荒船と出水の師匠シリーズ
企画もの
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
風間隊と隠密行動訓練
「トリガー、起動」
風間隊の作戦室へとやってきて、握りしめたトリガーで懐かしの風間隊の隊服へと換装した。
「準備は出来たな」
「はい」
同じ隊服を身に纏う蒼也さんの言葉に頷く。私の両隣に居る菊地原くんと歌川くんも頷いた。
今日ここに来たのは、菊地原くんから風間隊特有の隠密行動訓練に誘われたからだ。せっかくのお誘いだったので、今日はがっつり訓練に付きあわせてもらう事になっている。
「三上、聴覚情報をリンクさせろ」
「了解です」
オペレーターの席に座る歌歩ちゃんが頷いてパソコンを操作すると、菊地原くんの耳とリンクして、機械の駆動音や、エアコンから吐き出される空気の音の音量が増す。
「いつも通り本部3周だ。気付かれないように注意して行動しろ」
「「「了解」」」
蒼也さんの声に頷いて、4人静かに風間隊の隊室から滑り出た。
◆
『なんで廊下に広がって歩くかなあ』
『他に人がいない時は良いんじゃない?』
『でも、通りにくいですね』
秘匿通信に乗せられた菊地原くんと歌川くんの声が響く。
もうすぐでラウンジ、という通路の先にはこちらに向かってくる3人のC級がいた。さして狭くも無い廊下を横並びで歩いてくる。
「でさ、あの時のA級の人がすごくって」
「太刀川さんだろ?バンダーぶった斬ってた」
「そうそう、すっげえよなあ」
身振り手振りを入れて、わいわい盛り上がっている3人の横を滑り抜けるにはタイミングを見計らないといけない。後ろから人が来ていないのを確認しながら、良いタイミングを待つ。
『先に行くぞ、順に続いて来い』
『了解』
蒼也さんが発した声に返事をして、一歩先を行く蒼也さんが3人の間をすり抜けた。見えていなくても、足音を殺していても菊地原くんの聴力があればどこにいるか手に取るようにわかるからぶつかる心配もない。
『蒼さんどうぞ』
『うん』
蒼也さんが通り過ぎたのを確認して、C級たちに近づく。右側の2人が手元の媒体を見ようと近づいたので、少しだけ空いたスペースをすり抜けた。
『ほら、歌川行って』
『ああ』
後ろからは歌川くんに続いて、菊地原くんもC級たちに気付かれないようにすり抜けてくる。少しその場で待機して、違和感を持たれなかったかを確認してから先へ進んだ。
◆
そこそこ人が集まっているラウンジへ入ると、喧噪の中から米屋くんの声が聞こえてきた。たぶん、少し向こうの生垣に挟まれたテーブルだ。
「なー、今日蒼さん見てねえんだけど知らねえ?模擬戦してえんだけど」
「今日の午後は外せない用事があるって言ってたな。多分それだろ」
「マジかあ」
声からしてつまらなそうな米屋くんに、出水くんが笑うのが聞こえる。ひょいひょいやってくる人を避けながら進んで行けば、その姿も見えてきた。
『外せない用事か』
『外せないですよ、せっかくのお誘いでしたもの』
蒼也さんの声に頷けば、私の後ろに来た菊地原くんが言う。
『そうですよ、せっかくぼくが誘ったんですから来てもらわないと困ります』
『そんなこと言って、蒼さんが来るのお前が1番楽しみにしてたろう』
『は?歌川だって楽しみにしてたろ』
歌川くんと菊地原くんの可愛いやりとりに思わず苦笑する。すると息遣いでわかったらしい菊地原くんがぐいぐい絡んできた。
『ちょっと蒼さん、なに笑ってるんですか。笑ってる暇があったら足音もっと注意して下さい』
『ん、ごめん』
気を付けます、と呟いて蒼也さんの後を追う。人波をすいすいすり抜けた先、いつも私が座っている奥まったソファに人影が見えたのに気付いた。あの白いパンツは、
『しまった…』
『どうしました?』
思わず零してしまった声に、歌川くんが聞いてくる。今更視線をそらしてしまっても意味がない、あそこにいるのは影浦くんだ。
