「10年くらい前にはなるのかな？
所轄署の刑事だった毛利さんは本庁の目暮警部…当時は警部補だったかな？
とにかく二人で村上を逮捕したんです
所轄署で調書を取っていると途中で村上がトイレに行きたいと言い出した
毛利さんと目暮警部は警官に村上をトイレに連れて行くように命じた
取調室の前で一服していたんだ
そこへ蘭さんと理彩さんを連れた妃さんが毛利さんの着替えを持ってやって来た」
「あ…そういえば、よく理彩と一緒にお母さんとお父さんに荷物を届けに行ってました」
「その時…事件は起こったんですよ」
「え？」
「村上は警官の拳銃を奪ってトイレから出て来たんです」
「あっ！思い出した！」
「え？」
「私…その時…」
蘭は白鳥の話を聞いてある出来事を思い出した。
「お母さんが…人質になったのを今の話を聞いて思い出しました」
「それで？
人質になった英理おばさんはどうなったの？」
話についていけないコナンは白鳥に聞いた。
「人質になった英理さんを助けようと毛利さんは拳銃で撃った」
「え？」
「だが弾丸は犯人に当たらず妃さんに当たった
妃さんが体勢を崩し村上がパニックになったところを毛利さんはまた撃ち村上に今度は当たり肩を撃たれ動きが止まったのでその場で逮捕した
よほど毛利さんは腕に自信があったんでしょうね
だが弾丸はそれて妃さんに…
当時警察内部でもこのことが随分問題になったようでね
確かその後すぐだよ
毛利さんが刑事を辞めたのは…」
「そうだったんだ…
どうして…私…今まで忘れていたんだろ…」
「蘭さんにとっては忘れたい出来事だったんじゃないですか？
事件をその時から今でも覚えている理彩さんとは違ってね」
「え？理彩姉ちゃんはその時のことを今でも覚えているの？」
「目暮警部に以前理彩さんには血を見せないようにと言われていたのでこの事件の話を目暮警部からも少し聞いていたんですよ
どうやら毛利さんが目暮警部にそのことを相談していたようですよ」
「血ですか？
確かに理彩は血が苦手だけど…」
「理彩さんは毛利さんが妃さんを撃った光景と撃たれた妃さんから血が出たのを見ていたみたいです
目暮警部の話ではその事件のせいで理彩さんは血がトラウマになるほど苦手になったって言っていたよ
どうやら蘭さんと理彩さんを犯人から守るように目暮警部がその場から遠ざけようと抱きしめて離れようとしていた時にその光景をしっかりと記憶に残るほど見てしまったとね」
「それで…理彩は血が苦手に…
そこまでは私は知らなかった…」
「理彩さんがこの事件で血が苦手になったのはご両親と目暮警部と松本管理官が知っているくらいだよ
あとは捜査一課にも僕のように目暮警部に言われてこの事件の話を聞かされている刑事は限られているけどいるのは確かだよ」
「へぇー」





















「ここですか？」
『はい』
理彩は夜に杉下たちとソムリエの沢木がいるレストランにやって来た。
杉下が沢木という人物に会ってみたいと言い出したからである。
「おや？毛利さんのお嬢さんの」
『はい!理彩です』
沢木が杉下が注文したワインを持ってきた。
「今日はどうされたんですか？」
『日頃お世話になっている方たちがごちそうしてくれることになって両親のお薦めの美味しい店だと教えたら行ってみたいと言って下さって』
「そうでしたか」
「理彩の知り合いか？」
『お母さんたちが昔からお世話になっているソムリエの沢木さんです』
「そうなのか」
「理彩さんは随分年上の方々とお知り合いなんですね」
『お二人とも刑事さんなんです
私…事件に巻き込まれやすくて…
でも、おかげで素敵な方に出会えました』
理彩は松田の方に視線を向けて言った。
「となると、こちらの方ですか？」
沢木は松田を見てそう言った。
『あ…はい』
「理彩さんの視線がそちらの方に向いていましたので分かりました
色々なお客様をこの店で何年も見てきていますからね
プロポーズをする方や恋人との初めての食事にというお客様もいますから
そういう視線には敏感なんですよ」
『そうなんですか
ちなみに交際してるのはお母さんしか知らないのでお父さんには内緒でお願いします』
「分かりました
ちなみに毛利さんが英理さんにプロポーズをしたのはこのお店ですよ」
『え？それは初耳です』
「あの毛利探偵がな」
『あの沢木さん』
「どうかされましたか？」
『この前、お母さんたちとここに来た時にチョコレートのジゴバの話をしていたのを覚えていますか？』
「えぇもちろんです
英理さんの好物ですからね」
『お母さん…誰かに狙われていたみたいで…何かあの日に気付いた事とかありますか？』
「いえ…何も…」
『そうですか…ありがとうございます』
「いえ」