荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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荒船・出水に癒やされる
学生がテスト時期になったので、普段より多めに夜勤が回ってきていた。それに加えて昼間の大学やレポート、開発室での手伝いなどで睡眠時間が削れに削れて疲労困憊していた。
「いーい天気…」
というわけで、久し振りの休日を迎えた私は休みを目一杯堪能していた。具体的には日当たりの良い窓辺にソファをずらし、その上でお茶を飲みつつ本を読んでいた。休み最高。
「、ねむ…」
開け放たれた窓からは、カーテンを揺らしながら涼しい風が入ってくる。日差しも心地よくて、読みかけの本に栞を挟んでテーブルに置く。ちょっとだけお昼寝しようかなあ、とブランケットを取りに立ち上がった。
ピンポーン
「ん…?」
来客を告げるチャイムに玄関へ向かう。今日は特に誰とも約束してないけどと思いながら扉を開ければ、そこには見知った弟子たちの姿があった。
「あ、蒼さんおはようございまーす」
「おはようございます」
「…おはよう?」
にこにこした出水くんと、大きな箱を抱えている荒船くん。土曜日の朝から何の用だと首を傾げれば、出水くんがにこにこしながら口を開く。
「蒼さんお疲れだと思って、おれたちが癒しに来ました」
「…え?」
「入れてもらっていいですか」
「あ、うんどうぞ?」
なんかよくわからないまま、荒船くんに押されるように承諾してしまった。玄関に入って来た2人はさっさと靴を脱いで上がり込んでくる。
「ごめん、今日出せるものがなんにもないんだけど…」
買い物は午後の予定で…と呟けば、出水くんはにこりと笑って言った。
「おれたちが癒しに来たんですからおかまいなく!」
「お菓子とかは買ってきたんで」
そう言った荒船くんが、出水くんが持っている白いビニール袋に視線を送る。がさりと鳴った半透明の袋の中には、私の好きなお菓子なんかがうっすら透けて見えた。
「キッチンお借りしても良いですか?」
「あ、うん。好きに使っていいよ」
出水くんに背を押され、荒船くんに返事をしながらリビングへと戻ってくる。私がまったりしていた痕跡を見つけた出水くんが、窓際のソファまで私を押した。
「蒼さんはこっちで待機しててくださいねー」
「了解…」
とすん、とソファに座らされて、戻っていく出水くんの背中を見送る。キッチンへ入った荒船くんは、しゃがんでいるのか見えないところでごそごそと何かしているようだ。
「いやしに、か…」
何するんだろう、と思いながらとりあえずは読みかけの本に手を伸ばした。
◆
「蒼さん、お待たせしました」
「ん?」
荒船くんの声に振り向けば、何か大きな白いものを抱えた荒船くんが立っていた。さっきの箱の中身かなあ、と考えながら本に栞を挟む。
「ちょっと失礼しますねー」
荒船くんの後ろからやってきた出水くんが、テーブルを少しずらしてソファとの間にスペースを作った。
そこへ荒船くんが持っている白いものをゆっくりと降ろす。覗き込めば四角く切り取られた内側には水が張っていて、中にいくつもの小さな穴が等間隔に並んでいるのが見えた。
「…フットバス?」
「そうです」
「これでリラックスしてもらおうと思って」
私の問いに頷いた彼らは、さあさあそれを使えと推してくる。靴下を脱いで、おそるおそる足元にセットされたフットバスへ爪先を入れると暖かいお湯に包まれた。
「あ、あったかい」
「熱くないですか?」
「うん、適温適温」
ちょうどいー、とほっこりしていれば出水くんがポケットから何かを取り出した。
「蒼さん、それで終わりじゃないんですよ。これを入れます」
じゃん!と出水くんが見せてくれたのは黒い小瓶。貼ってある白いラベルには、英語の表記で何かが書かれている。その横に描いてあるのは花の絵だろうか。
「なに?」
「アロマオイルです、荒船さんと選んできたんですよー」
「へー?」
「まあまあ、見ててください」
