荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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当真くんと真夜中の訓練
ドンッ、と身体に音を響かせて発射された弾丸は、500m先にある的に叩き込まれた。
「んー…当たったけど…」
スコープを覗いて見るが、弾痕は真ん中よりも右に少しずれたところにあった。おしい。
もういっかい、とイーグレットを構え直して息を吐く。それからスコープをもう1度覗いて狙いを定め、息を止めてゆっくりと引き金を引いた。
ドンッ
「蒼さん?」
「わあっ!?」
突然真後ろから掛けられた声にびっくりしてイーグレットを取り落としてしまった。ガシャッと不満げな音を立てたイーグレットを慌てて拾い上げて後ろを向けば、隊服姿の当真くんが私を見下ろしていた。
「び、っくりした…!」
「そりゃすんません、蒼さんなら気付いてるかと思ってました」
「誰も居ないと思ったんだもの…」
私がげんなりしながら言う言葉に、当真くんがからからと笑った。それから隣のブースに入って、キンッと出現させたイーグレットを台の上に置いた。
「いつもこんな遅くに練習してんですか?」
「ううん。いつもは平日の昼間にやってるんだけど、今日はたまたま」
「距離は?」
「いま500mなんだけど…」
スコープを覗いて、当真くんに声を掛けられる直前の弾痕を見るが、やっぱり真ん中より少し外れた場所にあって肩を落とした。
「当たらないなー…!ねえ当真くん、いま時間ある?」
スコープから目を離して当真くんの方を見れば、彼は同じく500mに設定した的を狙いながら軽い口調で言った。
「待機任務中ですし、超時間ありますよー」
それから静かに引き金を引いて、ドンッと響いた音の直後に的の中心に穴が開く。うっわ、さすが。
「ご教授願いたい…」
「喜んで」
◆
イーグレットを構えて撃ち続ける私を、後ろから様子を見ていた当真くんがのんびりした口調でアドバイスをくれる。
「肩の張りすぎだと思いますよ」
「そっか」
とん、と長い指先で左肩の1点を突かれ、そこに無意識に力が入っていたことに気付かされる。くるっと肩を回して力を抜いて、もう1度イーグレットを構えた。
「…」
スコープ越しに的の中心を狙って、引き金を引く。ドン、と発射された弾は中心のほんの少し外周に着弾した。
「!近くなった」
「ちょいと外れましたけど、その調子ならすぐ当たるようになると思いますよー」
「ありがとう!」
当真くんにお礼を言ってそれから少し撃ち続ければ、じわりじわりと精度も上がって来た。途中で当真くんがふらっと立ち上がったのは見えたけど、その場でしばらく的を撃ち続けていた。
「…よし、これで10発」
当真くんのお蔭で、ずいぶん精度が上がった。ど真ん中ではないにしろ、的の中心に10発当たったので距離を長くしようとイーグレットを立て掛ける。固まった身体をほぐしつつぽちぽちと画面を触っていたら、いつのまにか戻ってきていた当真くんが目の前にしゃがみこんだ。
「蒼さん、ちょっと休憩しません?」
「あ、するする」
「コーヒー買ってきたんでどーぞ」
「わーいありがと」
ほわりと湯気が立つ紙コップを受け取って、すぐ後ろにある長椅子に2人並んで座り込んだ。曲げ続けていた足を伸ばして、もらったコーヒーに口を付けた。
「んん、おいしい…」
「夜中のコーヒーって働いてる感バリバリっすよね」
「ねー」
ちまちまコーヒーを飲みつつ、広い訓練場を見渡しながらお喋りする。疲れたような気がする手足をぷらぷらさせていたら、当真くんが「あ、そうだ」とこちらを見た。
「蒼さん、狙撃手の合同訓練とか出ないんですか?」
「出てみたいとは思ってるけど、許可貰えるかなー」
