2日後。
「では、理彩さん
くれぐれも無理に思い出そうとはしないように！
いいですね？」
『はい』
頷く理彩。
「少しでも記憶が戻った時は連絡して下さい」
「分かりました」
高木の運転の車に小五郎、英理、理彩、コナンが乗る。
その車の後ろから松田の車に松田と杉下、伊丹、芹沢が乗り後を追った。
蘭はすでにマンションに向かっていてスーパーに行って買い物をしたりしている。

「どうだ？お前がずっと暮らしてきてる街だ
見覚えはないか？」
首を横に振る理彩。
ここに来る前に探偵事務所の前を通ったりしてみたが見覚えはないようだった。
マンション近くのスーパーから公園の通りを通った時だった。
窓の外を見ていた理彩はふと首を傾げた。
「理彩姉ちゃん？
どうかしたの？」
『…大丈夫…』
「どうかしたの？コナン君」
「理彩姉ちゃんが窓を見ながら首を傾げたから何か見覚えあるんじゃないかと思って」
「外？
(もしかしたら…あの日の場所がこの周辺だったはずよね？
忘れていても…もしかしたら知っている気がしたのかしら？)
もしかしたら知ってる気がしただけかもしれないわね
このスーパーからの道はほぼ毎日買い物に通っている道だから」
「へぇー」
「晴れたら行ってみましょ？
何か覚えているかもしれないわ」
「そうだな」











「ここがお前が母親と暮らしているマンションだ」
「濡れるわ」
英理が傘をさした。
車から降りようとした時だった。
『…っ…いやっ！』
降りようとした理彩は何かに怯えて震えた。
「どうかしたの理彩？」
「ん？あっ、水溜まりが嫌なんだろう
佐藤刑事が撃たれた時も現場は水が溜まっていたからな」
「そう…」
「高木！もう少し車を前に出してくれ」
「あっはい！分かりました」
まだ理彩は震えていた。
「車をずらしたから大丈夫だろ？」
理彩は恐る恐る車から出る。
「大丈夫そうね」
『ごめんなさい…』
「いいのよ…
気づかなくてごめんなさいね」
ふいふいと横に振る理彩。
中に入って行く。
コナンは後ろからついてきていた松田の車にかけよる。
「どうかしたのか？ガキ」
コナンに気づき助手席の窓を開けた伊丹。
「理彩姉ちゃんが今さっき水溜まりを見てそれに怯えたんだ」
「水溜まり？」
「車から降りようとした時に足元にあった水溜まりに怯えて震えていたんだ
車を少しずらしたら大丈夫だったよ」
「あの日…事件現場には水が床一面にあったからな
そのせいだな」
松田は伊丹そう言った。
「なるほどな…」
「何かあったらまた知らせるね
松田刑事たちいつまでいるの？」
「これから別行動しょうとしてたところだ
伊丹と芹沢は高木の車で張り込みだから何かあったらそっちに知らせろ」
「うん！分かった!!」
コナンはマンションの中に入った。










「ここがあなたの部屋よ」
英理に部屋を案内され中に入ってみる。
『…これ…綺麗！
(何でだろう…これを知っている気がする？)』
理彩は机に置いてあったイルカの置物を手に取る。
言葉には出さなかったが見覚えがある気がした。
「あら本当ね！
水族館の土産物かしらね
でもいつの間に行ったのかしら？
それか貰い物かしら？」
英理はいつのものか分からないと理彩に言った。
「ニャー」
「あらゴロちゃん」
ロシアンブルーの猫が理彩の部屋に入ってきた。
『ゴロちゃん？』
猫が理彩の足元にすり寄ってきた。
理彩は恐る恐るその猫を抱き上げた。
「ニャー」
「その子は飼っている猫よ
名前はゴロ
あなたがよく面倒を見ているのよ」
『私が…？』
「だからすごくなついているでしょ？」
「確かにそうだね」
『ごめんなさい…でも…分からないです…』
理彩は覚えていないので謝る。
「いいのよ
少しすれば思い出せるから」
『はい…』
「そうだ！はい！これ持ってみて」
『え？はい…』
英理から渡されたのは猫じゃらし。
「ゴロちゃんに」
言われてみて猫じゃらしを使ってみる。
「ニャーニャー」
『なんか…可愛いね』
「理彩姉ちゃん、猫じゃらしをもっと動かしてみて！
ゴロが遊びたがってるから」
『こう？』
「そうそう」
ほいほいと動かして猫と戯れてみる。
カシャッ
コナンはそれを携帯のカメラで撮った。
『え？コナン君…？』
「ほら見てみて！
理彩姉ちゃんすごく楽しそうだよ」
コナンは撮影した画像を理彩やみんなに見せた。
「本当ね」
「笑ってるね理彩」
コナンはその画像を松田の携帯へ送信した。