そう言った出水くんは、小瓶のキャップを外してぽたぽたと何滴かの液体をフットバスへと垂らした。それから荒船くんがフットバスの横についたスイッチを入れると、中からぼこぼこと空気が出てくる。水面で弾ける空気に混じって、ふわりと良い香りが鼻を擽った。
「あ、いいにおい」
「ラベンダーです。リラックス効果があるらしいんですが、どうですか」
「これすごいよ、きもちい」
ラベンダーの香りに癒され、ぼこぼこ出てくる泡にマッサージされる感じがする。しあわせー、とソファにくったりもたれかかれば、出水くんがにこにこしながら何かを差し出してくる。
「蒼さん、これもどうぞ」
「アイマスク?」
「ホットアイマスクです」
そう言って渡されたアイマスクは、確かに暖かくてずっしりしてた。じゃりじゃりと小豆か何かが入ってるぽい感触がするそれを装着してみれば、思わずおお…と嘆息が漏れた。
「いい感じですか?」
「いい感じすぎて寝ちゃいそう…なにこれ新手の拷問なの…」
陥落する…と呟けば堪え切れなかったような2人分の笑い声が聞こえた。
「学生がテスト期間だったから、蒼さんに結構負担掛かったでしょう?そのお礼ですよ」
「そっかあ…なんて良い弟子をもったんだ私は…」
とろとろした口調の私に、荒船くんが笑う声が聞こえる。それから足音が離れていって、戻って来たと思えばお腹の辺りにふわりと何かが掛けられた。たぶんあれだ、さっきまで使ってたブランケットだ。
「まって…これはねてしまう…」
「そのまま眠ってしまって構いませんよ」
「あ、昼飯はご一緒したいんですけど、蒼さんなんか予定とか入ってます?」
出水くんの声に、今日の予定を思い出す。今日は1日誰とも会う予定を入れていないから、一緒にご飯が食べられる。
「はいってない…ごいっしょする…」
「なら、12時には起こしますね」
「うー…」
「「おやすみなさい」」
「、おやすみ…」
2人の弟子の優しい声に、疲れた身体はあっという間に陥落してまどろみの中へと落ちていった。
癒される
2人の弟子の共謀
(お昼ご飯が…できているだと…)
(あ、おはようございます)
(午後も色々用意してますからね)
学生がテスト時期になったので、普段より多めに夜勤が回ってきていた。それに加えて昼間の大学やレポート、開発室での手伝いなどで睡眠時間が削れに削れて疲労困憊していた。
「いーい天気…」
というわけで、久し振りの休日を迎えた私は休みを目一杯堪能していた。具体的には日当たりの良い窓辺にソファをずらし、その上でお茶を飲みつつ本を読んでいた。休み最高。
「、ねむ…」
開け放たれた窓からは、カーテンを揺らしながら涼しい風が入ってくる。日差しも心地よくて、読みかけの本に栞を挟んでテーブルに置く。ちょっとだけお昼寝しようかなあ、とブランケットを取りに立ち上がった。
ピンポーン
「ん…?」
来客を告げるチャイムに玄関へ向かう。今日は特に誰とも約束してないけどと思いながら扉を開ければ、そこには見知った弟子たちの姿があった。
「あ、蒼さんおはようございまーす」
「おはようございます」
「…おはよう?」
にこにこした出水くんと、大きな箱を抱えている荒船くん。土曜日の朝から何の用だと首を傾げれば、出水くんがにこにこしながら口を開く。
「蒼さんお疲れだと思って、おれたちが癒しに来ました」
「…え?」
「入れてもらっていいですか」
「あ、うんどうぞ?」
なんかよくわからないまま、荒船くんに押されるように承諾してしまった。玄関に入って来た2人はさっさと靴を脱いで上がり込んでくる。
「ごめん、今日出せるものがなんにもないんだけど…」
買い物は午後の予定で…と呟けば、出水くんはにこりと笑って言った。
「おれたちが癒しに来たんですからおかまいなく!」
「お菓子とかは買ってきたんで」
そう言った荒船くんが、出水くんが持っている白いビニール袋に視線を送る。がさりと鳴った半透明の袋の中には、私の好きなお菓子なんかがうっすら透けて見えた。
「キッチンお借りしても良いですか?」
「あ、うん。好きに使っていいよ」