狙撃手の合同訓練だから春秋さんは勿論の事、城戸さんや忍田さんあたりにも聞いてみないといけない。
「蒼さんならすぐ許可貰えそうですけど」
「だといいなー。明日聞いてみるよ」
そうしたら、いつもやってる面白そうな訓練に参加する事が出来る。発砲音無しの隠密訓練とか、やってみたいのは色々あるのだ。
「対人の訓練、出られるなら教えてくださいね。俺が1番に蒼さん撃ちますんで」
「それ本気で狙うつもりでしょ」
にまりと笑う当真くんに苦笑する。狙撃手1位に狙う宣言されたら、その訓練中は気が気じゃないだろう。いや、良い訓練になると思うけど。
「せっかく蒼さん撃てるってのに、みすみす逃す訳無いじゃないですか」
「く、1発くらい当ててやる」
「おー、やってみてください」
余裕の笑みでそう言われて、むむっと口を尖らせる。スナイパー初心者の私にとっては、当真くんは高みの存在だ。それでもこっそり練習して驚かせるくらいはしたいと考えていたら、訓練場に設置してあるスピーカーから冬島さんの声が響いた。
『当真ー、結構門が開いたから応援に来てくれってよー』
「お、了解了解ー」
出動要請の連絡に、当真くんがよいせーと腰を上げた。私はもうちょっと頑張ろうとごくごくとコーヒーを飲み込んで、空になったカップをぽいっとゴミ箱に放り投げた。
「当真くんいってらっしゃい、気をつけてねー」
「ハーイ」
軽く手を振って出て行く当真くんを見送って、ブースに立て掛けていたイーグレットの元へ向かう。
「当真くんがいない内に上達しなくては」
絶対に一泡吹かせてやる、と気合を入れ直してイーグレットを手に取り、ブースへ入って500mの的を設定する。出現した的を確認して、イーグレットのスコープを覗き込んで深く息を吐く。
「肩の力を抜いて、余計な力は入れない…」
照準を合わせて撃ちだした弾丸は、綺麗に的の中心へと叩き込まれた。
真夜中の射撃訓練
当真先生と長距離狙撃
(お、お、当たる当たる)
狙撃手訓練面白そうですよね
ポジションごとの訓練見たいなあ
ドンッ、と身体に音を響かせて発射された弾丸は、500m先にある的に叩き込まれた。
「んー…当たったけど…」
スコープを覗いて見るが、弾痕は真ん中よりも右に少しずれたところにあった。おしい。
もういっかい、とイーグレットを構え直して息を吐く。それからスコープをもう1度覗いて狙いを定め、息を止めてゆっくりと引き金を引いた。
ドンッ
「蒼さん?」
「わあっ!?」
突然真後ろから掛けられた声にびっくりしてイーグレットを取り落としてしまった。ガシャッと不満げな音を立てたイーグレットを慌てて拾い上げて後ろを向けば、隊服姿の当真くんが私を見下ろしていた。
「び、っくりした…!」
「そりゃすんません、蒼さんなら気付いてるかと思ってました」
「誰も居ないと思ったんだもの…」
私がげんなりしながら言う言葉に、当真くんがからからと笑った。それから隣のブースに入って、キンッと出現させたイーグレットを台の上に置いた。
「いつもこんな遅くに練習してんですか?」
「ううん。いつもは平日の昼間にやってるんだけど、今日はたまたま」
「距離は?」
「いま500mなんだけど…」
スコープを覗いて、当真くんに声を掛けられる直前の弾痕を見るが、やっぱり真ん中より少し外れた場所にあって肩を落とした。
「当たらないなー…!ねえ当真くん、いま時間ある?」
スコープから目を離して当真くんの方を見れば、彼は同じく500mに設定した的を狙いながら軽い口調で言った。
「待機任務中ですし、超時間ありますよー」
それから静かに引き金を引いて、ドンッと響いた音の直後に的の中心に穴が開く。うっわ、さすが。
「ご教授願いたい…」
「喜んで」
◆
イーグレットを構えて撃ち続ける私を、後ろから様子を見ていた当真くんがのんびりした口調でアドバイスをくれる。