『影浦くん直視しちゃった…』
『ああ、あそこにいるの影浦か』
『蒼さん待ってるんですかね』
『絶対そうでしょ』
『すみません、少しだけ行ってきます』
『ああ』
待ちぼうけさせちゃいかんと蒼也さんたちに断りを入れて、ソファに座っている影浦くんの方へ歩いていく。私の視線に気付いている影浦くんは、ちらりとこっちを見て私が見えないことに首を傾げた。
「蒼サン?」
「や、影浦くん」
トーンダウンさせた声で影浦くんに話しかけながら、前の席にすとんと座り込んだ。透明なのがわかってか、影浦くんは「あー」と納得したような声を上げた。
「ごめん、今ちょっと訓練中で…終わるまで大分時間が掛かるんだ」
「だろうな、すげえ視線が刺さってる。どうせ菊地原だろ」
そう言った影浦くんが、うっとうしそうな視線を蒼也さんたちのほうへと向けた。そちらの方からはたんたんたん、と菊地原くんの明らかに不機嫌を伝える、足を鳴らす音が聞こえてくる。
「出直す。暇が出来たら連絡くれ」
「わかった、ごめんね」
「ああ」
ひょいと立ち上がった影浦くんの後ろに続いて、蒼也さん達の元へ戻る。
『すみません、お待たせしました』
『構わない』
『もう、ほんと待ちましたよ』
『菊地原、頼むから八つ当たりで俺の足を踏むな』
ぶうぶう文句を言ってくる菊地原くんにごめんと笑う。その間にも歩いてくる隊員達を避け、ラウンジの出口へと向かう。
『次はランク戦ブースの方だな』
『休日だからいっぱい人がいそうですね』
『蒼さん、油断してぶつからないでくださいよ』
『気を付けるよ』
言い合いながらそうっとラウンジを抜けて、ランク戦ブースの方へと進んでいく。
練習は始まったばかりなのだ、今日は頑張ろうと心に決めて頼もしい背中をする風間隊の後を追った。
10万hit御礼企画!
風間隊と隠密行動訓練
(お疲れ様でした)
(いやー楽しかった…)
(次も来るか?)
(やる時はぼくが呼びますよ)
10万hit企画、美羽さんリクエストでした!
ありがとうございました!
「トリガー、起動」
風間隊の作戦室へとやってきて、握りしめたトリガーで懐かしの風間隊の隊服へと換装した。
「準備は出来たな」
「はい」
同じ隊服を身に纏う蒼也さんの言葉に頷く。私の両隣に居る菊地原くんと歌川くんも頷いた。
今日ここに来たのは、菊地原くんから風間隊特有の隠密行動訓練に誘われたからだ。せっかくのお誘いだったので、今日はがっつり訓練に付きあわせてもらう事になっている。
「三上、聴覚情報をリンクさせろ」
「了解です」
オペレーターの席に座る歌歩ちゃんが頷いてパソコンを操作すると、菊地原くんの耳とリンクして、機械の駆動音や、エアコンから吐き出される空気の音の音量が増す。
「いつも通り本部3周だ。気付かれないように注意して行動しろ」
「「「了解」」」
蒼也さんの声に頷いて、4人静かに風間隊の隊室から滑り出た。
◆
『なんで廊下に広がって歩くかなあ』
『他に人がいない時は良いんじゃない?』
『でも、通りにくいですね』
秘匿通信に乗せられた菊地原くんと歌川くんの声が響く。
もうすぐでラウンジ、という通路の先にはこちらに向かってくる3人のC級がいた。さして狭くも無い廊下を横並びで歩いてくる。
「でさ、あの時のA級の人がすごくって」
「太刀川さんだろ?バンダーぶった斬ってた」
「そうそう、すっげえよなあ」
身振り手振りを入れて、わいわい盛り上がっている3人の横を滑り抜けるにはタイミングを見計らないといけない。後ろから人が来ていないのを確認しながら、良いタイミングを待つ。
『先に行くぞ、順に続いて来い』
『了解』
蒼也さんが発した声に返事をして、一歩先を行く蒼也さんが3人の間をすり抜けた。見えていなくても、足音を殺していても菊地原くんの聴力があればどこにいるか手に取るようにわかるからぶつかる心配もない。
『蒼さんどうぞ』
『うん』
