手術室の前にいる目暮を見つけた小五郎たちは駆け寄る。
「警部殿！」
「毛利君たちか…
現在…佐藤君の手術が長引いている…
助かるかどうか怪しいらしい…」
「そんな佐藤刑事がっ…」
「目暮さん、理彩の方は？」
英理は娘の安否が気になって目暮に聞く。
「佐藤君が庇ってくれたおかげか、理彩君は幸い命に関わる状態ではないから安心していい
頬や腕に銃弾が掠めたくらいだが…まだ意識が戻ってはいないがな…」
「そうですか…」
「病室はこの奥です」
「あなた…」
「ああ、ついていてやれ英理」
「ええ」
英理は蘭と園子と共に病室へと向かった。
コナンと小五郎は目暮から話を聞こうとするが目暮と白鳥は黙っていて話そうとはしてくれなかった。
「そんなに隠しておきたいことでもあるのか？目暮も白鳥も」
「「松田君!?」」
松田が杉下と共にやってきた。
「一般人である理彩が今回巻き込まれているんだぜ！」
「これ以上の犠牲を出すおつもりですかあなた方は!!」
「特命係には関係はないことだ」
「確かにな…
だが、そのことで大河内監察官とうちの神戸が密かに動いているとしたら関係なくはねぇよな杉下」
「ええ、それに理彩さんは我々特命係の面々と仲良くしてくれている知人です
犯人を追いたい気持ちは同じなんですよ目暮さん」
「理彩君が特命係の知人…？
そうか、そういえばこの前の爆弾事件でそんなことを言っていたな」
「今…事件のことであまり公にできねぇが、もしかしたらきっかけかもしれないある事件については大河内監察官から話には聞いてはいるぜ」
「松田君、大河内監察官とは親しいのかね？」
「神戸繋がりで少々な
俺はあくまで杉下のおまけだが特命係の仕事上…杉下に依頼がきてそれを受けることがあるからな
暇だから密かに調べてくれとな」
「そうか…なら今回のことは少なからず監察官の耳にも入っているんだな」
「ああ、捜査一課は警察内部に容疑者がいると思ってんだろ？」
「ああ、一部の人間しか知らされてないことがあるのでな」
「そうか…」
バタバタ
「お父さん!!」
蘭が慌ててやってきた。
「蘭？どうした？」
「理彩が目を覚ましたんだけど!!
何か理彩の様子がおかしいの!!」
「何!?」
話を中断し小五郎や目暮や松田たちは病室に向かった。
ガラッ
「理彩姉ちゃん大丈夫!?」
コナンが先に話かけた。
目が覚めた理彩は上体を起こしていて入口の方を見た。
『だあれ？』
だが、理彩の発した言葉にかけつけた皆が驚く。
「この子…自分の名前も…それに…どうやら私たちのこともみんな忘れてしまったみたいなのよ」
英理が理彩の肩に触れ小五郎たちに説明した。
「何だと!!
おい理彩！俺だ！お前の父毛利小五郎だ！
こっちは母親の妃英理に双子の蘭だ
こいつは探偵事務所に居候してるコナンじゃねぇか！」
『ん…分からない…何も思い出せない…』
首をかしげて何を言われても思い出せない理彩。
心療内科の先生を呼び診てもらうことになった。
「(理彩…お前記憶を失ったのか…
少し前まで会話していたことも…事件の精神的ショックのせいで…
そして…あの状況を考えると理彩のトラウマが2つ同時に発動している…
だからこれ以上何も見たくないなどと追い詰められ…記憶喪失に繋がったのか？)」
松田は病室からこっそり出て行き廊下の壁に弱くだが拳を当てる。
杉下も後を追い廊下に出た。
「くそっ、俺はあいつに何もしてやれねぇよ…
記憶がねぇなら俺を覚えているわけがねぇか…
いくら7年の付き合いとはいえな…
記憶のない状態の理彩を混乱させたくねぇ」
「松田君…」
「(松田刑事…理彩を混乱させたくねぇなんて…そこまで考えてくれてんのかよ…)」
コナンも追いかけて来たが隠れて松田の決意を聞いてすごいと思った。
コナンはもし蘭が巻き込まれてしまい記憶喪失になっても同じように考えられるかと想像するが多分無理だろうと思った。
「松田君…今我々にできるのは早く犯人を突き止めることでしょう」
「ああそうだな
杉下…知恵貸してくれ」
「勿論です」
「あの…松田さん」
英理が来て松田を呼ぶ。
「何だ？」
「記憶のないあの子にあなたのことどう説明したらいいかしら？」
「詳しい説明はいらねぇ」
「え？」
「記憶を突然失っている今の混乱している理彩には何も言わなくていいぜ
言えば余計にあいつが混乱するだけだ」
「松田さん…」
「松田君」
「顔見知り程度だと言ってくれればいい
ガキ…お前も聞かれてもそう言えよ」
松田はコナンが隠れて聞いていたのに気付いていた。