トンネルを理彩の声で気付き何とか避けれた。
がしっ
「うっ…」
『松田さん!!』
松田は切り裂きジャックに首を絞めつけられる。
「グラサンを離せよ！」
「グラサン…言うな…ガキが…」
「邪魔だ小僧!!」
バシッ
「うわっ」
バランスを崩す。
「諸星くん！」
杉下が辛うじて支えたため諸星は何とか助かった。
『大丈夫？』
「な…なんとか…」
「さてと…どこから刻まれたい？」
「うう…！」
切り裂きジャックに首を絞められる松田は身動きが取れない。
「松田君!!」
『（どうしよう…このままじゃ…松田さんが殺されちゃう…!!）』

【「俺はその時のホームズのセリフで気に入ってるやつがあってさ
何だと思う？理彩」】
【『ホームズのセリフで？
分からないよ新一』】
【「それはさ…
〈キミを確実に破滅させることができれば、公共の利益のためにボクは喜んで死を受け入れよう〉」】
『（っ!!）』
ふと新一のある言葉を思い出した理彩。
『（大丈夫…
杉下さんなら…あの言葉で私が何をするか分かってくれるはず…
絶対松田さんには後で怒られるだろうけど…
今は松田さんの命がかかってる！
迷ってる場合じゃない!!）』
「さぁ覚悟はいいか？」
「うぅ…」
「グラサン！」
「松田君！」
『杉下さん!!』
「理彩さん？」
『ライヘンバッハの滝です』
「!?」
「っ…だめです！やめてください理彩さん!!」
立ち上がる理彩。
杉下は理彩が何をしようとしているか分かり止めようとするが理彩はすでに体の向きを変えている。
「理彩…？」
松田は何とか声を出す。
『（ごめんなさい…最後まで一緒にいれなくて…）
私は信じてますから!!
松田さんと杉下さんならなんとかしてくれるって！』
「…っ!?よせ！理彩!!」
そこで松田は理彩が何をしようとしているのかが分かった。
ばっ！と理彩が飛び降りた。
「くそぉぉぉーっ！」
切り裂きジャックは慌ててロープを切ろうとする。
「理彩さん!!」
「姉ちゃん!?」
「理彩!!」
「くそっぐわっ」
切り裂きジャックも落ちてゆく。
シュウ…と理彩が消えていく。
「理彩!!」
松田は理彩の名を叫ぶ。

「あいつ…こほっ…無茶しやがって…
戻ったら覚悟しとけよ…」
「松田君！無事ですか？」
「なんとかな…」
「理彩さんを行かせてしまって申し訳ありません」
「いや…杉下が止めたところで理彩は言うことは聞かなかったさ」
「しかし…これからどうしたらいいですかね…
列車はどんどんスピードが早くなってますし」
「だから…ノアズ・アークは乗客を消したんだな」
「打つ手がありませんね」
ビビビ…
「!?」
突然目の前に街で会った変な歌を歌っていた男性が現れた。
「はっはっは！
オマエたちはまだ血まみれになっていない…
まだ生きているじゃないか！
もう諦めるのか？
すでにオマエらは真実を解く結び目に両の手をかけているのに」
「「!?」」
「人生という無色の糸の束には…殺人という真っ赤な糸が混ざっている…
それを解きほぐし導くのが我々の仕事じゃないかね？」
それだけ言い消えていく。
「まさか…今のは…ホームズでは？」
「今のが!?」
「ですが…今はダート・ムーアに…
ノアズ・アークが我々にこんな時にお助けキャラを出してきたといいことは…我々に勝って欲しいということでしょうかね？」
「さぁな…
しかし血まみれにってどういう意味だ？」
「松田君！確かこの列車に貨物車があります」
「そうだが？」
「いいですから僕の言うように貨物車へ」
「おぅ分かった！行くぞガキ！」
「え？おぅ」
「貨物車に行ったら赤ワインの樽を斧で割ってください」
「分かった」
ドカッドカッと割っていく。
「合図したら潜ってください」
「分かった」
「今です！」
潜る。
列車は駅へ突っ込んでゆく。































「うぅ…」
「大丈夫ですか？松田君！」
「杉下？…大丈夫だ」
「諸星くんも大丈夫そうですね」
「おぅ」
「ここは…スタートした時の…」
「戻れたようです」
「あんたらを信じてよかったぜ」
「どういたしまして…ノアズ・アーク」
「!?」
「それとも…ヒロキくんとお呼びした方がいいでしょうかね？」
「はぁ？ノアズ・アークだと!?」
「諸星くんのデータを借りて参加していたんですよね」
「…いつからそれに…？」
諸星から違う子供の姿になった。
「…」
「マジかよ!?」
「気にしなくても今は交信を切ってるから話してください」
「そうですか」