松田の言う最終手段が何か分からず松田が少し待ってろというのでとりあえずやるべき仕事をする。
今日は帰ることした特命三人が揃って外に出るとそこにはある人物が待っていた。
「あれ？理彩ちゃん？
どうしたの？こんなところで？」
『皆さん、お仕事お疲れ様です』
「どうかされましたか？理彩さん」
「悪いな理彩
こんな時間に急に呼び出したりして」
『大丈夫です！
松田さんからのお願いですから
それで、言われた物を持って来ましたけど？』
「助かる」
『時間がなかったので簡単な物くらいしか用意できませんでしたけど大丈夫ですか？松田さん』
「用意できるもんだけでいいんだよ
急に無理言って悪かったな」
『大丈夫です』
「松田？話が見えないんだけど…
理彩ちゃんに何か頼んだの？」
「言ったろ？最終手段のことを」
「うん！
結局最終手段が何か分からないままだけどさ」
「そうですね」
「ちょっと移動するか」
「まだ焦らすんだ…」

場所を移動して近くの公園にやって来た。
ベンチに座る。
「いい加減教えてくれない？最終手段が何か」
「神戸は杉下の習慣はもう分かっただろ？」
「うん」
「でも肝心な杉下が俺らが何度言っても分からねぇからさ
見たり食べればさすがに分かるだろって思ったからな
理彩にあるものをお願いした訳だ」
「「あるもの？」」
理彩は松田にランチバックを渡した。
「こいつをな」
松田は理彩から受け取ったランチバックから容器を取り出す。
「タッパーですよね？」
「中身は？」
パカッと蓋を開ける。
かぼちゃの煮物が入っていた。
「かぼちゃ!?」
「おや？美味しそうな煮物ですね
理彩さんが作ったんですか？」
『はい
夕飯のおかずに今日は煮物を作ろうと作り始めていたら松田さんから杉下さんに何か和食の用意ができないかって相談のメールが来まして…
タイミングよく、たまきさんレシピノートのかぼちゃの煮物を作り始めたところだったので少し時間がもらえれば1品だけならできますよってメールしたんですよ』
「たまきさんレシピノートって何？」
『あっ！神戸さんは知りませんでしたよね
たまきさんレシピノートとは、数ヵ月前に花の里のたまきさんに会った時に本人からレシピノートを貰ったんです
それを見ながら色々な料理の勉強中なんです』
「あれ？
理彩ちゃんは、たまきさんに会ったことあるの？」
『何度かありますよ』
「そうだったんだ」
「どうだ杉下？
もうさすがに俺らの言ってたのが分かっただろ？」
「いえ…全然…」
「えー!?」
「おい…マジか…何でだよ!!」
『確かに言われてみれば…
いつもの杉下さんとは何かが違う気もします
松田さんがメールで杉下さんがスランプだと言ってましたけど確かにって思います』
「理彩でも違和感を感じるくらいか？」
『何て言えばいいのか分かりませんけど何かが物足りない感じですね』
「なるほどな」
『あの…まだ温かいうちに食べてみて下さい杉下さん！
味は大丈夫だと思います
たまきさんの味かは分かりませんけど…』
「だから大丈夫だって何度も言ってるだろ？
もっと自信持てよ理彩」
『あ、はい』
杉下に割り箸を渡す。
「ではいただきますね」
『どうぞ』
「おや？
なかなか美味しいですね」
『よかった！
松田さんと神戸さんも味見してみます？』
「あぁ」
「貰おうかな」
神戸より先に松田が箸をつけた。
「何故松田に先越された!?」
「気にすんな！
おっ！美味いな」
「うん！美味しい
理彩ちゃん料理上手なんだね
この前もクッキー焼いてくれたしね」
『うちのお母さんは料理作るのが苦手なので私が頑張って料理を覚えたんです
おかげでお菓子作りとか料理作るが得意になりましたけどね』
「へぇー」
「神戸は知らなかったな
理彩の母親の妃さんは壊滅的に料理が下手でさ
前に理彩から写真を見せてもらったが…
食べた人間の顔が青くなるんだぜ」
「え…青くなるの!?」
『私と一緒に料理を特訓しまして今は味噌汁とか卵焼きとかは大丈夫になりましたが私が小学生の時は大変でした』
「だろうね…」
「料理ですか…」
「本当に…ここまで言ってるのにまだ分からねぇのかよ杉下！」
「習慣ですよね…料理…」
『あ…松田さん！
それってもしかして花の里のことですか？』
「ああ！そのまさかだ」
「花の里ですか…
それが何か？」
「杉下はほぼ毎日行ってただろ！」
「そうですね」
「だから特命の部屋で話したじゃないですか！
その習慣が最近変わったので杉下さんの生活に染み込んでいた花の里か、たまきさんのどちらかを喪失したダメージが今になって表面化したんですよ」