悠久の時を生きる
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夢主が眠りから覚めると布の様な物が掛けられていた。良く見ると毛皮のようだ。カーズかエシディシが掛けてくれたのだろうと思っていると、赤ん坊の泣き声が聞こえてきたので声のする方へと向かうとそこには2人の赤ん坊がいた。
「可愛い…」
夢主は手を伸ばして泣いている赤ん坊の頬に触れる。すると余計に泣き出してしまい夢主は慌てて抱き上げた。赤茶色の髪の毛を撫でるとフワフワと柔らかく気持ちが良い。だが髪の毛の間から小さな角が出ているのが見えて夢主は驚く。
「人間? 角?」
「俺たちは角を持っている種族なんだよ」
エシディシがいつの間にか立っており説明をしてくれた。
「この赤ん坊のお父さんは貴方達?」
「まぁそんな様な所だ」
「…」
エシディシの曖昧な答えに誘拐じゃないことを祈ろうと夢主は心の中で思った。それから赤ん坊の名前は赤茶色の髪がサンタナ、金色の髪がワムウと言うと教えられた。
「サンタナ可愛いね~」
機嫌が直ったのかサンタナは抱っこをされながら手を伸ばしたり、キョロキョロと辺りを見たりしていた。まだ目があまり見えていない様子だ。サンタナをそっと寝かせると次はワムウを抱き上げた。凄く大人しい。
「ワムウも可愛いね~」
夢主は2人の赤ん坊の虜になってしまった様だ。
「カーズが話をしたがっていたぞ」
「カーズさんはどこにいるんですか?」
「向こうだ」
サンタナとワムウともっと遊びたかったが仕方がない。カーズに話をしに行こうと立ち上がり向かった。ここは洞窟だが部屋が分かれている。隣の部屋へと入るとカーズが座っていたので声をかけた。
「カーズさんが私と話をしたいって聞きました」
「あぁ、お前には聞きたいことが山ほどある。日本という国は何処にあるんだ?」
それから夢主はカーズから質問攻めを食らい解放された頃には疲れはてていた。カーズが言うには夢主はこの時代の人間ではないとの事だった。カーズから色々な話を聞いたが、この時代の人間は電気は無く暮らしも原始的なものらしい。本当か嘘かは人間の村を見て判断をしろ、と言われてしまった。
「とにかく疲れたぁ~癒しがほしい」
サンタナとワムウを見に行こう。
「眠ってる。可愛い」
小声で可愛い可愛いと言いまくっている夢主は破顔していた。エシディシは何処かに行ったようで、この場にはいなかった。
「疲れたしここで眠ろう…」
サンタナとワムウの横に寝転がり潰さないように気を付ける。赤ん坊の寝顔を見ていると夢主の眠気も襲ってきて目を瞑った。
「おい起きろ。飯だぞ」
「んーお母さん…」
「誰がお母さんだっ!」
エシディシに額を叩かれて夢主は目が覚めた。エシディシの方を見ると平たいパンの様な物を持っていた。
「それは?」
「人間の村から貰ってきたんだ。あいつらの主食だから夢主も食えるだろう」
「ありがとうございます」
「敬語なんてやめろぉ何かむず痒くなる」
「わ、わかった」
エシディシから貰った平たいパンを一口食べてみた。味はほんのりと甘く、意外にも重たい食感だった。これ一つでもお腹は満たされるだろう。
「ご馳走さまでした」
「腹ごしらえもしたし村を見に行くか?」
「いま外暗いですよ?」
「いいんだよ、連れていってやる」
エシディシと夢主は洞窟を出る。突然エシディシが腰に手を回してきたと思ったらそのまま崖から飛び降りた。
「いやぁーーーーーーっ」
情けなく叫びながら落下していった。地面に着いた頃には夢主は脱け殻になっており話すのも立つのも出来なかった。
「人間は軟弱だな」
「と、突然エシディシが飛び降りるからでしょーが!」
「うるせぇーぞ! 夜行性の猛獣に気づかれても良いのか?」
「へっ?」
エシディシは村へと向かった。エシディシの後ろには夢主が張り付いておりガタガタと震えている。しばらく歩くと月明かりに照らされ灰色のピラミッドの様な物が見えてきた。
「凄い…」
「あれは神殿だそうだ。あそこで神に何かを捧げるとか何とか言ってたな」
「凄く綺麗です」
夢主がピラミッドに感動していると麓に建物が点在しているのに気がついた。
「あれが家ですか?」
「あぁ、そうだ」
その中の一つに入ると人がいた。松明の様な物で家の中を照らしており、この場所に電気がないのが夢主にも理解ができる。家の人たちはエシディシを見ると顔を強張らせて部屋の隅へと固まって立っていた。だが老人だけは手を合わせ、まるで神へと挨拶をするように、拝むように何かを呟いている。
「エシディシ! もうここ出よう…気まずいよ」
「あぁ? 来たばかりだろう、お前も見たいんじゃあないのか?」
「もう見たから出よう」
エシディシを引っ張って家を出た。
「エシディシは神様なの?」
「人間が勝手に神だの、悪魔だの言ってるだけだ」
「そうなんだ」
洞窟へと帰る時はエシディシに担がれてジャンプで戻った。多分、エシディシもカーズも赤ん坊達も人間では無いのだろうと夢主はそう感じたのだった。