「杉下…いつ分かったんだ？」
「最初におやと思ったのは…ビック・ベンの時計の針です」
「参加人数のか？」
「君は針が動く前に気が付いた
あれは僕たちに時計の意味を知らせようとした」
「なるほど」
「その次はホームズの部屋で資料を探していた時です
僕はたまたま見ていたのですが…
サッカー少年なら興味がないはずがないあの時代のボールを君は汚いボールだと放り投げていた
そして君は僕たちを危険な目に遭わせながら一致団結して危険を乗り越えることを信じていた
違いますか？」
「……」
「親の力を頼った生き方をしている子供たちの変化を君は期待した
最後には大人の僕たちしか残らなかったですがね…
ですが、当初の期待通りに子供たちの変化はあった…
だから君は最後にお助けキャラのホームズを登場させた」
「…諸星くんの体を借りてゲームに潜り込んだのは一度くらい友達と遊びたかったからなんです…いつもいつも仕事だとパソコンが相手だったから
別にパソコンが嫌いなわけじゃないけど…強制されていたから…
でも、ゲームに参加してみてすごく楽しかった
お父さんの仇は工藤さんが取ってくれた
向こうに戻ったら工藤さんにありがとうって伝えてくれませんか？」
「もちろん伝えますよ」
「他には伝えたいことはないか？ガキ」
「参加した子供たちに怖い思いさせてごめんなさいと伝えてください」
「分かった」
「君はこれからどうするんですか？」
「ボクのようなコンピューターが生きてると大人たちが悪いことに利用してしまう…
だから予め用意してあった破壊プログラムを作動させてボクは消えるよ」
「そうですか」
「そこから現実世界に戻れます」
「分かりました」
「あの…」
「何か？」
「お二人のお名前を聞いてもいいですか？」
「構いませんよ
警視庁特命係の杉下と申します」
「同じく警視庁特命係の松田だ」
「特命係の杉下警部に松田刑事ですね
最期までボクを助けてくれてありがとうございました」
「理彩が言ってたからな
誰も欠けずに帰ろうってな」
「そうですね」
「って言っていた本人が自ら飛び降りるとはな…
やられたぜ」
「そうですね…
戻ったらそうですね
理彩さんには1日花の里女将代理なんてしてもらったらいかがです？」
「おっ！いいなそれ
いや待て…それだともれなく杉下とたまきさんがいるじゃねぇかよ
却下だ」
「おや…楽しみにしてたんですが…」
「それくらいなら自分の家に呼ぶぜ」
「では僕も」
「だから!!何でてめぇまで付いてくるんだよ」
「あの…それより戻らなくていいんですか？」
「そうですね…そろそろ帰りますかね」
「そうだな」
ゲートに入っていく。























現実世界ではゲームオーバーになっていたコクーンが次々に顔を出してゆく。
親たちは我が子のコクーンに走ってゆく。
もちろんモニタールームにいた小五郎やコナンたちもである。
『戻れたんだ…』
「理彩!!」
『うぐっ』
小五郎に抱きしめられた。
「よかった！お前に何かあったらと心配だったんだぞ!!」
「よかった無事で」
蘭も駆け寄って来た。
『心配かけちゃったね…』
「飛び降りるなんて無茶するんだから理彩姉ちゃん」
コナンもいた。
『だって…新一の言葉を思い出して…』
「新一の言葉？」
『蘭の事だから新一のホームズ話は聞き流していただろうけど、とっさに新一の好きなセリフを思い出したんだ
今回すごい役に立ったかも』
「ほぅ…
それであの無茶をしたわけか理彩」
『…松田さん』
振り向くと松田がいた。
「このバカ！心配させやがって！」
『ごめんなさい…
松田さんが危なかったから…助けたくて…つい…』
「やり方ってもんがあるだろ！」
『はい…』
「松田君はかなりその行動に驚いたそうですよ理彩さん」
「杉下」
「多分しばらくは松田君から弁当か何か作ってくれなどおねだりが来ますよ
覚悟しておいてくださいね理彩さん」
「それをつまみ食いする気だろ杉下てめぇ」
「何のことやら」
「…てめぇにはやらねぇぞ」
「望むところです」
『あはは…』

「理彩君！」
ステージの下から優作に声をかけられた。
『優作さん』
「どうだったかね？ゲームは」
『またやりたくはないけど…楽しめました
ありがとうございました』
「そうか」
『樫村さんが殺害されたことを…
松田さん…こちらの刑事さんから聞きました』
「そうか…」
『少し挨拶程度に会話したのが最期になるなんて…』
「挨拶はできたようならよかったよ」
『はい』
「理彩、この人が工藤優作だな」
『はい』
「君は…コナン君からバッチをもらっていた刑事だったかな？」
「警視庁の松田だ
ノアズ・アークからあんたに伝えて欲しいって預かった伝言がある」
「？」
「お父さんの仇を取ってくれてありがとう！だとよ」