荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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佐鳥くんは匿ってくれるよね?
「あ、蒼さーん!」
「佐鳥くん」
廊下の向こうから駆けてくる後輩に手を振れば、佐鳥くんは満面の笑みで私の元へとやってきた。
「元気してた?」
「もちろん佐鳥は元気ですよー!」
にこにこ笑う佐鳥くんの可愛さに、こちらもつられて笑顔になる。疲れてた心が一気に洗われた気がすると思ったのも一瞬、佐鳥くんが笑顔のまま告げた言葉によって現実に戻された。
「そうそう蒼さん、荒船さんが探してましたよ!」
「ああ知ってる…」
「あれっ一気にトーンダウン!?」
すっとテンションの下がった私に、どうしたんです?と佐鳥くんが首を傾げた。そんな彼に、周囲をちらりと確認しながら質問した。
「佐鳥くん、荒船くんどこにいた?」
「ラウンジにいましたけど…?」
「何分くらい前?」
「1分経ってないです」
「まずいな」
佐鳥くんの言葉を聞いた瞬間にカメレオンを発動させる。ラウンジなんてそこの角曲がってすぐだ、とりあえずは荒船くんの視界に入らないようにしなくては。
「もしかして蒼さん、荒船さんから意図的に逃げてたりします…?」
透明になった私を見て佐鳥くんが首を傾げた。それに荒船くんが来ない事を確認しながら、小さな声で肯定の返事をした。
「そんな感じ。来たら誤魔化してくれる?」
「………佐鳥、荒船さんにいたよってメッセージ送っちゃいました…」
「わあ」
さあっと青い顔になった佐鳥くんが私の方に向けて差し出した携帯の画面には、確かに荒船くんに向けて送られたメッセージ。さすが佐鳥くん、仕事が早いな。あ、既読ついた。これは時間がない。
『…佐鳥くん、もちろん私を匿ってくれるよねー』
『あっハイ佐鳥匿います!』
佐鳥くん優しいもんねーと秘匿通信でそう言えば、同じく秘匿通信を使って佐鳥くんが肯定の返事をした。とりあえずはこれで大丈夫か、と思っていれば廊下の角から荒船くんが現れたので佐鳥くんの後ろに回った。ぶつかったりしないように、服の裾を軽く引っ張って居場所をお知らせする。
「佐鳥、蒼さんどこだ」
「スナイパー練習場に行くって走って行っちゃいました」
「そうか、悪いな」
足早にやってきた荒船くんは佐鳥くんと短く会話して、疑いもせずにスナイパー練習場の方へ走って行った。角を曲がって見えなくなった所で、佐鳥くんの肩を叩く。
「ありがと、佐鳥くん」
「もう、蒼さんなにしたんですか」
呆れ顔で振り向いた佐鳥くんの頬にぷにぷにと指を埋めつつ、溜め息を吐きながら答える。万が一に備えてカメレオンはまだ解除しないままだ。
「遠征帰りであんまり食欲ないんだけど、食べないと倒れるからって探しにくるんだよねえ」
「…それ、すんごい正論じゃないですか?」
「正論だよ?」
佐鳥くんの言葉に頷くけれど、とくに食欲はないのだ。精神的に疲れてるというかなんというか、とにかく食べなくてもサプリとかで栄養取れてればいっかな程度だ。
「荒船くんとご飯食べると、許容量ぎりぎりまで詰め込まれるから辛いのよね…」
「…蒼さん」
「ん?」
ちょっと静かになった佐鳥くんが、私の名前を呼んだ。なんでしょ、と訊けば佐鳥くんがこちらを見る。
「佐鳥とごはんは嫌ですか?」
「え?嫌な要素なんてないけど」
佐鳥くん忙しいのに時間裂いてくれるんだよ?可愛い後輩の頼みを断る事なんてしないし、むしろ大歓迎だけどと言えば佐鳥くんが続ける。
「実は佐鳥、さっきまで広報の仕事があってまだご飯食べてないんです。だから、佐鳥と一緒にご飯食べません?」
「ご一緒します」
