荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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影浦くんと歌川くんと焼き鳥会
「あー、焼き鳥食べたくなってきた…」
防衛任務中に出現したバドの大群を、片っ端からアステロイドで撃墜しながら呟いたのが今回のきっかけだった。
◆
目の前の焼き鳥用コンロでじゅうじゅうと良い音が鳴って、香ばしい匂いが煙と一緒に舞い上がる。良い匂いに釣られてきゅるーと鳴ったお腹を手のひらでばしっと押さえつけた。ちらりと視線を上げれば、しっかりと聞かれたらしく苦笑する顔が見えた。
「ふ、良い音したな」
「空腹に暴力的な匂いなんだもん…」
テーブルを挟んで串を調整するのは影浦くんだ。混成部隊で一緒に任務に入っていた彼に呟きを聞かれて(通信繋いでた)、調度良いから来いと影浦隊の作戦室に呼ばれたのだ。
「本当に良いんですか、オレまでご一緒させてもらって…」
「構わねえよ」
そして私の隣にいるのは、これまた一緒に混成部隊にいた歌川くんだ。影浦くんに誘われた時に歌川くんも一緒に連れてっちゃダメ?と聞いたら存外簡単に許可をもらったので連れてきたのだった。
「蒼サンが連れてきたなら害はねえだろ」
「害なんてないない、歌川くんすっごい良い子だよ。影浦くんも言われてるほど怖くないし、優しいから色々聞いちゃえばいいよ」
「、はい」
安堵するように笑った歌川くんに笑って、コンロの上で焼けていく鶏肉を見る。影浦くんが絶妙なタイミングで引っ繰り返す鶏肉は綺麗にこんがり焼けていて食欲をそそる。
「うーお腹空いた…」
「もうすぐ焼けっから待ってろ。何から食うんだ?」
「ももにく…」
私が呻くように告げた言葉に影浦くんが低く笑って、私の横でぴしりと座っている歌川くんに視線を向ける。
「歌川は?」
「あ、オレはネギマでお願いします」
「りょーかい」
それから少しして、お腹が空いてくったりしてる私の前に綺麗に焼けた焼き鳥が置かれた。
「蒼サン焼けたぞ。ほら、好きなだけ塩振って食え」
「!ありがとうっ」
しゃきっと座り直して影浦くんから粗塩の瓶を受け取る。こんがりした焼き鳥にささっと塩を振って、瓶を歌川くんへとパスした。
「ん、これ歌川のな」
「ありがとうございます」
ネギマをもらった歌川くんも塩を振って、影浦くんへと瓶を渡した。影浦くんはと言えば、焼き上がった焼き鳥を横のお皿に並べて、第2陣の焼き鳥たちをコンロの上に並べ始めた。
「ん、先食っていいぞ」
「そう?じゃあいただきます!」
待ってた私に苦笑して影浦くんが手をひらひらと振った。それではお言葉に甘えて、とモモに齧りつく。
「ん~っ!」
うま!こんがり部分うま!ジューシー!ともぐもぐ食べていく私に釣られて、歌川くんもネギマに齧りつく。ふわりと焼けたネギの匂いが漂ってきて、早くも次はネギマにしようと心に決める。
「ん、美味しいですね」
「焼き加減最高だよね…!影浦くん焼き鳥屋さん開いてよ、誰かしら連れて毎日行くから」
「毎日来るのかよ」
そりゃ繁盛しそうだな、と呟いた影浦くんも焼き鳥に手を伸ばした。影浦くんは軟骨から食べるみたいだ。豪快に塩をざっと振りかけて、がりっと齧りつく良い音が聞こえた。それからごりごり軟骨を齧る音が聞こえてきて、影浦くんぽいなあと笑った。
「ネギマいただくね」
「おー、食え食え。歌川も好きなの取って食えよ」
「はい」
こんがり焼けた焼き鳥たちが冷めない内に、と2本目を貰う。歌川くんの2本目はつくねのようだ。焼き目のついたつくねも美味しそうで、色々目移りしちゃうなあと思いながらネギマに齧りついた。
「ん、あま」
香ばしく焼けたネギがとろりとした甘みを引き連れて口の中に広がる。鶏肉もしっかり焼けてるのにぷりぷりだ。
「ん~」
「蒼さん、幸せそうに食べますね」
「だよな」
「んふ、美味しくて幸せ」
そう笑えば、歌川くんと影浦くんにひょいひょいと焼き上がった串を私のお皿に乗せられた。なに?と首を傾げれば、にこにこした歌川くんが言う。
「いっぱい食べて下さいね」
