その後、事件は動いた。
高木を拉致した人物を特定した。
佐藤など捜査一課の刑事がその人物のマンションに突入。
「さぁ、話してもらうわよ！
高木君の居場所を！」
「もしかして君かね？」
「え？」
「高木ワタル刑事の恋人の先輩刑事さんとは？
なるほど、確かになかなかのべっぴんさんだ
だからと言ってナタリーを捨てた理由にはならん」
ぐいっ
「うおっ」
佐藤が犯人に掴みかかる。
「いい！よく聞きなさい！
あんたが拉致したのは高木渉!!
ナタリーの恋人は伊達航!!
しかも彼女は捨てられてなんていないわよ!!」
「な!?
だが彼女の送信メールに"ワタルはもう来ない"って…」
「当たり前でしょ!!
その日彼は車にひかれて事故で亡くなったんだから!!」
「そんな…バカな…」
「だから、ほら早く高木君の居場所」
「んぐっ！」
犯人が突然苦しみだした。
「はっ…まさか…」
犯人が持っていたグラスを見る。
「まさか…毒を!?
救急車を早く!!」
「あっはい！」
「しっかりして！」
「んがっ！彼…は…」
「どこ？どこにいるの!?
早く言って!!」
犯人は喋ろうとするも声にならない。
がくっ
そして…犯人は高木の居場所を佐藤に告げることができずに息を引き取った…。






高木の居場所を必死に考える。
何かヒントがないかと中継されている映像を録画しているので改めて見直すことにした。
「おや…なかなか苦労しているようですね」
気になった杉下と松田が捜査一課にやって来た。
「げっ…警部殿とグラサン!!」
目暮たちと同じく捜査していた伊丹がそれに反応する。
「容疑者死亡と聞きましてね
どうなったか気になりましたので」
「それでもあんたらは無関係でしょうが!!」
「まぁまぁ伊丹先輩落ち着いて…」
「まぁ…それを言われるとな」
「おや？コナン君？
何を見ているのですか？」
杉下はコナンが映像を見ているのに気づいた。
「あっ杉下警部
高木刑事の映像にカラスがいたんだけど…」
「カラス？ですか？」
「どこかで見たことある気がするんだけど…出てこなくて…」
「見せて頂けますか？」
「うん」
杉下は映像を見る。
「おや？
確かこれはニシコクマルガラスですね」
「ニシコクマルガラス？
何だよそれ？」
「主にヨーロッパの方にいるカラスですよ松田君」
「へぇー」
「あ！それだ！
確か2回ほどニシコクマルガラスは日本に迷いこんで来たことがあったらしいよ
確か場所は…北海道!!」
「北海道!?」
「ねぇ？あれは何？」
「どうかしたか？」
タブレット端末を見ていた佐藤が何かに気づく。
「高木君の横の方にさっきから何か光の柱のようなものが」
「何!?」
端末の前に集まる。
「サンピラー現象ですね」
「サンピラー現象？」
「日の出や日没後に太陽の光が空気中のダイヤモンドダストに反射して柱状に光る現象です」
「それ聞いたことあるな
ってことは…ダイヤモンドダストの条件から考えると最低気温がマイナス20℃くらいになる北海道ならあり得る現象だな」
「じゃあやっぱり高木君がいるのは!?」
「北海道か!!」
北海道に場所を絞る。
松本管理官の指示で目暮と佐藤は急ぎ北海道に向かった。
数時間後、高木を無事に発見できた。












翌日。
『じゃあ高木刑事、無事に見つかったんですね！
よかった』
「あぁそうだな」
解決したので事件の説明を理彩にする松田。
「まぁ高木は凍傷などで１ヶ月は入院らしいけどな」
『とんだ災難でしたね高木刑事』
「それはどうだかな」
『え？』
「交通課の宮本に聞いた話によると、佐藤が休暇まで使って高木の看病してるらしいぜ？」
『じゃあ高木刑事は災難だったことよりも佐藤刑事と二人でいれるからむしろラッキーな感じですか？』
「かもな」
『じゃあ、数日遅れてしまいましたけど伊達さんに色々報告しときますか？』
「そうだな」
今日、理彩は松田と共に伊達のお墓参りに来ていた。
『あれ？』
お墓に到着した理彩はそこに爪楊枝が一本だけ置かれているのに気づく。
爪楊枝は伊達のトレードマークのようなものだった。
「(爪楊枝…まさかあいつ、先に墓参りに来てたのか？)」
松田はそれを誰が置いたのか分かった。
『どうして爪楊枝が？』
「俺たち以外に誰か班長の知り合いがここに来たんだろうぜ」
『みたいですね』
【お前、どこで何をやってんだ？
たまには連絡しろよな！】
そのメールの文面を削除する。
《安らかに眠れ…友よ》
近くのお墓に隠れ理彩と松田からは見えない位置に男がいたとは二人は知らない。