「それはそれは大変な目に遭いましたね理彩さん
となると、船にあった血痕は理彩さんのでしたか…
やはり囮に利用するために理彩さんたちをハンターたちは連れ去ったんですね」
「あぁ」
『必死に逃げていたら蘭が何とか助けてくれました』
「酷いことしやがるな」
『蘭がハンカチで止血はしてくれて…私は血を見て…いつもみ…っ…』
グラッ
「おい⁉」
話していた理彩が突然立っていられなくなったのか倒れかけた。
松田が理彩を支えた。
「おい！理彩⁉大丈夫か⁉」
松田が呼びかけるも理彩は気を失っていて返事はない。
「恐らく理彩さんは出血のこともありますし貧血もありめまいを起こしたのでしょう
それにトレジャーハンターたちとずっと行動を共にしてましたからかなりの緊張状態だったと思いますよ」
「だよな」
「理彩さんはすべてが終わった今、自身がもっとも信頼している松田君を見て触れて安心したのでしょう
張りつめていた緊張の糸が切れたと考えるのが妥当かと思いますよ」
「いきなりとか心臓に悪りぃけどな」
「そうですね」
「松田君！理彩ちゃんがどうかしたの⁉」
松田たちの様子に皆が駆け寄る。
「理彩は突然倒れかけた
寸前で支えたが見ての通り気を失っているぜ」
「えー⁉それって大丈夫なの⁉」
「理彩君⁉」
「理彩⁉」
「松田刑事、理彩姉ちゃんがどうしたの⁉」
「おい松田‼理彩がどうかしたのか⁉」
皆が松田に問う。
「杉下とも話してたんだが恐らく緊張の糸が切れたんだろ
出血のせいで貧血もあったんだろうぜ
トレジャーハンターたちに連れ去られてからずっと気を張りつめていただろうしトラウマの過呼吸があったりしただろうからな
疲労のせいだろうな」
「すぐ医者に‼」
「手配しておこう毛利君」
「ありがとうございます警部殿」
「船が港に戻ったらすぐに医者に診てもらわねぇとな
どちらにせよ理彩は今は休息が必要だ
腕の出血はハンカチでの応急処置な状態だからな
治療の必要があるしな」
「確かに」
その後、診療所で治療してもらった理彩なのでした。










港に着いてすぐに診療所に向かい理彩は治療してもらった。
『ぅ…ん…？
あれ…ここ…？』
「目が覚めたみたいだな理彩」
『陣平さん…？』
「船で気を失ったのは覚えてるか？」
『はい…急にクラっとして…』
「あぁそうだ
ここは診療所だから安心しろ
理彩は腕の治療と休息が必要だったからな」
『ずっとそばにいてくれたんですか？』
「少し離れたが、それからはずっとそばにいたぜ」
『そうなんですか…心配おかけしました』
「突然理彩が倒れたからヒヤヒヤしたがな
心臓に悪りぃ」
『ごめんなさい…』
「まぁ、あまり気にすんな
こっちこそすぐに助けに行けなくて悪かったな
トレジャーハンターたちと何があったのかは姉から話は聞いた
怖かっただろ」
『はい…
そういえばあのトレジャーハンターの中に陣平さんにそっくりだった人がいたんです』
「そっくりだぁ？どこがだ⁉」
『声です
口調も何となく似てましたから』
「そうか」
『でも』
「でも？」
『同じ声でも陣平さんじゃないから凄く怖かったし嫌でした‼
やっぱり同じ声でも陣平さんじゃないと嫌です‼』
理彩は椅子に腰掛けていた松田にぎゅっと抱きつき言った。
松田も理彩を抱きしめ腕の中にいる恋人の無事を喜んだ。
実は松田、理彩がハンターたちに連れ去られたのを知った時自分がすぐに助けに行けないでいて苛立っていたり無事な姿を確認できて喜んだのも一瞬で腕の出血に気づき早く治療をと思っていたらいきなり理彩が倒れ目を覚ますまで口には出さないでいたが不安だったのだ。
「理彩、そういうのは二人っきりの時に言ってくれ
ここには邪魔者がいるしな」
松田は部屋にいる人を睨む。
「邪魔者とは酷いですね松田君」
「事実じゃねぇかよ」
『あっ…杉下さん』
理彩が松田と同じ方を見るとそこにいたのは杉下。
コナンたちはどうやらここにはいないようだ。
理彩は松田に抱きついていた手を離そうとしたのだが松田が離してくれなかったのでそのまま甘えておくことにした。
「体調はいかがですか？理彩さん」
『休めたので大丈夫みたいです』
「それはよかったですね
おや？何やら廊下が騒がしいですね」
「毛利探偵が騒いでんだろうぜ」
「そのようですね」
『え？』
確かに声が聞こえる。