていた。
私は頬にあるカカシ先生の手に自分の手を重ねた。
「私は先生がいいの。カカシ先生じゃなきゃダメなの」
そう言うと、カカシ先生は泣き出しそうな顔で笑った。
「お前の俺への思いが強いことは分かっていたけど、まさかこれほどまでとはね」
「先生は真面目過ぎるのよ。髪は柔らかいのに、頭は固すぎるわ」
「俺の負けだよ、サクラ」
「そうみたいね」
「……好きだ、サクラ。ずっと好きだったんだ」
「知ってる。私もカカシ先生のことが好き。大好きなの」
私たちは強く抱き締めあった。
そして、雨がいつのまにかあがったことに気づいた私たちは手を繋ぎ、歩き出した。
「とりあえず俺の家に行こうか。二人ともびしょ濡れのままじゃ風邪をひいちゃうし」
「びしょ濡れなのは先生のせいでしょ」
「そうだったね。お詫びに俺が温めてあげる」
「……なんか先生、今までと違うね」
「もう我慢するのはやめたからね。これからは自分の思うままに行動するよ。俺の愛は重いから覚悟してね」
「そんなのとっくにできているわ。カカシ先生こそ私の愛を舐めないでね」
「知ってるよ、ずっとサクラのことを見ていたんだから」
カカシ先生は嬉しそうに笑い、私の手をより強く握りしめた。
ほらね、雨の日もそんなに悪くない。
いつか必ずあがるものだし、後には虹がかかる時もある。
雨が止むのとと同時に、私と先生の今までの関係は終わった。
空にかかっている虹はこれからの私たちが歩んでいく道を彩ってくれているようで、私は自然と笑みがこぼれた。
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