5部
夢小説設定
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※生存if
イタリアの医療刑務所に一人の男が収監される。その男の風貌は顔の一部が焼け爛れたようになっており、眉間にシワを寄せて不機嫌に見えた。身体も不自由なようで右腕が無く車椅子に乗って生活を送っていた。
新米看護師の夢主はそんな男の担当になる。カルテを見ると氏名の欄にはイルーゾォと書かれていた。ここでは最低限の会話以外は許されていないのでイルーゾォが何者なのか、何故ここへ収監されているのかは分からなかった。
「こんにちは。点滴をしますね」
「…」
「何か変わった事はありませんか? 痛い所などあれば言ってくださいね」
「…」
そんな日々が1年続いた。一向にイルーゾォの体調は良くならずに平行線のままだった。
「こんにちは、イルーゾォさん」
「…」
「最近、外は寒くなってきたのでイルーゾォさんも風邪を引かないように気をつけてくださいね」
「…」
本来はいけない事だが夢主は何とかイルーゾォと話をしたいと思っていたので会話を振るが無言の静寂しか返って来ない。
夢主は諦めようと思い片付けをしていると後ろから「なぁ…」と声が聞こえてきた。
「え?」
「なぁ…こんな患者の世話するのは嫌だろう?」
「正直、仕事なので何とも思ってないですね。それよりもイルーゾォさんが話しかけてくれて嬉しいです」
「…正直なヤツは嫌いじゃあない」
それから2人の間には会話が増えていった。
「今日の具合はどうですか?」
「普通だ…」
「それなら良かったです。イルーゾォさんは好きな食べ物なんかはありますか?」
「食べ物じゃないが、酒が飲みたい」
「それはここでは駄目です」
「残念だ」
担当して2年が経った頃にイルーゾォは医療刑務所から脱獄した。突然の看護部長からの報告に夢主は驚く。どこから脱獄したのか、何も分からずに皆頭を抱えている状態だった。
誰かが協力したんじゃないか…
そんな噂が囁かれ始める。イルーゾォを担当していた夢主は疑いの目を向けられていた。それに耐え切れなくなった夢主は退職届を出して医療刑務所から去った。
その日の夜。自宅の洗面所で髪を乾かしている時に鏡の中にイルーゾォを見た気がした。自分の見間違いかもしれない、そう思い髪を引き続き乾かす。
だが、鏡の中から腕が伸びてきてドライヤーを握っていた手を掴まれる。
「へっ?」
「夢主…俺と一緒に行こう」
「イルーゾォ…さん?」
それを最後に夢主の姿は洗面所から消えてしまった。
後日、連絡の取れなくなった娘を心配した両親が警察に通報したが未解決の誘拐事件となったのだった。
イタリアの医療刑務所に一人の男が収監される。その男の風貌は顔の一部が焼け爛れたようになっており、眉間にシワを寄せて不機嫌に見えた。身体も不自由なようで右腕が無く車椅子に乗って生活を送っていた。
新米看護師の夢主はそんな男の担当になる。カルテを見ると氏名の欄にはイルーゾォと書かれていた。ここでは最低限の会話以外は許されていないのでイルーゾォが何者なのか、何故ここへ収監されているのかは分からなかった。
「こんにちは。点滴をしますね」
「…」
「何か変わった事はありませんか? 痛い所などあれば言ってくださいね」
「…」
そんな日々が1年続いた。一向にイルーゾォの体調は良くならずに平行線のままだった。
「こんにちは、イルーゾォさん」
「…」
「最近、外は寒くなってきたのでイルーゾォさんも風邪を引かないように気をつけてくださいね」
「…」
本来はいけない事だが夢主は何とかイルーゾォと話をしたいと思っていたので会話を振るが無言の静寂しか返って来ない。
夢主は諦めようと思い片付けをしていると後ろから「なぁ…」と声が聞こえてきた。
「え?」
「なぁ…こんな患者の世話するのは嫌だろう?」
「正直、仕事なので何とも思ってないですね。それよりもイルーゾォさんが話しかけてくれて嬉しいです」
「…正直なヤツは嫌いじゃあない」
それから2人の間には会話が増えていった。
「今日の具合はどうですか?」
「普通だ…」
「それなら良かったです。イルーゾォさんは好きな食べ物なんかはありますか?」
「食べ物じゃないが、酒が飲みたい」
「それはここでは駄目です」
「残念だ」
担当して2年が経った頃にイルーゾォは医療刑務所から脱獄した。突然の看護部長からの報告に夢主は驚く。どこから脱獄したのか、何も分からずに皆頭を抱えている状態だった。
誰かが協力したんじゃないか…
そんな噂が囁かれ始める。イルーゾォを担当していた夢主は疑いの目を向けられていた。それに耐え切れなくなった夢主は退職届を出して医療刑務所から去った。
その日の夜。自宅の洗面所で髪を乾かしている時に鏡の中にイルーゾォを見た気がした。自分の見間違いかもしれない、そう思い髪を引き続き乾かす。
だが、鏡の中から腕が伸びてきてドライヤーを握っていた手を掴まれる。
「へっ?」
「夢主…俺と一緒に行こう」
「イルーゾォ…さん?」
それを最後に夢主の姿は洗面所から消えてしまった。
後日、連絡の取れなくなった娘を心配した両親が警察に通報したが未解決の誘拐事件となったのだった。