「肩の張りすぎだと思いますよ」
「そっか」
とん、と長い指先で左肩の1点を突かれ、そこに無意識に力が入っていたことに気付かされる。くるっと肩を回して力を抜いて、もう1度イーグレットを構えた。
「…」
スコープ越しに的の中心を狙って、引き金を引く。ドン、と発射された弾は中心のほんの少し外周に着弾した。
「!近くなった」
「ちょいと外れましたけど、その調子ならすぐ当たるようになると思いますよー」
「ありがとう!」
当真くんにお礼を言ってそれから少し撃ち続ければ、じわりじわりと精度も上がって来た。途中で当真くんがふらっと立ち上がったのは見えたけど、その場でしばらく的を撃ち続けていた。
「…よし、これで10発」
当真くんのお蔭で、ずいぶん精度が上がった。ど真ん中ではないにしろ、的の中心に10発当たったので距離を長くしようとイーグレットを立て掛ける。固まった身体をほぐしつつぽちぽちと画面を触っていたら、いつのまにか戻ってきていた当真くんが目の前にしゃがみこんだ。
「蒼さん、ちょっと休憩しません?」
「あ、するする」
「コーヒー買ってきたんでどーぞ」
「わーいありがと」
ほわりと湯気が立つ紙コップを受け取って、すぐ後ろにある長椅子に2人並んで座り込んだ。曲げ続けていた足を伸ばして、もらったコーヒーに口を付けた。
「んん、おいしい…」
「夜中のコーヒーって働いてる感バリバリっすよね」
「ねー」
ちまちまコーヒーを飲みつつ、広い訓練場を見渡しながらお喋りする。疲れたような気がする手足をぷらぷらさせていたら、当真くんが「あ、そうだ」とこちらを見た。
「蒼さん、狙撃手の合同訓練とか出ないんですか?」
「出てみたいとは思ってるけど、許可貰えるかなー」
狙撃手の合同訓練だから春秋さんは勿論の事、城戸さんや忍田さんあたりにも聞いてみないといけない。
「蒼さんならすぐ許可貰えそうですけど」
「だといいなー。明日聞いてみるよ」
そうしたら、いつもやってる面白そうな訓練に参加する事が出来る。発砲音無しの隠密訓練とか、やってみたいのは色々あるのだ。
「対人の訓練、出られるなら教えてくださいね。俺が1番に蒼さん撃ちますんで」
「それ本気で狙うつもりでしょ」
にまりと笑う当真くんに苦笑する。狙撃手1位に狙う宣言されたら、その訓練中は気が気じゃないだろう。いや、良い訓練になると思うけど。
「せっかく蒼さん撃てるってのに、みすみす逃す訳無いじゃないですか」
「く、1発くらい当ててやる」
「おー、やってみてください」
余裕の笑みでそう言われて、むむっと口を尖らせる。スナイパー初心者の私にとっては、当真くんは高みの存在だ。それでもこっそり練習して驚かせるくらいはしたいと考えていたら、訓練場に設置してあるスピーカーから冬島さんの声が響いた。
『当真ー、結構門が開いたから応援に来てくれってよー』
「お、了解了解ー」
出動要請の連絡に、当真くんがよいせーと腰を上げた。私はもうちょっと頑張ろうとごくごくとコーヒーを飲み込んで、空になったカップをぽいっとゴミ箱に放り投げた。
「当真くんいってらっしゃい、気をつけてねー」
「ハーイ」
軽く手を振って出て行く当真くんを見送って、ブースに立て掛けていたイーグレットの元へ向かう。
「当真くんがいない内に上達しなくては」
絶対に一泡吹かせてやる、と気合を入れ直してイーグレットを手に取り、ブースへ入って500mの的を設定する。出現した的を確認して、イーグレットのスコープを覗き込んで深く息を吐く。
「肩の力を抜いて、余計な力は入れない…」
照準を合わせて撃ちだした弾丸は、綺麗に的の中心へと叩き込まれた。
真夜中の射撃訓練
当真先生と長距離狙撃
(お、お、当たる当たる)
狙撃手訓練面白そうですよね
ポジションごとの訓練見たいなあ