そう告げれば、佐鳥くんは良かったあと顔を緩めて笑った。佐鳥くんと一緒にご飯食べるなら荒船くんも怒らないだろうし、とカメレオンを解除した。
「あ、じゃあ荒船さんに連絡しといてくださいね?佐鳥怒られちゃうんで」
「了解」
荒船さん怖いからという佐鳥くんに頷いて、取り出した携帯で荒船くんへとメッセージを送る。『佐鳥くんとご飯食べるよ』というメッセージには、すぐに既読の文字が付いた。それから少しして荒船くんからのメッセージが浮かぶ。
「…佐鳥くん」
「はーい?」
みてみて、と佐鳥くんにメッセージを見せる。荒船くんの呆れ顔が見えるようなそれに、目を通した佐鳥くんがたじろいだ。
「佐鳥が匿ったんですね、って荒船くんが」
「ひーばれた!」
「そりゃあばれるよねー」
「蒼さんはやく!早くご飯食べに行きましょう!」
蒼さん隠蔽の罪で怒られる!と私の手を引いて佐鳥くんが早足に歩き出す。佐鳥くんに手を引かれるまま、荒船くんといくつかメッセージをやりとりしてから携帯を仕舞い込んだ。
「ねえ佐鳥くん、今日の天気知ってる?」
「天気ですか?今日は1日快晴って言ってましたよ。佐鳥が本部来る時も綺麗に晴れてましたし」
でもなんで天気?と不思議そうな顔をした佐鳥くんに、晴れているならと提案する。
「テイクアウトにして、屋上で食べない?」
「あ、それいいですね!」
ピクニック気分だ!と笑顔になった佐鳥くんに笑って、あれこれ話しながら食堂へと向かう。お題はもっぱら持っていくご飯の話だ。
「蒼さん何食べます?」
「新しくなったカツサンドはどう?もう食べた?」
「いいですね!佐鳥まだ食べてないんですよー!じゃあそれと軽くつまめる物も選びましょうか」
「そうしましょー」
にこにこ笑う佐鳥くんと一緒に、がやがやと騒がしい食堂へと足を踏み入れた。
佐鳥くんに匿ってもらう
ピクニックしましょ!
(天気良いねえ)
(ピクニック日和ですねえ)
2017年初は佐鳥くんでした。
今年も宜しくお願い申し上げます。
「あ、蒼さーん!」
「佐鳥くん」
廊下の向こうから駆けてくる後輩に手を振れば、佐鳥くんは満面の笑みで私の元へとやってきた。
「元気してた?」
「もちろん佐鳥は元気ですよー!」
にこにこ笑う佐鳥くんの可愛さに、こちらもつられて笑顔になる。疲れてた心が一気に洗われた気がすると思ったのも一瞬、佐鳥くんが笑顔のまま告げた言葉によって現実に戻された。
「そうそう蒼さん、荒船さんが探してましたよ!」
「ああ知ってる…」
「あれっ一気にトーンダウン!?」
すっとテンションの下がった私に、どうしたんです?と佐鳥くんが首を傾げた。そんな彼に、周囲をちらりと確認しながら質問した。
「佐鳥くん、荒船くんどこにいた?」
「ラウンジにいましたけど…?」
「何分くらい前?」
「1分経ってないです」
「まずいな」
佐鳥くんの言葉を聞いた瞬間にカメレオンを発動させる。ラウンジなんてそこの角曲がってすぐだ、とりあえずは荒船くんの視界に入らないようにしなくては。
「もしかして蒼さん、荒船さんから意図的に逃げてたりします…?」
透明になった私を見て佐鳥くんが首を傾げた。それに荒船くんが来ない事を確認しながら、小さな声で肯定の返事をした。
「そんな感じ。来たら誤魔化してくれる?」
「………佐鳥、荒船さんにいたよってメッセージ送っちゃいました…」
「わあ」
さあっと青い顔になった佐鳥くんが私の方に向けて差し出した携帯の画面には、確かに荒船くんに向けて送られたメッセージ。さすが佐鳥くん、仕事が早いな。あ、既読ついた。これは時間がない。
『…佐鳥くん、もちろん私を匿ってくれるよねー』
『あっハイ佐鳥匿います!』
