荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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荒船くんと太刀川さんの小競り合い
「…ん?」
任務が終わってランク戦ブースに顔を出したら、其処に居た人たちが一斉に私に視線を向けてきた。いつもと違う雰囲気に、なになにどうしたと奥に進むのをためらっていたら慌てて走って来る人影が見えた。
「あー!良かった蒼さん!呼びに行こうとしてたんですよ!」
「米屋くん?」
「ちょ、こっちきて助けてください!」
米屋くんが慌てているなんて余程の事だ。とにかく早く!と急かす彼の後を付いて走っていけば、出水くんの声が聞こえてきた。
「駄目ですって荒船さん!太刀川さんも煽んないで!」
慶と荒船くん?その2人がどうしたと考えながら走れば、広場で出水くんが荒船くんを後ろから羽交い絞めにしていた。その前には、幼馴染である太刀川慶が薄ら笑いを浮かべて立っている。両者の間は殺気立っていて、ここが静かだったのはそのせいかと納得する。
「なにしたの?」
「蒼さんいいとこに!」
走って来た私に気付いた出水くんが、助けを求めるような視線を向けてくる。出水くんの声に反応して、荒船くんと慶の視線もこちらに向いた。
「他の子が怯えてるでしょ。何したか知らないけど、1回頭冷やして」
2人の間に入りながらそう言えば、出水くんに抑えられたままの荒船くんが慶を睨み上げながら低い声で言う。
「退いて下さい、蒼さん。太刀川さんぶった切らねえと気が済まない」
「やってみろ、返り討ちにしてやるよ」
「退かないし、慶は荒船くん煽らないで」
刺し殺すような視線で慶を睨む荒船くんの前に立ち、荒船くんを煽る慶を睨んだ。
「喧嘩するのは止めないけど、ここで喧嘩したら迷惑なのはわかるでしょう。ブースに入ってやって」
「荒船が突っかかって来たのが悪ィんだよ」
「突っかかって来たのはアンタの方だろうが!」
初めて見るくらい血が昇ってる荒船くんは、何を言っても聞かなそうだ。対する慶は煽るだけ煽ってやると言いたげに薄ら笑いを引っ込めない。
「どっちでもいいけど、ブース入るの?入らないの?」
「入るまでもねえだろ」
「ッ!」
最後通告で訊けば、慶が吐き捨てるように言い放つ。その言葉を聞いた荒船くんが、出水くんを振り払って弧月を生成するのが視界の端で見えた。それを見た慶も表情を変えないまま弧月を生成する。
「"水冠"」
これは駄目だと1歩引いて左耳の黒トリガーを起動。慶に下段から斬りかかった荒船くんと迎撃態勢に入った慶の間に、びゅわっと水冠の液状トリオンを壁の様に出現させた。
「っ!」
「やべ」
勢いの付いた2人が止まれずに液状トリオンに突っ込んだら、逃げられないように絡め取り2分割にして球体に作り替える。中からの攻撃は全て吸収する作りだから、とりあえずはこれで大丈夫だろう。
「出水くん怪我してない?大丈夫?」
「あーはい、平気です…」
助かりました…とげんなりした様子で座り込んだ出水くんは、見た感じ外傷はなさそうだと確認して宙に浮かぶ2人を睨んだ。慶は私の黒トリガーをよく知っているから、早々に弧月を仕舞って両手を上げた降参姿勢を取っている。降参姿勢を取ったって、許す気なんて更々無い。
「私は警告したよ。暫くそこで反省して」
「まじかよー…」
「チッ…」
熱が冷めた慶とは反対に、煽られまくった荒船くんが冷めるまでは時間がかかりそうだ。とりあえず2人はラウンジの上に浮かべておくとして、私は出水くんから話を聞くことにするか。
「出水くん、何があったか聞かせてくれる?」
「あ、はい」
立ち上がった出水くんを連れて、近くのテーブルへと足を向けた。
◆
「ごめんよく聞こえなかった」
「次の蒼さんの休日に、どっちが遊びに誘うか話してたらヒートアップしてあの状況に」
「なんでだ耳を疑いたかった」
「おれも疑いたかったです」
出水くんから聞かされた理由に、2人で頭を抱えた。なんだその理由…そんな理由でほかの子たちを巻き込む大騒動にしたのか。馬鹿じゃないのか…。
「で、確認したいんですけど…蒼さんの次の休日って土曜ですよね?」
「そう…」
出水くんと遊びにいく約束してる土曜日ですよ、とげんなりしながら吐き出す。先に出水くんと約束してる以上、あの2人に誘われても了承は出来ない。なんて無益な争いだ…
「忍田さん呼ばなくて良かった…」
心底深い溜め息を吐いて、ラウンジの上に浮かべたままの荒船くんと慶に視線を投げる。現在晒し者真っ最中の彼らを見て、もう1つ溜め息が零れた。
「だめだ溜め息しか出てこない…」
「おれもです…」
とりあえず今週の土曜日は、出水くんとの先約があるというのを伝えないとなあ。それからこの暴挙についてお話しなくてはいけない。
「出水くん、迷惑かけて悪いんだけどもうちょっと手伝って…」
「了解…」
ぐったり疲れ切った出水くんと2人、慶と荒船くんに説明しようと重い腰を上げて水球を引き寄せた。
壮絶なる小競り合い
次はブースでやってください