蒼也さんが通り過ぎたのを確認して、C級たちに近づく。右側の2人が手元の媒体を見ようと近づいたので、少しだけ空いたスペースをすり抜けた。
『ほら、歌川行って』
『ああ』
後ろからは歌川くんに続いて、菊地原くんもC級たちに気付かれないようにすり抜けてくる。少しその場で待機して、違和感を持たれなかったかを確認してから先へ進んだ。
◆
そこそこ人が集まっているラウンジへ入ると、喧噪の中から米屋くんの声が聞こえてきた。たぶん、少し向こうの生垣に挟まれたテーブルだ。
「なー、今日蒼さん見てねえんだけど知らねえ?模擬戦してえんだけど」
「今日の午後は外せない用事があるって言ってたな。多分それだろ」
「マジかあ」
声からしてつまらなそうな米屋くんに、出水くんが笑うのが聞こえる。ひょいひょいやってくる人を避けながら進んで行けば、その姿も見えてきた。
『外せない用事か』
『外せないですよ、せっかくのお誘いでしたもの』
蒼也さんの声に頷けば、私の後ろに来た菊地原くんが言う。
『そうですよ、せっかくぼくが誘ったんですから来てもらわないと困ります』
『そんなこと言って、蒼さんが来るのお前が1番楽しみにしてたろう』
『は?歌川だって楽しみにしてたろ』
歌川くんと菊地原くんの可愛いやりとりに思わず苦笑する。すると息遣いでわかったらしい菊地原くんがぐいぐい絡んできた。
『ちょっと蒼さん、なに笑ってるんですか。笑ってる暇があったら足音もっと注意して下さい』
『ん、ごめん』
気を付けます、と呟いて蒼也さんの後を追う。人波をすいすいすり抜けた先、いつも私が座っている奥まったソファに人影が見えたのに気付いた。あの白いパンツは、
『しまった…』
『どうしました?』
思わず零してしまった声に、歌川くんが聞いてくる。今更視線をそらしてしまっても意味がない、あそこにいるのは影浦くんだ。
『影浦くん直視しちゃった…』
『ああ、あそこにいるの影浦か』
『蒼さん待ってるんですかね』
『絶対そうでしょ』
『すみません、少しだけ行ってきます』
『ああ』
待ちぼうけさせちゃいかんと蒼也さんたちに断りを入れて、ソファに座っている影浦くんの方へ歩いていく。私の視線に気付いている影浦くんは、ちらりとこっちを見て私が見えないことに首を傾げた。
「蒼サン?」
「や、影浦くん」
トーンダウンさせた声で影浦くんに話しかけながら、前の席にすとんと座り込んだ。透明なのがわかってか、影浦くんは「あー」と納得したような声を上げた。
「ごめん、今ちょっと訓練中で…終わるまで大分時間が掛かるんだ」
「だろうな、すげえ視線が刺さってる。どうせ菊地原だろ」
そう言った影浦くんが、うっとうしそうな視線を蒼也さんたちのほうへと向けた。そちらの方からはたんたんたん、と菊地原くんの明らかに不機嫌を伝える、足を鳴らす音が聞こえてくる。
「出直す。暇が出来たら連絡くれ」
「わかった、ごめんね」
「ああ」
ひょいと立ち上がった影浦くんの後ろに続いて、蒼也さん達の元へ戻る。
『すみません、お待たせしました』
『構わない』
『もう、ほんと待ちましたよ』
『菊地原、頼むから八つ当たりで俺の足を踏むな』
ぶうぶう文句を言ってくる菊地原くんにごめんと笑う。その間にも歩いてくる隊員達を避け、ラウンジの出口へと向かう。
『次はランク戦ブースの方だな』
『休日だからいっぱい人がいそうですね』
『蒼さん、油断してぶつからないでくださいよ』
『気を付けるよ』
言い合いながらそうっとラウンジを抜けて、ランク戦ブースの方へと進んでいく。
練習は始まったばかりなのだ、今日は頑張ろうと心に決めて頼もしい背中をする風間隊の後を追った。
10万hit御礼企画!
風間隊と隠密行動訓練
(お疲れ様でした)
(いやー楽しかった…)
(次も来るか?)
(やる時はぼくが呼びますよ)
10万hit企画、美羽さんリクエストでした!
ありがとうございました!