『でも、やっぱりあぁいうお店での飲食って毎日だと高くなりますよね？』
「そうだろうな」
『あぁ…それならお父さんのあぁいうお店での飲み代やお酒代に生活費がって蘭が頭を抱える訳だ
杉下さんさすがです』
「杉下の場合は給料は主に紅茶かあそこに使っているだけみたいなもんだしな
まぁ杉下はお店に貢献してんだからいいんじゃねぇか？」
『確かに』
「あの…」
「どうかしたか？安室」
安室が話に割り込む。
「つかぬことをお聞きしますけど…」
「何だよ？」
「松田さんが話してるお店…お酒に関係するんですか？
理彩さんの毛利先生の飲み代が何とかって聞こえたんですが？」
「まぁ小料理屋だしな」
「は？」
「俺の上司の行きつけのな」
「え…？じゃあ何ですか!?
理彩さんを誘ってやるからみたいな先ほどの会話!!」
「昼間にたまにだけど理彩限定の料理教室がそこで開かれるからな」
「はい？料理教室？」
「俺はその日時の連絡係をしているからな」
「え？」
『お父さんたちはこのことは一切知らなくてお母さんしか知らないことなんです
だからお父さんたちには内緒にして下さい安室さん！
実はそこの女将さんのご好意で私は料理を教えてもらっているんですよ』
「え？」
『陣平さんの上司の杉下さんが紹介してくれたんです
和食だけは上手く作れないのが私の悩みだったのでそれを相談したら親切に杉下さんが女将さんを紹介してくれたんですよ
料理教室の後は作った料理を食べつつ杉下さんがそのお店で食事をご馳走してくれるんです』
「俺も時々料理教室に混ざってるんだぜ
(俺は味見担当だけどな)」
「え？まぁツッコミたいところはいくつかありますが…は？陣平さん!?」
安室は杉下という人物や料理教室のことよりも理彩が松田の下の名前で呼んだことの方にどうやら驚いたようだ。
「何を驚いてんだ？俺の名前だろ
前に名刺やったろ？
見れば分かるじゃねぇか」
「えぇまぁ確かに…」
「っていうか安室
理彩がさっきも名前で俺を呼んだの忘れてねぇか？
別に今初めて呼んだ訳じゃねぇぞ？
反応するなら遅くねぇ？」
「そうでしたか？」
『はい！確かにさっき呼びましたね』
「な！初めてじゃねぇだろ」
「…そうでしたか…でも名前で呼ぶほどお二人は親しいんですか？」
「まぁ理彩が小学生の時から知ってるしな」
『はい』
「え？」
「この前言ったろ？
この上の住人より妃さんとの方が俺は親しいってな」
「確かに言ってましたが…まさかそんな時からの知り合いとは思わず…」
「誘拐監禁されていたのを同期の奴らと助けたり、
暴走車にひき逃げされそうになった小学生の理彩を寸前で親友と一緒に助けたこともあってな
その時に妃さんと会ってるしな」
「ひき逃げですか!?
(松田の親友といえば萩か？
ん？誘拐監禁？同期で助けた？)」
『ひき逃げ未遂から助けてくれた時の陣平さんスタントマン並みにかっこよかったんですよ』
「あの時の萩と同じことを言うなよ理彩」
『だって事実です！』
「分かった分かった
まぁそれからは理彩とはメル友でな
メールで悩み相談を聞いてやっている
まぁたまに俺の愚痴も聞いてくれてるけどな
あとはさっきも言ったが家庭教師紛いなこともしてるんだ
あとは毛利探偵の遺伝のせいか…事件に遭遇しやすい性質な理彩は何か事件があると俺に知らせて来るようになってな」
『だって…そういう時に頼れる人が陣平さん以外他に思い当たらなくて…』
「いいんだぜ！どんどん頼れな！
おかげで暇な特命係に仕事ができるからな」
『はい』
「(いいのかそれで…お前刑事だろ！
まぁ窓際部署じゃ仕方ないのか…
なるほどこの前言っていた何かあれば報告が来るとかいうのは理彩さんのことだったのか!!)」
安室は納得した。
「事件現場とかでは理彩は俺のことは松田さんって呼ぶけどプライベートな時は名前で呼んでんだぜ」
『さすがに仕事に来てるのに名前で呼んじゃいけない気がして使い分けることにしたんです』
「なるほど…そういうことですか」
名前を呼んで聞かれてもいつでも使い分ける理由を言えるように実は二人で決めてあった。
『そういえば陣平さん！
さっき言ってたいつも頼むサンドイッチってこれなんですよね？』
「あぁ」
理彩はテーブルに置かれたサンドイッチを見た。
『懐かしいって言ってましたよね？』
「あぁ、約束してたな
1つ食べていいぜ」
『ありがとうございます』
一口食べてみる。
『あ…美味しい！』
「ありがとうございます」
安室は礼を言った。
『うーん…何の味かな？
安室さん！これって何か隠し味みたいな物あるんですか？』
「分かりました？
食べていると分かると思いますよ？」
『うーん…何だろ？』
また一口食べてみる。
「隠し味あんのかよ!?
今まで食べてて気づかなかったぜ？
(ヒロの奴も隠し味がとか以前言ってたな)」
「そうですか？
少しある物を混ぜているんですよ」