佐鳥くん優しいもんねーと秘匿通信でそう言えば、同じく秘匿通信を使って佐鳥くんが肯定の返事をした。とりあえずはこれで大丈夫か、と思っていれば廊下の角から荒船くんが現れたので佐鳥くんの後ろに回った。ぶつかったりしないように、服の裾を軽く引っ張って居場所をお知らせする。
「佐鳥、蒼さんどこだ」
「スナイパー練習場に行くって走って行っちゃいました」
「そうか、悪いな」
足早にやってきた荒船くんは佐鳥くんと短く会話して、疑いもせずにスナイパー練習場の方へ走って行った。角を曲がって見えなくなった所で、佐鳥くんの肩を叩く。
「ありがと、佐鳥くん」
「もう、蒼さんなにしたんですか」
呆れ顔で振り向いた佐鳥くんの頬にぷにぷにと指を埋めつつ、溜め息を吐きながら答える。万が一に備えてカメレオンはまだ解除しないままだ。
「遠征帰りであんまり食欲ないんだけど、食べないと倒れるからって探しにくるんだよねえ」
「…それ、すんごい正論じゃないですか?」
「正論だよ?」
佐鳥くんの言葉に頷くけれど、とくに食欲はないのだ。精神的に疲れてるというかなんというか、とにかく食べなくてもサプリとかで栄養取れてればいっかな程度だ。
「荒船くんとご飯食べると、許容量ぎりぎりまで詰め込まれるから辛いのよね…」
「…蒼さん」
「ん?」
ちょっと静かになった佐鳥くんが、私の名前を呼んだ。なんでしょ、と訊けば佐鳥くんがこちらを見る。
「佐鳥とごはんは嫌ですか?」
「え?嫌な要素なんてないけど」
佐鳥くん忙しいのに時間裂いてくれるんだよ?可愛い後輩の頼みを断る事なんてしないし、むしろ大歓迎だけどと言えば佐鳥くんが続ける。
「実は佐鳥、さっきまで広報の仕事があってまだご飯食べてないんです。だから、佐鳥と一緒にご飯食べません?」
「ご一緒します」
そう告げれば、佐鳥くんは良かったあと顔を緩めて笑った。佐鳥くんと一緒にご飯食べるなら荒船くんも怒らないだろうし、とカメレオンを解除した。
「あ、じゃあ荒船さんに連絡しといてくださいね?佐鳥怒られちゃうんで」
「了解」
荒船さん怖いからという佐鳥くんに頷いて、取り出した携帯で荒船くんへとメッセージを送る。『佐鳥くんとご飯食べるよ』というメッセージには、すぐに既読の文字が付いた。それから少しして荒船くんからのメッセージが浮かぶ。
「…佐鳥くん」
「はーい?」
みてみて、と佐鳥くんにメッセージを見せる。荒船くんの呆れ顔が見えるようなそれに、目を通した佐鳥くんがたじろいだ。
「佐鳥が匿ったんですね、って荒船くんが」
「ひーばれた!」
「そりゃあばれるよねー」
「蒼さんはやく!早くご飯食べに行きましょう!」
蒼さん隠蔽の罪で怒られる!と私の手を引いて佐鳥くんが早足に歩き出す。佐鳥くんに手を引かれるまま、荒船くんといくつかメッセージをやりとりしてから携帯を仕舞い込んだ。
「ねえ佐鳥くん、今日の天気知ってる?」
「天気ですか?今日は1日快晴って言ってましたよ。佐鳥が本部来る時も綺麗に晴れてましたし」
でもなんで天気?と不思議そうな顔をした佐鳥くんに、晴れているならと提案する。
「テイクアウトにして、屋上で食べない?」
「あ、それいいですね!」
ピクニック気分だ!と笑顔になった佐鳥くんに笑って、あれこれ話しながら食堂へと向かう。お題はもっぱら持っていくご飯の話だ。
「蒼さん何食べます?」
「新しくなったカツサンドはどう?もう食べた?」
「いいですね!佐鳥まだ食べてないんですよー!じゃあそれと軽くつまめる物も選びましょうか」
「そうしましょー」
にこにこ笑う佐鳥くんと一緒に、がやがやと騒がしい食堂へと足を踏み入れた。
佐鳥くんに匿ってもらう
ピクニックしましょ!
(天気良いねえ)
(ピクニック日和ですねえ)
2017年初は佐鳥くんでした。
今年も宜しくお願い申し上げます。