なんと肝心なホームズが出張でいないことが分かる。
「ダートムーア！そうですよ！
バスカビル家の犬事件の日ですよ」
「もしかしてあなたたち、2週間前の事件でホームズさんに協力して大手柄だったそうね」
女性が思い出したかのように言った。
「!?」
「さあさあお上がりなさい
温かいミルクティーをいれて差し上げますよ」
女性に案内され中に入る。
「人違いでしょうか？」
『あっ！分かった！』
「どうかしたか？理彩？」
『きっと私達をベイカー・ストリート・イレギュラーズとして認識しているのかも』
「何だよ？それ？」
『ホームズさんが雇った浮浪者の子供たちのことなんです
大人じゃ入れない場所に潜り込んで情報収集をするたくましい少年たちなんです』
「なるほど！僕たち少年探偵団の大先輩ってわけですね！」
「そういうことね」
「さあさあこちらへどうぞ」
部屋に案内された。
「感動的ですね
あのホームズの部屋をゲームとはいえ見れるなんて」
「杉下…てめぇ休暇のたびにロンドンに行って見てるだろ？」
「違った良さがあるんですよ」
「……そうなのか？」
「ええ、もちろん！
すみませんご婦人
ここに座ってもよろしいでしょうかね？」
「ええどうぞ」
杉下は椅子に座りポーズをとる。
「何やってんだよ杉下」
『ホームズさんの真似をしてるんだと思いますよ』
「はあ!?マネ？」
『小説の挿し絵で見たんですけどホームズさんがあのポーズで物思いにふけていたんです』
「なるほど
杉下はそのマネをしているわけか…」
「なあなあ！見ろよ
この写真！
誰かに似てないか？」
元太は写真を見つけた。
「あ！髪の毛あるけど阿笠博士だよ!!」
「あら、本当」
「分かりましたよ！
この人たちがホームズとワトソンなんですよ」
「ホームズは誰に似てるんだろ？」
「さあ？」
『それならきっと優作さんだよ』
「え？」
『新一もだけど優作さんもホームズ好きだからね
似た者親子だもの
それにこのゲームのシナリオは優作さんだしね
写真もなんとなく似てるしね』
理彩は子供たちが見てる写真を見て助言した。
「なるほどね」
納得した。
「なぁ、のんびりしてられねぇんじゃねぇか？」
「でも諸星くん
何をすればいいの？」
あの子供たちが話し出した。
「きっとそこで呑気にマネをしているおじさんが知っているさ」
じー…
杉下に視線が集まる。
「杉下、ご指名だぜ」
「おや…これは失礼
ホームズさんのことですから何か切り裂きジャック【ジャック・ザ・リッパー】に関する資料があるはずです
それを探して下さい」
「でも…資料は英語なんじゃ…」
「それは大丈夫だぜ」
「どうしてですか？松田刑事？」
「さっきのようにコンピューターによりプレイヤーは英語が日本語に対応できるようにプログラムされている
ホラな」
松田は子供たちに資料を見せた。
「犯罪における初動捜査？
本当です！読めます！」
「探せばいいんだよね」
「頑張ります」
探し始めた。







『杉下さん
これ！資料ありました』
「見せて下さい理彩さん」
『はい』
「えっと…」
杉下は資料を読んでいく。
犠牲者のことが調べられていた。
「おやおや…本当に小説と現実が混ざっていますね」
「どうかしたのか？杉下？」
「ホームズさんの宿敵まで登場されるなんて」
「ホームズの宿敵？」
『モリアーティ教授ですよね!?』
「正解ですよ理彩さん
ホームズさんは切り裂きジャックの裏にモリアーティ教授の繋がりを確信しています」
「誰なんだよ？
知ってる連中で話を進めるなよ！
俺たちでも分かるように教えてくれよ」
子供に言われた。
「モリアーティ教授とは…
ロンドンの暗黒街を支配下に置き、ヨーロッパ全土に絶大な影響力を及ぼしていると言われている犯罪界のナポレオンです」
『でも杉下さん
モリアーティ教授は裏で糸を引いているけどなかなか姿を現さない人物ですよね？
どうしたら…』
「教授が姿を現さないなら彼に繋がる人物に接触するしかありませんね
教授の腹心の部下…セバスチャン・モラン大佐にね」
「どうするつもりだ？杉下」
「メモによると大佐はトランプくラブにいます
ロンドン第二の危険人物ですから注意しなくてはいけませんがね」
「分かった」
「うひょー！本物の銃だぜ！」
『…っ…』
理彩は思わず元太の持った物を見てしまった。
『ヒューヒューっ』
「ガキ！すぐにそいつを元に戻せ
理彩、大丈夫だ
落ち着いて呼吸するんだ」
松田がそれに気付き理彩を抱き寄せた。
「元太君！危ないのですぐに戻して下さい！
子供が持っていいものではありませんよ!!」
刑事二人に言われ元太はすぐに戻した。
「ごめんなさい…」
「こちらこそ怒鳴ってしまいました
ですが、危険な物を子供に持たせたくないのは理解していただけますね」
「うん…ごめんな杉下警部…」