「他のお客様の迷惑になる…
遊ぶなら外に行きなさい!」
「誰だよ、おじさん？」
「コクーンの開発を担当した樫村と言います…」
「じいちゃんの銀行が助けてやったから、ゲームを完成できたんじゃん!!」
「公衆道徳と言うものをお父さんやお母さんから教わらなかったかな？
それと、目上の人間に対しての話し方も…」
「偉そうに!!」
「もうお金貸してやんないぞ!!」
「おじさん、私たちのこと知らないんじゃない？」
「オレたちにたてつくと、明日にはクビになっちゃうかもよ…」
「ではその前に、キミたちをここからつまみ出すことにしよう」
「い、行こうぜ」
「おぅ」
男性に注意された子供たちはまたどこかへ行った。
「今のを見て思ったが…
親に敷かれたレールに沿った生活をしていて何でも言うことを聞いて貰えているガキ
更には下に見ている奴らに言うことを聞かせることができる親の権力が本当に強いだけかもしれねぇが、先が思いやられるガキたちだな」
「そうですねぇ…」
松田と杉下は思わず本音が漏れる。
「(確かにな…)」
思わずコナンも松田の言葉に同意した。
「なんて素敵なおじさま！
誰かさんとは大違いね…」
「あはは…」
園子は感激している…。
『樫村さん…ってあの人のことなんだ
挨拶しておかないと』
「どうかしたか？理彩？」
松田は理彩に問いかけた。
『優作さんの手紙に書いてあったんですよ
今回のパーティーの私のゲーム参加バッチを優作さんが樫村さんにお願いしたって』
「なるほどな」
『ちょっと行ってきます』
「分かった」
理彩は樫村に声を掛けるべく近寄る。
『あの、すみません』
「はい？何でしょうか？お客様」
『樫村さんでよろしいでしょうか？』
「はい、私が樫村ですが？」
『毛利理彩と言います
この度は優作さんのご要望に応えてゲームの参加バッチまで頂いてありがとうございました』
「もしかして…君が？」
『はい、私は優作さんの息子である新一とは幼なじみなんです
よく新一の家の小説を借りて読んでいたり優作さんの書斎の本まで借りたりしてまして…
最近では新作が出ると読んだ感想を手紙にして優作さんに送ることが多くて』
「工藤から作品の大ファンの子にお礼だとか言っていたが…自分の息子の幼なじみとはな」
『幼なじみと言っても保育園と中学でしかクラスは一緒じゃないですけど仲はいいですから
新一も優作さんに負けないくらいのホームズ好きなんですよ』
「そうでしたか、彼の息子の活躍は耳にはしてますが…さすが親子ですね…
ホームズ好きとは…
今日はゲームを楽しんでください」
『はい』
「では」
樫村は去っていった。








「みなさま、ステージにご注目下さい…
ただいまコクーンのゲームステージのためにアイディアを提供していただきました工藤優作先生がアメリカからご到着です」
司会の声にステージに注目が集まる。
「あれが噂の工藤優作か？
初めて見たぜ」
「数々の推理小説を執筆している小説家ですからね」
「理彩の幼なじみの父親なんだろ？」
『はい、そうです』
「確か幼なじみは高校生探偵をされているんだとか？」
『はい…でも今は…新一はどこで何をしているのかは分かりませんけど』
「心配じゃねぇのか？」
『心配ではありますが…たまにふらっと帰って来るから蘭ほど心配してませんから私』
「そうか」
ステージでは優作が簡単な挨拶をしていた。
「工藤先生ありがとうございました
それでは、次世代ゲーム機コクーンをご覧いただきましょう!!」
司会の声に会場が暗くなった。








「灰原ー！手に入ったぞ!!
ほら、おまえの分もある」
元太は灰原にバッチを渡した。
「おやおや、たいしたものですね
どこで入手して来たのでしょうかね？」
「他の参加者の子供たちにゴールデンヤイバーカードと物々交換してきました」
「俺たちのカードコレクションから泣く泣く出したんだぜ」
「おやおや…そうでしたか」
「まぁコクーンはこれからでもできるけどカードは今しかないとか言って交換でもしたんだろ？ガキども」
「すごい！松田刑事何で分かったの？」
「おい…当たりなのかよ…」
『あははは…』
「話のタネに参加してみるのも悪くないかもね…」
灰原は受け取って付けた。
「すみません、通してください」
慌てたように係員が優作の元に走っていった。
「…え？樫村が!?
案内してください」
「はい!!」
その様子に杉下と松田は何か起きたと感づいた。
「あの慌てよう…何かありましたね」
「だろうな」
「行ってみましょうか」
「そうだな
理彩はゲームを楽しんで来いな」
『はい』
松田達は追いかけた。