「そうなんですかね…
自分ではそこまで大切だったのか未だに分かりませんが…」
『杉下さんは、確かほぼ毎日花の里に行ってたんですよね？』
「そうですね」
『それがなくなったから調子がおかしいならきっとそうなんですよ！
杉下さんが思っている以上にたまきさんと花の里が好きだったってことなんですよ』
「そうなんですかね」
「いい加減認めろよな杉下…」
「そうですよ…」
『もうっ…杉下さんったら！
これをしっかり食べて考えてみて下さいね』
「え…あっはい…」
「おっ！理彩ナイス！」
「本当」
『あっ！その容器はいつでもいいので！』
「分かりました」
「こんな時間に、こんなしょうもねぇ用事に付き合わせて悪かったな理彩」
『大丈夫です
杉下さんがスランプにはちょっとびっくりですけど』
「だろうな
角田が杉下がスランプなの初めて見たって言ってたくらいに珍しいからな」
『なるほど』
「そろそろ帰るか」
「そうだね」
「わざわざすみませんでしたね
皆さん」
「そう思うんなら杉下…早く良くなれよな
捜査まだ終わってないんだぜ？」
「分かりました」
「理彩は俺が家までちゃんと送っていくな
呼び出したのは俺だからな」
「お願いしますね松田君」
「美味しい煮物ありがとね理彩ちゃん」
『いえ！』
みんなが帰っていく。

















松田の車に乗りマンションまで来た。
「今日はありがとな理彩」
『私にできるのはこれくらいだから』
「あとは杉下次第だな」
『また何かあったらメールでいいので教えてくださいね』
「ああ」

翌日、松田から杉下が復活できたというメールが来た。












それから数日後、松田から花の里が再開することになったというメールが来た。
杉下の知人が新しく女将になるらしい。
顔合わせも兼ねてある日、理彩は松田と杉下に誘われ数か月ぶりに花の里を訪れた。
ガラっ
「いらっしゃいませ」
「こんばんは」
「あら？杉下さんと松田さん
いらっしゃいませ」
「どうも」
中に入る松田の後ろからひょっこりと理彩は顔を出した。
「あら？見かけない方ですね？」
「お前、いつまで隠れているつもりだ？」
『…緊張するんです』
「杉下さんたちのお連れ様ですか？」
「僕というよりは松田君の連れの方が正しいですかね」
「そうなんですか
お席にどうぞ」
座る。
「幸子さん、紹介しますね
こちらは松田君の知り合いの毛利理彩さんという高校生なんです
父親が有名な私立探偵をしている毛利小五郎さんで母親は弁護士の妃英理さんなんですよ」
「そうなんですか？」
「ええ
理彩さん、この人は月本幸子さん
僕の知人です」
『初めまして、毛利理彩です』
「月本幸子です
理彩さんは弁護士のお母さんがいるんですよね？」
『はい』
「妃さんなら…もしかしたらお会いしたことがあるかもしれません」
『え？』
「私…実は前科者なんです」
『そうなんですか？』
「ええ
服役中にある事件に遭遇して…その時に詳しく話を聞きたいって言われた時に立ち会ってくださった弁護士の方が確か妃さんという方でした」
『お母さんに聞いてみます』
「そうですか
理彩さんは杉下さんたちとはどういう関係で？」
『松田さんとは私が小学生の頃に出会ったんです
危ないところを助けて貰ってから親しくさせてもらっていて杉下さんとは事件で昨年知り合ったんです』
「そうなんですか！」
「色々あってな…理彩は俺の恋人だ」
「あら？そうなんですか？
あら？でもさっき杉下さんが高校生って言ってませんでした？」
『はい！
まだ高校2年生です』
「年下の恋人ってことですか？」
「ああ」
「内緒にしてあげてくださいね幸子さん」
「秘密の恋ですか!?」
「近いかもな？
限られた人しか知らねぇんだよ」
『知ってるのはお母さんに杉下さんにお父さんの探偵事務所に居候している小学生の子が知ってるだけなんです』
「少ないんですね」
「その方がスリルあるだろ？」
「確かに！」
『私の家族は私が小学生の頃から両親が別居してるんです』
「別居ですか？」
『はい！両親の喧嘩が原因なんですけど…
私はお母さんと暮らしていて、お父さんは私の双子の姉と暮らしていて少し前からさっき言った小学生の子が探偵事務所に居候しています』
「訳ありなんですね」
『お父さんと姉はまだ松田さんと私の交際は知らないんです！
内緒にしてるから』
「そうなんですか？」
『あの…幸子さんは杉下さんの知り合いだと言ってましたけど？』
「さっきも言いましたが…私が前科者って」
『はい』
「事件の時に逃亡しようとした私を止めたのが杉下さんでした」