「稀にあるんですよ
２つに分かれる前の受精卵の染色体がXY(男)の場合、多胚化する際に一方のY染色体が欠落しXY(男)とXO(女)に分かれ異性一卵性双生児として誕生する場合がね」
「俺と初音が…双子…」
「彼女の身長分かりますか？」
「え？確か140後半だったっけな？
背が低いのが悩みだって言ってたからな」
「だとしたらその可能性は高いですね…
異性一卵性双生児の女性の方はターナー症候群で低身長になりやすいですから」
「何で初音の付け爪に初音自身の皮膚が付いてんだよ」
「分からねぇか伴場…
初音さんはこの若い探偵が調べたことを聞かされた後で彼女が言っていたらしい…
後は自分で調べるって彼女が言ってたんならその調べる内容は…」
「自分たちが双子かどうか被害者はどこかにDNA鑑定を依頼していたかもな毛利探偵」
「あぁ、そうだろう
恐らく彼女はネイルサロンからここへ戻り車を降りた時に鑑定の結果の電話を受けた…
結婚が許されないと分かり彼女は…自殺を選んだ」
「そんな…」
「付け爪に彼女の皮膚が付いていたのはその結果に愕然とし…付け爪が剥がれるほど顔をかきむしり…泣きじゃくったため…
松田刑事、あの結果…ここで伴場に伝えてやってもいいか？」
「ここまで話しておいて婚約者のこいつに黙ってるわけにはいかねぇだろ」
「あぁ…そのようだな…」
「どういう意味だ？毛利？」
「松田刑事…話してやってくれ」
「分かった
ブラシのDNAと俺が見つけた被害者の付け爪のDNAを鑑識で詳しく調べてもらった
見事に性別以外が同じDNAだったって鑑識から報告があったぜ」
「え…」
「『…そんなっ』」
「じゃあ初音さんは自殺を…」
「そうとしか考えられんだろ高木君…
その業者も間が悪い時に連絡したものだ…」
「多分二人が明日結婚すると聞かされていたから急いで報告したんじゃないでしょうか？
取り返しがつかなくなる前に…」
「初音…初音…初音ェ〜!!」
頼太の絶叫が響く。
残酷な結果に皆が悲しむ。


ヴーヴーヴー
「ん？杉下からか
もしもし？」
《「どうですか？事件は？」》
「今、解決した」
《「おや、そうですか…」》
「お前はまだ店か？」
《「えぇそうです」》
「神戸もか？」
《「もちろん」》
神戸の声もする。
「そんで？用件は？」
《「送っていっていただけないかと思いまして…」》
「はぁ!?杉下!!俺はてめぇのタクシーじゃねぇんだぞ💢」
《「そう言わずお願いします」》
「ちょっとそこにいる女将に代われ杉下」
《「幸子さん、松田君からです」》
《「はい、あの松田さん？
幸子ですけど？」》
「そこの酔っぱらいたちにタクシー呼んでやってくれ
金は後日俺があんたにタクシー代を払うからそいつらを早く帰らせてやれ」
《「そうですか？分かりました」》
「頼むな」
《「あっ、理彩さんに今度いつ来れそうか予定をメールしてくれるように伝えて下さいね」》
「分かった」
電話を終えた。
「杉下💢明日行ったら仕事を押し付けてやるから覚悟しとけよ！」
「何か松田刑事が怖いね？」
「うん…」
『杉下さん…何を言って松田さんを怒らせたんだろ？』
「「さぁ？」」
「さて帰るか…」
松田の声に理彩たちも帰ることにする。
「(こいつのことはどうするか…)」
松田はふと安室を見る。
安室も松田を見ていたため視線がぶつかる。
「(詳しくは聞かねぇ…だが連絡よこせ！)」
「(何のことです？)」
「(まっ、いいか…)」
口パクで会話していたが松田が向きを変え店から出て行った。





「(杉下？という名前…調べてみる必要がありそうだな…)」









【松田陣平
警視庁組織犯罪対策部特命係所属
階級、巡査部長
警視庁警備部機動隊爆発物処理班所属以降、課を転々としている異色の経歴のため多くの知識と資格を得ている】
「(ん？シークレット？)」

【特記…シークレット事項
特命係上司の杉下警部は危険人物ゆえに監視対象だが松田陣平は監視対象外と小野田官房長官より認定あり】

「(警視庁特命係…そんな窓際部署に何故あいつが…
上司の杉下警部は監視対象？
官房長官まで動くほどなのか？特命係とは)」
特命係のページを探す。



【特命係】
杉下右京…警部
神戸尊…警部補【※警察庁より特別処置、前職は警察庁警備局警備企画課課長補佐】
松田陣平…巡査部長


「（警察庁より？神戸？
知り合いだが…
警察庁警備企画課の人間が何故？）」
とある情報を見た安室は考え込むのであった。