ある日、理彩は米花百貨店に買い物に来ていた。
帰ろうとした時のこと。
出入口に人が大勢いたのだが突然一斉にその人たちが店内に引き返して来たのだ。
『え⁉きゃっ』
理彩はその人波に流されあまりの勢いに転けそうになった。
ぐいっ
理彩は誰かに腕を引かれた。
支えてくれたらしく転ばずに済んだ。
『あ、ありがとうございます』
理彩はお礼を言ってその相手を見た。
「…」
立ち去ろうとするその人に理彩は思わず呼び止めた。
『あれ？確か赤井さん…？』
「…」
その人物は何故か顔に火傷のある見知った人だったから。
『あ、でも違うか…
前にそんな火傷してなかったし…
ごめんなさい、人違いだったみたいです
呼び止めてしまってすみませんでした』
理彩は謝る。
男は特に何も言わずに去って行った。
『他人の空似だったのかな？』

「あれ？理彩？」
ぼーっと考え事をしていたら声をかけられた。
『蘭？
お父さん、コナン君、それに沖矢さんまで』
そこにいたのは小五郎と蘭とコナンと沖矢だった。
「何だお前来てたのか？」
『うん、ちょっと買い物に
出入口に向かっていたら突然人波に巻き込まれて…呆然としてたところだよ』
「そうか」
「理彩さんご無沙汰してます」
『沖矢さん、こんにちは
なかなか伺えなくてごめんなさい』
「いえ、私の方もレポートが溜まっていたりと忙しくしていましたので気になさらずに」
『そうなんですか』
「理彩？どういうこと？」
『有希子さんから家に居候している沖矢さんに料理を教えてあげて欲しいって頼まれてたんだけどなかなか行けてなくて』
「料理？」
「有希ちゃんから頼まれたのか？」
『ほら、前にお母さんと有希子さんが協力してお父さんのために事件解決したことがあったでしょ？』
「あ！あの時の」
『翌日にお母さんと有希子さんに私は連れまわされたんだけど…
その日の食事はお母さんが"あれ"だから私が料理を作って有希子さんに振る舞ったの
私の料理美味しかったし料理教えてあげて欲しい人がいるのってお願いされたの』
「なるほどな」
『あ、ねぇコナン君
ちょっといいかな？』
突然理彩はコナンに話しかけた。
「どうしたの？理彩姉ちゃん」
『さっき人波に巻き込まれた時に助けてくれた人がいたんだけど…
前に杯戸中央病院で会った赤井さんって人に瓜二つだったの
赤井さんって双子だったりするのかな？』
「え？それはないと思うけど？」
『そう…じゃあ気のせいだったのかな？』
「気のせい？」
『他人の空似なのかな？
顔に火傷の痕があったから色々考えちゃったよ
前に会った時には火傷なかったし』
「火傷の痕が…
他には何か気になることとかあった⁉」
『ないかな』
「そうなんだ」
『ごめんね
変なこと聞いちゃって』
「大丈夫だよ理彩姉ちゃん」
この時コナンが何やら難しい顔をしていたのには理彩は気づかなかった。













「それで、どうだったの？バーボン
変装の効果の方は？
ジンたちが貴方の変装とは知らずに赤井に似た男を狙ってたっていうのに何も収穫なしとか言わないでしょうね？」
とある一室で男女が話をしている。
「FBIの捜査官たちに接触してみましたが誰もがまるで幽霊でも見たかのように驚いていましたよベルモット」
「そう…」
「ただ…少々気になることが」
「何よ？」
「貴女のお気に入りである女神と呼んでいる彼女ですが…どうやら亡くなった赤井とは面識があるようです」
「え？」
「彼女に呼び止められたんですよ
赤井さん？ってね
まぁ、口振りからして赤井が亡くなっていることは知らないようでしたが」
「彼女と赤井に接点がってこと？」
「えぇ」
「…」
「どうされます？
なんなら僕がお調べしましょうか？」
「気になるけど…タダでなんて言わないでしょ貴方
私、貴方にこれ以上借りを作りたくないんだけど」
「では、勝手に僕が調べますよ
貴女と同じく彼女は僕のお気に入りの子なのでね
分かり次第お教えします」
「…分かったわ
任せる」
「はい」















ブブー
「(メール？)」
宛名は安室。
【今夜少し時間あるか？
読んだらこのメールは消してくれ】という文章だった。
【大丈夫だ】と返信した。












その日の夜。
カラン
「いらっしゃいませ」
店内に入る。
「待たせてすまない」
「いや、トリプルフェイス様と違って俺は暇人だから気にすんな」
「うるさい」
席につく。
「今日はどうしたよ？
呼び出して」
「ちょっとお前に聞きたいことがあってな」
「俺に聞きたいこと？」
「お前、理彩さんの交友関係って把握してたりするか？」
「はぁ？
何で突然理彩が出てくんだよ？」
「いいから
どうなんだ？」
「ある程度なら知ってるぜ」
「そうか」