(という訳で土曜はそもそも空いてません)
(おい出水、聞いてねえぞ)
(おれが言っても聞かなかったでしょ…)
喧嘩する2人が書きたかった
「…ん?」
任務が終わってランク戦ブースに顔を出したら、其処に居た人たちが一斉に私に視線を向けてきた。いつもと違う雰囲気に、なになにどうしたと奥に進むのをためらっていたら慌てて走って来る人影が見えた。
「あー!良かった蒼さん!呼びに行こうとしてたんですよ!」
「米屋くん?」
「ちょ、こっちきて助けてください!」
米屋くんが慌てているなんて余程の事だ。とにかく早く!と急かす彼の後を付いて走っていけば、出水くんの声が聞こえてきた。
「駄目ですって荒船さん!太刀川さんも煽んないで!」
慶と荒船くん?その2人がどうしたと考えながら走れば、広場で出水くんが荒船くんを後ろから羽交い絞めにしていた。その前には、幼馴染である太刀川慶が薄ら笑いを浮かべて立っている。両者の間は殺気立っていて、ここが静かだったのはそのせいかと納得する。
「なにしたの?」
「蒼さんいいとこに!」
走って来た私に気付いた出水くんが、助けを求めるような視線を向けてくる。出水くんの声に反応して、荒船くんと慶の視線もこちらに向いた。
「他の子が怯えてるでしょ。何したか知らないけど、1回頭冷やして」
2人の間に入りながらそう言えば、出水くんに抑えられたままの荒船くんが慶を睨み上げながら低い声で言う。
「退いて下さい、蒼さん。太刀川さんぶった切らねえと気が済まない」
「やってみろ、返り討ちにしてやるよ」
「退かないし、慶は荒船くん煽らないで」
刺し殺すような視線で慶を睨む荒船くんの前に立ち、荒船くんを煽る慶を睨んだ。
「喧嘩するのは止めないけど、ここで喧嘩したら迷惑なのはわかるでしょう。ブースに入ってやって」
「荒船が突っかかって来たのが悪ィんだよ」
「突っかかって来たのはアンタの方だろうが!」
初めて見るくらい血が昇ってる荒船くんは、何を言っても聞かなそうだ。対する慶は煽るだけ煽ってやると言いたげに薄ら笑いを引っ込めない。
「どっちでもいいけど、ブース入るの?入らないの?」
「入るまでもねえだろ」
「ッ!」
最後通告で訊けば、慶が吐き捨てるように言い放つ。その言葉を聞いた荒船くんが、出水くんを振り払って弧月を生成するのが視界の端で見えた。それを見た慶も表情を変えないまま弧月を生成する。
「"水冠"」
これは駄目だと1歩引いて左耳の黒トリガーを起動。慶に下段から斬りかかった荒船くんと迎撃態勢に入った慶の間に、びゅわっと水冠の液状トリオンを壁の様に出現させた。
「っ!」
「やべ」
勢いの付いた2人が止まれずに液状トリオンに突っ込んだら、逃げられないように絡め取り2分割にして球体に作り替える。中からの攻撃は全て吸収する作りだから、とりあえずはこれで大丈夫だろう。
「出水くん怪我してない?大丈夫?」
「あーはい、平気です…」
助かりました…とげんなりした様子で座り込んだ出水くんは、見た感じ外傷はなさそうだと確認して宙に浮かぶ2人を睨んだ。慶は私の黒トリガーをよく知っているから、早々に弧月を仕舞って両手を上げた降参姿勢を取っている。降参姿勢を取ったって、許す気なんて更々無い。
「私は警告したよ。暫くそこで反省して」
「まじかよー…」
「チッ…」
熱が冷めた慶とは反対に、煽られまくった荒船くんが冷めるまでは時間がかかりそうだ。とりあえず2人はラウンジの上に浮かべておくとして、私は出水くんから話を聞くことにするか。
「出水くん、何があったか聞かせてくれる?」
「あ、はい」
立ち上がった出水くんを連れて、近くのテーブルへと足を向けた。
◆
「ごめんよく聞こえなかった」
「次の蒼さんの休日に、どっちが遊びに誘うか話してたらヒートアップしてあの状況に」
「なんでだ耳を疑いたかった」
「おれも疑いたかったです」
出水くんから聞かされた理由に、2人で頭を抱えた。なんだその理由…そんな理由でほかの子たちを巻き込む大騒動にしたのか。馬鹿じゃないのか…。
「で、確認したいんですけど…蒼さんの次の休日って土曜ですよね?」
「そう…」
出水くんと遊びにいく約束してる土曜日ですよ、とげんなりしながら吐き出す。先に出水くんと約束してる以上、あの2人に誘われても了承は出来ない。なんて無益な争いだ…
「忍田さん呼ばなくて良かった…」
心底深い溜め息を吐いて、ラウンジの上に浮かべたままの荒船くんと慶に視線を投げる。現在晒し者真っ最中の彼らを見て、もう1つ溜め息が零れた。
「だめだ溜め息しか出てこない…」
「おれもです…」
とりあえず今週の土曜日は、出水くんとの先約があるというのを伝えないとなあ。それからこの暴挙についてお話しなくてはいけない。
「出水くん、迷惑かけて悪いんだけどもうちょっと手伝って…」
「了解…」
ぐったり疲れ切った出水くんと2人、慶と荒船くんに説明しようと重い腰を上げて水球を引き寄せた。
壮絶なる小競り合い
次はブースでやってください
(という訳で土曜はそもそも空いてません)
(おい出水、聞いてねえぞ)
(おれが言っても聞かなかったでしょ…)
喧嘩する2人が書きたかった