荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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三雲くんに稽古をつける
夕方、本部のラウンジでまったりしていたら中々レアなお客さんがやってきた。
「あの、七草さん…」
「ん?あれ、三雲くん」
やりかけの課題から目を上げれば、生垣のところからこっそりと三雲くんがこちらを窺っていた。三雲くんはこの前玉狛に移籍してしまったから、ここにいるのは珍しい。
「久しぶり、どうしたの?」
「あの、少し相談と言うか、七草さんにお願いがあるんですが…今大丈夫でしょうか」
「大丈夫だよー、座って座って」
「!ありがとうございます」
前の席を勧めれば、三雲くんはほっと安心したように息を吐いて席に座り込んだ。着てるのは制服だから、学校終わってそのまま来たみたいだ。
「お願いってなにかな。私に出来る事?」
「はい、あの…七草さん、ぼくに戦い方を教えて頂けませんか」
そう言って、三雲くんはお願いしますと頭を下げた。
◆
どさっという音と共に派手に土埃を立てて、身体が腰の所で半分になった三雲くんが地面に倒れ込む。
「ま、まけました…」
「お疲れさま。大体どんな感じなのかはわかったよ」
キュン、と身体が直っていく三雲くんを見つつ、持っていた弧月をひゅるりと回して鞘に仕舞い込んだ。
「これはやりがいがありそうだ」
「う…すみません、よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げた三雲くんに、「任せて」と笑って座り込んだままの彼の手を掴んで引き上げた。
「流石にレイガストだけだときついでしょ、私の動き見えた?」
「見えても身体が追いつかなくて…」
「だよね、それだとあっという間にやられちゃうよ。三雲くん、今トリガー何入れてる?色々組み合わせて考えたほうがいいと思うな」
「あ、まだこれだけなんです…」
「レイガストのみか」
それはきついな、と腕を組む。レイガストで強い人もいるけど、それはレイジさんとか村上くんとかのごく少数だ。機動力が低いからメインは反撃になるだろうけど反撃は反撃でセンスがいるだろうし、相手が中・遠距離だったら一方的にやられちゃいそうだ。
「んー、じゃあ…何かトリガーいれてみようか」
「他のですか?」
「そ。三雲くんまだ弱いから補助的に…」
何が良いかな、と三雲くんを見ながら考える。あんまり機動力も無く、トリオン量も低い、となると。重たい孤月や機動力重視のスコーピオンは無しだな。となると。
「射撃トリガー入れてみる?」
「というと、アステロイドとかですか?」
「そそ。見てて」
良いタイミングだったことに、今日は鬼怒田さんに頼まれごとがあったので拳銃タイプのアステロイドをセットしてきている。キュンと左手に拳銃を出現させて、ついでに追加で出した人型の的に狙いを定めた。
「銃は扱いやすいし、訓練すれば上手くなるよ。このタイプは連射はしにくいけど、銃手寄りの連射しやすい銃にもカスタム効くし」
ドン、と発射された弾は顔の部分に穴を開ける。
「でも、腕を落とされたら何にも出来なくなっちゃうのが難点かな」
「引き金を引けないからですね」
「そう」
でもね、と今度は射手用のアステロイドを右手に出現させて、出てきたトリオンキューブを三雲くんに見せる。的も追加で10体ほど。
「射手なら、たとえ両腕を落とされても攻撃出来るし、なにより設定いじれるのがいいの」
「設定ですか?」
「弾速、コース、威力なんかだね。こんな感じ」
キン、とトリオンキューブを12個に分割、最初の3個は威力低めで弾速早め、次の3個は平均的に、最後の3個は遅めで威力高めに設定して的に向かってばらけさせる。
一瞬ふわりと浮いたキューブは、それぞれ設定した的の方向へと同時に飛んでいった。どががん、とアステロイドが当たって的が壊れる。