「そうしろ、腹いっぱいになるまで焼いてやる」
「?うん」
なんだか良くわからないけれど、とりあえず頷いて焼き鳥を頂いておくことにする。ネギマも食べたし、次は何にしようかな。迷うなあ、と見ていれば影浦くんが1つの串を差し出してくる。
「これ旨いぞ」
「あ、ぼんじり!」
いただくー!と影浦くんからぼんじりを受け取って齧りつく。ぷりっぷりのぼんじり、鶏の味が濃くて美味しい。さきっぽちょっとだけ焦げてるのも香ばしくて良い。
「美味しいですか?」
「すっごい美味しいよ!」
歌川くんに頷けば、彼の手元にも影浦くんによってぼんじりが運ばれてくる。影浦くんが串を引っ繰り返しながら齧っているのもぼんじりだ。
「ほら、歌川も食え」
「あ、ありがとうございます」
最初よりも緊張が解れたらしい2人が私を挟んで穏やかな空気を流している。仲良くなってくれればいいな、と思いながらぼんじりを食べ進めた。
「あ、ねえ歌川くん」
「なんですか?」
「今度影浦くんちのお好み焼き食べにいこうか」
「おい、随分唐突だな」
私の言葉に影浦くんが苦笑する。対する歌川くんは影浦くんの家がお好み焼き屋をしているのを知らないみたいで、ちょっとだけ首を傾げた。
「影浦先輩の家、ですか?」
「お好み焼き屋やってんだよ」
「そうなんですか。それで手際が良いんですね」
そう言った歌川くんが感心したように頷く。
「それにすごい美味しいんだよ。荒船くんも贔屓にしてるし」
「あいつはもう常連だしなァ」
「というか、荒船くんと行くと全部やってくれちゃうからたまには自分で焼きたいのもあるんだよね」
「それが本心ですね」
笑う歌川くんに、荒船くんには内緒ねと笑えば焼き鳥を引っ繰り返しつつ影浦くんがぽつりと言う。
「それなら今日の晩にでも来るか?来るなら席用意しとくけど」
「あ、それいいね。歌川くんご予定は?」
「大丈夫ですよ」
「じゃあ晩御飯は影浦くん家でお好み焼きにしよう!」
けってーい!と笑いながら残りのぼんじりに齧りついた。
焼き鳥好きの後輩達と
焼き鳥会の開催
(折角だから風間隊全員に声かけよっか)
(あ、いいですね)
(じゃあうちも声掛けとくわ)
風間隊と影浦隊のお好み焼き会へと発展する
「あー、焼き鳥食べたくなってきた…」
防衛任務中に出現したバドの大群を、片っ端からアステロイドで撃墜しながら呟いたのが今回のきっかけだった。
◆
目の前の焼き鳥用コンロでじゅうじゅうと良い音が鳴って、香ばしい匂いが煙と一緒に舞い上がる。良い匂いに釣られてきゅるーと鳴ったお腹を手のひらでばしっと押さえつけた。ちらりと視線を上げれば、しっかりと聞かれたらしく苦笑する顔が見えた。
「ふ、良い音したな」
「空腹に暴力的な匂いなんだもん…」
テーブルを挟んで串を調整するのは影浦くんだ。混成部隊で一緒に任務に入っていた彼に呟きを聞かれて(通信繋いでた)、調度良いから来いと影浦隊の作戦室に呼ばれたのだ。
「本当に良いんですか、オレまでご一緒させてもらって…」
「構わねえよ」
そして私の隣にいるのは、これまた一緒に混成部隊にいた歌川くんだ。影浦くんに誘われた時に歌川くんも一緒に連れてっちゃダメ?と聞いたら存外簡単に許可をもらったので連れてきたのだった。
「蒼サンが連れてきたなら害はねえだろ」
「害なんてないない、歌川くんすっごい良い子だよ。影浦くんも言われてるほど怖くないし、優しいから色々聞いちゃえばいいよ」
「、はい」
安堵するように笑った歌川くんに笑って、コンロの上で焼けていく鶏肉を見る。影浦くんが絶妙なタイミングで引っ繰り返す鶏肉は綺麗にこんがり焼けていて食欲をそそる。
「うーお腹空いた…」
「もうすぐ焼けっから待ってろ。何から食うんだ?」
「ももにく…」
私が呻くように告げた言葉に影浦くんが低く笑って、私の横でぴしりと座っている歌川くんに視線を向ける。
「歌川は?」
「あ、オレはネギマでお願いします」
「りょーかい」
それから少しして、お腹が空いてくったりしてる私の前に綺麗に焼けた焼き鳥が置かれた。
「蒼サン焼けたぞ。ほら、好きなだけ塩振って食え」
「!ありがとうっ」
