2部
夢小説設定
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※名前変換なし
「太陽を克服する」
そう聞いた時に、正気の沙汰ではないと、私は思った。太陽を克服するなどと言ったのはカーズ。その横でエシディシは腹を抱えて笑っている。私は何も言えずに唖然と口を開けていた。
「…」
「こいつは傑作だぁ!」
エシディシは、そう言って笑っていた。私はカーズを認めていたし、エシディシもそうだろう。だが我々の苦手な太陽を克服など夢のまた夢だと、カーズは夢を見ているのだと、そう思えて仕方がない。
「カーズ…」
「今は無理だが、近いうちに克服できる様になる」
そう目を輝かせて言う彼を見ていると不思議と出来るような気になってくる。
それからカーズは洞窟に篭り一人で何かを研究していた。私とエシディシはそんな彼を静かに見守っていたが、長達や他の者は違ったようだ。彼らはカーズを危険因子だと考えているようだった。
長い月日が経ち、私達三人は成人と呼ばれる日を迎えた。相変わらずカーズは研究に勤しんでいた。
「これでは威力が足りん…」
石の仮面を作っては壊しを繰り返している。
「もっと大きな赤石を探さねば…」
「それって何処にあるの?」
「ここには、もう赤石が無い。ほかの地に行けば見つかるだろうな…」
私達の掟では地上に出ることは禁じられている。掟を破れば死罪だ。太陽の元に投げ出され塵となって消されるのだ。
「でも、掟を破るのは…」
「かまわん!」
「カーズが掟を破ると言うなら俺はついて行くぜ。お前はどうする?」
「私は…」
そんな話をしていた、その日の夜に私達3人は長達に呼び出された。周りには他の者達が取り囲んでいた。私は話を聞かれていたのだと悟る。カーズもエシディシも気づいているだろう。
「お前たちは何をしようとしている?」
「…」
「…太陽を克服したいと思わんか」
「なに?」
周囲がざわざわと騒がしくなる。
「太陽を克服する為に、ほかの地に行く」
「それはならん」
「なぜだ! 太陽を克服したいと思わないのか!!」
「太陽を克服するなどと…」
誰が言い始めたのかは分からないが「殺せ」と「カーズを殺せ」と聞こえてくる。
私は初めて怒りを覚えた。なぜカーズの意見を無下にして殺そうなどと言うのか。エシディシも同じ気持ちなのだろう、横目で見た彼は怒りを露にしていた。
「ならば、仕方がない…死んでもらう」
カーズが冷めた口調で言うと同時に、周りの者達が飛びかかってきた。
私は横たわりながら走馬灯の様に昔を思い出していた。もう身体は、動かない。私達はあの時のカーズの言葉に感動、共感して長い月日を共に過ごしてきた。サンタナやエシディシ、ワムウはもう居ない。
私が最後に見たのは太陽を克服したカーズの姿だった。
「太陽を克服する」
そう聞いた時に、正気の沙汰ではないと、私は思った。太陽を克服するなどと言ったのはカーズ。その横でエシディシは腹を抱えて笑っている。私は何も言えずに唖然と口を開けていた。
「…」
「こいつは傑作だぁ!」
エシディシは、そう言って笑っていた。私はカーズを認めていたし、エシディシもそうだろう。だが我々の苦手な太陽を克服など夢のまた夢だと、カーズは夢を見ているのだと、そう思えて仕方がない。
「カーズ…」
「今は無理だが、近いうちに克服できる様になる」
そう目を輝かせて言う彼を見ていると不思議と出来るような気になってくる。
それからカーズは洞窟に篭り一人で何かを研究していた。私とエシディシはそんな彼を静かに見守っていたが、長達や他の者は違ったようだ。彼らはカーズを危険因子だと考えているようだった。
長い月日が経ち、私達三人は成人と呼ばれる日を迎えた。相変わらずカーズは研究に勤しんでいた。
「これでは威力が足りん…」
石の仮面を作っては壊しを繰り返している。
「もっと大きな赤石を探さねば…」
「それって何処にあるの?」
「ここには、もう赤石が無い。ほかの地に行けば見つかるだろうな…」
私達の掟では地上に出ることは禁じられている。掟を破れば死罪だ。太陽の元に投げ出され塵となって消されるのだ。
「でも、掟を破るのは…」
「かまわん!」
「カーズが掟を破ると言うなら俺はついて行くぜ。お前はどうする?」
「私は…」
そんな話をしていた、その日の夜に私達3人は長達に呼び出された。周りには他の者達が取り囲んでいた。私は話を聞かれていたのだと悟る。カーズもエシディシも気づいているだろう。
「お前たちは何をしようとしている?」
「…」
「…太陽を克服したいと思わんか」
「なに?」
周囲がざわざわと騒がしくなる。
「太陽を克服する為に、ほかの地に行く」
「それはならん」
「なぜだ! 太陽を克服したいと思わないのか!!」
「太陽を克服するなどと…」
誰が言い始めたのかは分からないが「殺せ」と「カーズを殺せ」と聞こえてくる。
私は初めて怒りを覚えた。なぜカーズの意見を無下にして殺そうなどと言うのか。エシディシも同じ気持ちなのだろう、横目で見た彼は怒りを露にしていた。
「ならば、仕方がない…死んでもらう」
カーズが冷めた口調で言うと同時に、周りの者達が飛びかかってきた。
私は横たわりながら走馬灯の様に昔を思い出していた。もう身体は、動かない。私達はあの時のカーズの言葉に感動、共感して長い月日を共に過ごしてきた。サンタナやエシディシ、ワムウはもう居ない。
私が最後に見たのは太陽を克服したカーズの姿だった。
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