「うわ…」
「時間差で攻撃したり、置き玉も出来るよ。銃より攻撃の幅が広いから、上手に飛ばせるならこっちがオススメ」
今度も12個に割ったキューブを、2秒おきに飛ばしてみせれば三雲くんの顔がきらきらしてきた。これは、射手仲間が増えるかなととっておきの一言も添えておく。
「なんと今なら私の指導付きです」
「七草さん、僕に教えてもらえますか」
「もちろん!」
じゃあ早速入れてこよう!と訓練室を出て、三雲くんを急かしながらチップをセットしに向かった。
◆
「おー、三雲くん上手だね」
「本当ですか」
とりあえず両方対応できるように拳銃型トリガーもいれてきたけれど、射手用のアステロイドの飛ばし方が安定している。これに当ててみて、と順番に出した的にも、手間取りながらもちゃんと当てることが出来ていた。
「これなら射手で出来そうだ」
「良かったです」
銃型だと銃口の向きで大体の攻撃方向がわかっちゃうけど、小細工がきく射手なら意識をちょっとでも裂いておける。近づきにくくもなるし、やれることは多いだろう。
「他にもバイパーとかハウンドがあるけど、慣れるまでは高火力のアステロイドがおすすめです」
「わかりました」
レイガストを持ったままのアステロイドも1時間くらい練習させたし、そろそろ本格的に実践すればいいだろうと三雲くんに向き直る。
「次はモールモッドを相手にしてもらおうかな」
「、がんばります」
初めての訓練は時間切れだったけど、今なら三雲くんでも倒せるだろう。緊張が混じった顔で頷く三雲くんに笑って、モールモッドの召喚ボタンを押す。
「最初は1体だけど、慣れたら2体づつにするよ」
「え」
「さ、みっちり練習しよう。私が見るんだもん、ちゃんと強くするからね」
とりあえずは5体出しておくか、と召喚されたモールモッドががしゃがしゃと足を鳴らして迫ってくれば、三雲くんはひくりと顔を引きつらせた。
三雲くんに稽古をつける
蒼さんの特別授業
(お疲れさま~)
(ぜえ、はあ、あ、ありがとうございました、)
.
夕方、本部のラウンジでまったりしていたら中々レアなお客さんがやってきた。
「あの、七草さん…」
「ん?あれ、三雲くん」
やりかけの課題から目を上げれば、生垣のところからこっそりと三雲くんがこちらを窺っていた。三雲くんはこの前玉狛に移籍してしまったから、ここにいるのは珍しい。
「久しぶり、どうしたの?」
「あの、少し相談と言うか、七草さんにお願いがあるんですが…今大丈夫でしょうか」
「大丈夫だよー、座って座って」
「!ありがとうございます」
前の席を勧めれば、三雲くんはほっと安心したように息を吐いて席に座り込んだ。着てるのは制服だから、学校終わってそのまま来たみたいだ。
「お願いってなにかな。私に出来る事?」
「はい、あの…七草さん、ぼくに戦い方を教えて頂けませんか」
そう言って、三雲くんはお願いしますと頭を下げた。
◆
どさっという音と共に派手に土埃を立てて、身体が腰の所で半分になった三雲くんが地面に倒れ込む。
「ま、まけました…」
「お疲れさま。大体どんな感じなのかはわかったよ」
キュン、と身体が直っていく三雲くんを見つつ、持っていた弧月をひゅるりと回して鞘に仕舞い込んだ。
「これはやりがいがありそうだ」
「う…すみません、よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げた三雲くんに、「任せて」と笑って座り込んだままの彼の手を掴んで引き上げた。
「流石にレイガストだけだときついでしょ、私の動き見えた?」
「見えても身体が追いつかなくて…」
「だよね、それだとあっという間にやられちゃうよ。三雲くん、今トリガー何入れてる?色々組み合わせて考えたほうがいいと思うな」
「あ、まだこれだけなんです…」
「レイガストのみか」