出水くんに背を押され、荒船くんに返事をしながらリビングへと戻ってくる。私がまったりしていた痕跡を見つけた出水くんが、窓際のソファまで私を押した。
「蒼さんはこっちで待機しててくださいねー」
「了解…」
とすん、とソファに座らされて、戻っていく出水くんの背中を見送る。キッチンへ入った荒船くんは、しゃがんでいるのか見えないところでごそごそと何かしているようだ。
「いやしに、か…」
何するんだろう、と思いながらとりあえずは読みかけの本に手を伸ばした。
◆
「蒼さん、お待たせしました」
「ん?」
荒船くんの声に振り向けば、何か大きな白いものを抱えた荒船くんが立っていた。さっきの箱の中身かなあ、と考えながら本に栞を挟む。
「ちょっと失礼しますねー」
荒船くんの後ろからやってきた出水くんが、テーブルを少しずらしてソファとの間にスペースを作った。
そこへ荒船くんが持っている白いものをゆっくりと降ろす。覗き込めば四角く切り取られた内側には水が張っていて、中にいくつもの小さな穴が等間隔に並んでいるのが見えた。
「…フットバス?」
「そうです」
「これでリラックスしてもらおうと思って」
私の問いに頷いた彼らは、さあさあそれを使えと推してくる。靴下を脱いで、おそるおそる足元にセットされたフットバスへ爪先を入れると暖かいお湯に包まれた。
「あ、あったかい」
「熱くないですか?」
「うん、適温適温」
ちょうどいー、とほっこりしていれば出水くんがポケットから何かを取り出した。
「蒼さん、それで終わりじゃないんですよ。これを入れます」
じゃん!と出水くんが見せてくれたのは黒い小瓶。貼ってある白いラベルには、英語の表記で何かが書かれている。その横に描いてあるのは花の絵だろうか。
「なに?」
「アロマオイルです、荒船さんと選んできたんですよー」
「へー?」
「まあまあ、見ててください」
そう言った出水くんは、小瓶のキャップを外してぽたぽたと何滴かの液体をフットバスへと垂らした。それから荒船くんがフットバスの横についたスイッチを入れると、中からぼこぼこと空気が出てくる。水面で弾ける空気に混じって、ふわりと良い香りが鼻を擽った。
「あ、いいにおい」
「ラベンダーです。リラックス効果があるらしいんですが、どうですか」
「これすごいよ、きもちい」
ラベンダーの香りに癒され、ぼこぼこ出てくる泡にマッサージされる感じがする。しあわせー、とソファにくったりもたれかかれば、出水くんがにこにこしながら何かを差し出してくる。
「蒼さん、これもどうぞ」
「アイマスク?」
「ホットアイマスクです」
そう言って渡されたアイマスクは、確かに暖かくてずっしりしてた。じゃりじゃりと小豆か何かが入ってるぽい感触がするそれを装着してみれば、思わずおお…と嘆息が漏れた。
「いい感じですか?」
「いい感じすぎて寝ちゃいそう…なにこれ新手の拷問なの…」
陥落する…と呟けば堪え切れなかったような2人分の笑い声が聞こえた。
「学生がテスト期間だったから、蒼さんに結構負担掛かったでしょう?そのお礼ですよ」
「そっかあ…なんて良い弟子をもったんだ私は…」
とろとろした口調の私に、荒船くんが笑う声が聞こえる。それから足音が離れていって、戻って来たと思えばお腹の辺りにふわりと何かが掛けられた。たぶんあれだ、さっきまで使ってたブランケットだ。
「まって…これはねてしまう…」
「そのまま眠ってしまって構いませんよ」
「あ、昼飯はご一緒したいんですけど、蒼さんなんか予定とか入ってます?」
出水くんの声に、今日の予定を思い出す。今日は1日誰とも会う予定を入れていないから、一緒にご飯が食べられる。
「はいってない…ごいっしょする…」
「なら、12時には起こしますね」
「うー…」
「「おやすみなさい」」
「、おやすみ…」
2人の弟子の優しい声に、疲れた身体はあっという間に陥落してまどろみの中へと落ちていった。
癒される
2人の弟子の共謀
(お昼ご飯が…できているだと…)
(あ、おはようございます)
(午後も色々用意してますからね)