※吸血鬼、名前変換なし



　幼い頃、リゾットの自宅の近所にある一人の女性が引っ越して来た。その女性は肌が青白く、艶やかな黒い髪を持つ人間離れした人だった。昼間、太陽が出ている内に女性を見ることはなかったが、夜に家の窓から女性の家を見ると女性は庭の手入れをしていたのが印象に残っている。

　ある日、リゾットは友達とナスコンディーノ(かくれんぼ)をしていた時に女性の家の庭にある大きな木の後ろに隠れた。しばらくすると、玄関の扉が開き女性が立っていた。怒られるかと、身を構えたが女性は優しげに微笑み手招きした。誘われるようにリゾットは女性の家に入る。

　「坊や、ナスコンディーノをしていたの？」
　「そう、勝手に庭に入ってごめんなさい」
　「大丈夫よ」
　「聞いてもいい？」
　「なぁに？」
　「何で窓に板が張ってあるの？」
　「私は太陽に嫌われているからよ」
　
　幼いリゾットには言葉の意味が理解できなかった。それから友達が探している声が聞こえたので女性の家から出たリゾットはそれ以降、女性と会うことは無く18歳になり成人を迎える。

　リゾットは18歳で初めて人を殺害した。その後は目的もなく街を彷徨い暮らしていた。ある時、路地裏であの時の女性と再び会う。昔と変わらぬ姿で立っている女性を見た時は驚いたが恐怖は感じなかった。

　「坊や…」
　「あの時と変わっていないな」
　「坊やは大きくなったわね」
　「まだ太陽に嫌われているのか？」
　「ふふ、永遠に太陽には好かれないわ」
　
　それだけの言葉を交わした後、リゾットは路地裏を去る。それからギャングの仲間に入り、スタンド能力にも目覚めて暗殺チームに配属された。日々、ボスからの命令をこなしていく内に仲間も出来たがギャングの中での待遇は良くならなかった。

　ボスの情報を掴む為に娘を手に入れようとして戦い仲間は死んでいった。最後にはたった一人、リゾットだけになる。

　サルディニア島でリゾットも戦い、そして負ける。横たわるリゾットに女性が寄り添っていた。

　「可哀想な坊や…私と一緒に太陽に嫌われてみる？」
　
　リゾットが最期に聞いたのは悪魔の囁きだった…