それはきついな、と腕を組む。レイガストで強い人もいるけど、それはレイジさんとか村上くんとかのごく少数だ。機動力が低いからメインは反撃になるだろうけど反撃は反撃でセンスがいるだろうし、相手が中・遠距離だったら一方的にやられちゃいそうだ。
「んー、じゃあ…何かトリガーいれてみようか」
「他のですか?」
「そ。三雲くんまだ弱いから補助的に…」
何が良いかな、と三雲くんを見ながら考える。あんまり機動力も無く、トリオン量も低い、となると。重たい孤月や機動力重視のスコーピオンは無しだな。となると。
「射撃トリガー入れてみる?」
「というと、アステロイドとかですか?」
「そそ。見てて」
良いタイミングだったことに、今日は鬼怒田さんに頼まれごとがあったので拳銃タイプのアステロイドをセットしてきている。キュンと左手に拳銃を出現させて、ついでに追加で出した人型の的に狙いを定めた。
「銃は扱いやすいし、訓練すれば上手くなるよ。このタイプは連射はしにくいけど、銃手寄りの連射しやすい銃にもカスタム効くし」
ドン、と発射された弾は顔の部分に穴を開ける。
「でも、腕を落とされたら何にも出来なくなっちゃうのが難点かな」
「引き金を引けないからですね」
「そう」
でもね、と今度は射手用のアステロイドを右手に出現させて、出てきたトリオンキューブを三雲くんに見せる。的も追加で10体ほど。
「射手なら、たとえ両腕を落とされても攻撃出来るし、なにより設定いじれるのがいいの」
「設定ですか?」
「弾速、コース、威力なんかだね。こんな感じ」
キン、とトリオンキューブを12個に分割、最初の3個は威力低めで弾速早め、次の3個は平均的に、最後の3個は遅めで威力高めに設定して的に向かってばらけさせる。
一瞬ふわりと浮いたキューブは、それぞれ設定した的の方向へと同時に飛んでいった。どががん、とアステロイドが当たって的が壊れる。
「うわ…」
「時間差で攻撃したり、置き玉も出来るよ。銃より攻撃の幅が広いから、上手に飛ばせるならこっちがオススメ」
今度も12個に割ったキューブを、2秒おきに飛ばしてみせれば三雲くんの顔がきらきらしてきた。これは、射手仲間が増えるかなととっておきの一言も添えておく。
「なんと今なら私の指導付きです」
「七草さん、僕に教えてもらえますか」
「もちろん!」
じゃあ早速入れてこよう!と訓練室を出て、三雲くんを急かしながらチップをセットしに向かった。
◆
「おー、三雲くん上手だね」
「本当ですか」
とりあえず両方対応できるように拳銃型トリガーもいれてきたけれど、射手用のアステロイドの飛ばし方が安定している。これに当ててみて、と順番に出した的にも、手間取りながらもちゃんと当てることが出来ていた。
「これなら射手で出来そうだ」
「良かったです」
銃型だと銃口の向きで大体の攻撃方向がわかっちゃうけど、小細工がきく射手なら意識をちょっとでも裂いておける。近づきにくくもなるし、やれることは多いだろう。
「他にもバイパーとかハウンドがあるけど、慣れるまでは高火力のアステロイドがおすすめです」
「わかりました」
レイガストを持ったままのアステロイドも1時間くらい練習させたし、そろそろ本格的に実践すればいいだろうと三雲くんに向き直る。
「次はモールモッドを相手にしてもらおうかな」
「、がんばります」
初めての訓練は時間切れだったけど、今なら三雲くんでも倒せるだろう。緊張が混じった顔で頷く三雲くんに笑って、モールモッドの召喚ボタンを押す。
「最初は1体だけど、慣れたら2体づつにするよ」
「え」
「さ、みっちり練習しよう。私が見るんだもん、ちゃんと強くするからね」
とりあえずは5体出しておくか、と召喚されたモールモッドががしゃがしゃと足を鳴らして迫ってくれば、三雲くんはひくりと顔を引きつらせた。
三雲くんに稽古をつける
蒼さんの特別授業
(お疲れさま~)
(ぜえ、はあ、あ、ありがとうございました、)
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