しゃきっと座り直して影浦くんから粗塩の瓶を受け取る。こんがりした焼き鳥にささっと塩を振って、瓶を歌川くんへとパスした。
「ん、これ歌川のな」
「ありがとうございます」
ネギマをもらった歌川くんも塩を振って、影浦くんへと瓶を渡した。影浦くんはと言えば、焼き上がった焼き鳥を横のお皿に並べて、第2陣の焼き鳥たちをコンロの上に並べ始めた。
「ん、先食っていいぞ」
「そう?じゃあいただきます!」
待ってた私に苦笑して影浦くんが手をひらひらと振った。それではお言葉に甘えて、とモモに齧りつく。
「ん~っ!」
うま!こんがり部分うま!ジューシー!ともぐもぐ食べていく私に釣られて、歌川くんもネギマに齧りつく。ふわりと焼けたネギの匂いが漂ってきて、早くも次はネギマにしようと心に決める。
「ん、美味しいですね」
「焼き加減最高だよね…!影浦くん焼き鳥屋さん開いてよ、誰かしら連れて毎日行くから」
「毎日来るのかよ」
そりゃ繁盛しそうだな、と呟いた影浦くんも焼き鳥に手を伸ばした。影浦くんは軟骨から食べるみたいだ。豪快に塩をざっと振りかけて、がりっと齧りつく良い音が聞こえた。それからごりごり軟骨を齧る音が聞こえてきて、影浦くんぽいなあと笑った。
「ネギマいただくね」
「おー、食え食え。歌川も好きなの取って食えよ」
「はい」
こんがり焼けた焼き鳥たちが冷めない内に、と2本目を貰う。歌川くんの2本目はつくねのようだ。焼き目のついたつくねも美味しそうで、色々目移りしちゃうなあと思いながらネギマに齧りついた。
「ん、あま」
香ばしく焼けたネギがとろりとした甘みを引き連れて口の中に広がる。鶏肉もしっかり焼けてるのにぷりぷりだ。
「ん~」
「蒼さん、幸せそうに食べますね」
「だよな」
「んふ、美味しくて幸せ」
そう笑えば、歌川くんと影浦くんにひょいひょいと焼き上がった串を私のお皿に乗せられた。なに?と首を傾げれば、にこにこした歌川くんが言う。
「いっぱい食べて下さいね」
「そうしろ、腹いっぱいになるまで焼いてやる」
「?うん」
なんだか良くわからないけれど、とりあえず頷いて焼き鳥を頂いておくことにする。ネギマも食べたし、次は何にしようかな。迷うなあ、と見ていれば影浦くんが1つの串を差し出してくる。
「これ旨いぞ」
「あ、ぼんじり!」
いただくー!と影浦くんからぼんじりを受け取って齧りつく。ぷりっぷりのぼんじり、鶏の味が濃くて美味しい。さきっぽちょっとだけ焦げてるのも香ばしくて良い。
「美味しいですか?」
「すっごい美味しいよ!」
歌川くんに頷けば、彼の手元にも影浦くんによってぼんじりが運ばれてくる。影浦くんが串を引っ繰り返しながら齧っているのもぼんじりだ。
「ほら、歌川も食え」
「あ、ありがとうございます」
最初よりも緊張が解れたらしい2人が私を挟んで穏やかな空気を流している。仲良くなってくれればいいな、と思いながらぼんじりを食べ進めた。
「あ、ねえ歌川くん」
「なんですか?」
「今度影浦くんちのお好み焼き食べにいこうか」
「おい、随分唐突だな」
私の言葉に影浦くんが苦笑する。対する歌川くんは影浦くんの家がお好み焼き屋をしているのを知らないみたいで、ちょっとだけ首を傾げた。
「影浦先輩の家、ですか?」
「お好み焼き屋やってんだよ」
「そうなんですか。それで手際が良いんですね」
そう言った歌川くんが感心したように頷く。
「それにすごい美味しいんだよ。荒船くんも贔屓にしてるし」
「あいつはもう常連だしなァ」
「というか、荒船くんと行くと全部やってくれちゃうからたまには自分で焼きたいのもあるんだよね」
「それが本心ですね」
笑う歌川くんに、荒船くんには内緒ねと笑えば焼き鳥を引っ繰り返しつつ影浦くんがぽつりと言う。
「それなら今日の晩にでも来るか?来るなら席用意しとくけど」
「あ、それいいね。歌川くんご予定は?」
「大丈夫ですよ」
「じゃあ晩御飯は影浦くん家でお好み焼きにしよう!」
けってーい!と笑いながら残りのぼんじりに齧りついた。
焼き鳥好きの後輩達と
焼き鳥会の開催
(折角だから風間隊全員に声かけよっか)
(あ、いいですね)
(じゃあうちも声掛けとくわ)
風間隊と影浦隊のお好み焼き会へと発展する