5部
夢小説設定
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※生存if
「おいリゾット寝てんのか?」
「起きてリーダー」
目が覚めると知らない天井が見えた。先程の仲間の声は夢だったのだろうか。身体中が痛み、指先ですら動かせない。
「うっ…」
「目が覚めましたか?」と隣から声が聞こえてきた。そちらに視線だけ寄越すと知らない女が立っていた。敵では無さそうだが油断は出来ない。
「あ、私の名前は夢主です。貴方が倒れていたので、私の家に勝手ながら連れてきました」
「…な…ぜ…」
何故だ? と声を出そうとするが上手く発音が出来ず自分自身に怒りが沸いてくる。
「今、私の能力で回復している途中なので、ゆっくりと寝ていてください」
「能…力?」
「これが見えますか?」とリゾットの腹部を指差したので見ると人の形をした物がくっついていたので、リゾットは目を見開く。
「見えるんですね。安心してください、貴方には危害は加えませんから…その子は人を癒す力があるんです。貴方は重症なので時間がかかります」
リゾットは目を瞑った。色々な考えが頭の中を巡るが、こんな状態では何も出来ない。何も出来ない自分が惨めで情けないと思う。今は大人しく言うことを聞くしか選択肢は無いだろう。目を閉じるとすぐに眠気に襲われてリゾットは眠った。
ーーーーーー数日後、
リゾットが眠りについてから5日が経った。夢主は毎日、能力を使ってリゾットの治療をしていた。傷口は目立たなくなったが身体の内部の損傷を治すのに時間がかかるのだ。
夢主がリゾットを見つけたとき、身体中に銃創のような傷が出来ており、虫の息だった。その場で軽く治療を施して、能力を使って運んだ。運ぶ最中にもリゾットは痛みに声も上げず、顔を歪ませていたのが夢主の印象に残っている。正直、助かる保証は無かったがリゾットは生き延びた。
「おい…」
リゾットが眠っている部屋から声が聞こえた。目が覚めたのだろう。夢主は部屋に向かった。
「目が覚めて良かったです。身体の痛みはどうですか?」
「…まだ痛む」
「治療の続きをしますね」
「もう大丈夫だ…」
リゾットは身体を起こした。まだ痛むが目が覚めた時よりもマシになった気がする。
夢主はリゾットに水の入ったコップを渡した。リゾットは受け取り一気に飲み干した。久しぶりに飲む水は美味しかった。
「…何故、俺を助ける?」
「助けるのに理由がいりますか?」
「…俺には理解が出来ない」
「私は貴方を助けたかった、ただそれだけです。それよりも何か食べますか? スープを作ってあるので持ってきますね」
それからリゾットが歩ける様になるまで半年の時間がかかった。リゾットは毎日、海岸沿いを歩いた。リハビリの為だけでは無く、一人になり考えをまとめたかったのだ。そんなリゾットが心配なので夢主は遠くから見守っていた。
リゾットは何も語らないが、何か悲しい、苦しい出来事があったに違いないと夢主は思っていた。
「お帰りなさい」
「あぁ」
「私に出来ることがあるなら言ってくださいね」
「…夢主、君には世話になってばかりだな」
「いいんですよ」
その日の夜、リゾットは夢主の家から消えた。夢主はリゾットを探したが見つけられなかった。それから毎年、リゾットを助けた日になるとミモザの花束が玄関前に置かれるようになった。
夢主は毎年それを飾りリゾットの事を思い出すのだった。
「おいリゾット寝てんのか?」
「起きてリーダー」
目が覚めると知らない天井が見えた。先程の仲間の声は夢だったのだろうか。身体中が痛み、指先ですら動かせない。
「うっ…」
「目が覚めましたか?」と隣から声が聞こえてきた。そちらに視線だけ寄越すと知らない女が立っていた。敵では無さそうだが油断は出来ない。
「あ、私の名前は夢主です。貴方が倒れていたので、私の家に勝手ながら連れてきました」
「…な…ぜ…」
何故だ? と声を出そうとするが上手く発音が出来ず自分自身に怒りが沸いてくる。
「今、私の能力で回復している途中なので、ゆっくりと寝ていてください」
「能…力?」
「これが見えますか?」とリゾットの腹部を指差したので見ると人の形をした物がくっついていたので、リゾットは目を見開く。
「見えるんですね。安心してください、貴方には危害は加えませんから…その子は人を癒す力があるんです。貴方は重症なので時間がかかります」
リゾットは目を瞑った。色々な考えが頭の中を巡るが、こんな状態では何も出来ない。何も出来ない自分が惨めで情けないと思う。今は大人しく言うことを聞くしか選択肢は無いだろう。目を閉じるとすぐに眠気に襲われてリゾットは眠った。
ーーーーーー数日後、
リゾットが眠りについてから5日が経った。夢主は毎日、能力を使ってリゾットの治療をしていた。傷口は目立たなくなったが身体の内部の損傷を治すのに時間がかかるのだ。
夢主がリゾットを見つけたとき、身体中に銃創のような傷が出来ており、虫の息だった。その場で軽く治療を施して、能力を使って運んだ。運ぶ最中にもリゾットは痛みに声も上げず、顔を歪ませていたのが夢主の印象に残っている。正直、助かる保証は無かったがリゾットは生き延びた。
「おい…」
リゾットが眠っている部屋から声が聞こえた。目が覚めたのだろう。夢主は部屋に向かった。
「目が覚めて良かったです。身体の痛みはどうですか?」
「…まだ痛む」
「治療の続きをしますね」
「もう大丈夫だ…」
リゾットは身体を起こした。まだ痛むが目が覚めた時よりもマシになった気がする。
夢主はリゾットに水の入ったコップを渡した。リゾットは受け取り一気に飲み干した。久しぶりに飲む水は美味しかった。
「…何故、俺を助ける?」
「助けるのに理由がいりますか?」
「…俺には理解が出来ない」
「私は貴方を助けたかった、ただそれだけです。それよりも何か食べますか? スープを作ってあるので持ってきますね」
それからリゾットが歩ける様になるまで半年の時間がかかった。リゾットは毎日、海岸沿いを歩いた。リハビリの為だけでは無く、一人になり考えをまとめたかったのだ。そんなリゾットが心配なので夢主は遠くから見守っていた。
リゾットは何も語らないが、何か悲しい、苦しい出来事があったに違いないと夢主は思っていた。
「お帰りなさい」
「あぁ」
「私に出来ることがあるなら言ってくださいね」
「…夢主、君には世話になってばかりだな」
「いいんですよ」
その日の夜、リゾットは夢主の家から消えた。夢主はリゾットを探したが見つけられなかった。それから毎年、リゾットを助けた日になるとミモザの花束が玄関前に置かれるようになった。
夢主は毎年それを飾りリゾットの事を思い出すのだった。