荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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出水くんが弟子入りする
「蒼ー」
「はあいー」
お昼時、ボーダーの食堂。
本日のお昼・親子丼を食べ終わってまったりしていると、後ろから名前を呼ばれた。返事をしながら振り向けば、2つ年上の諏訪さんがこちらへ歩いてくるところだった。
「あれ、諏訪さんどうしました?」
「いま時間あるか?今日入ったC級にすげえのいるぜ」
「すぐいきます!」
訓練ブースを監視している諏訪さんが、私だけに聞こえるように小さく「すごいの」と称したC級に興味を引かれて席を立った。ささっとお盆を片付けて、待っていてくれた諏訪さんと食堂の出口に向かって歩き出した。
◆
「たーらいま」
「おかえんなさい。いらっしゃい蒼」
「堤さんこんにちは。お邪魔します」
訓練ブースの監視室。少し薄暗いモニターだらけのその部屋の、1番奥にある椅子に堤さんが座っていた。
「堤、あいつどこいる?」
「3番ブースに入ったところです」
「じゃあ蒼そこ座れ、そっちのが見やすい」
「了解」
諏訪さんが指差したモニターの近くの椅子に座り込む。後ろからのアングルなので、後ろ姿しか見えない。色素の薄い髪色の男の子がブースに入ってくる。
「武器は何使ってるんです?」
「アステロイド」
「お、射手ですか?」
「残念、銃手だよ。拳銃型使ってる」
「なんだー…」
諏訪さんの言った単語に射手か!とテンションが上がり、続いて苦笑気味に言われた堤さんの言葉に少し気落ちしながらもモニターを見続ける。
「まあ見てろよ」
「諏訪さん、バムスター出します」
「おう」
堤さんが告げ、諏訪さんが了承すると仮想ネイバーの出現ボタンを押した。直後、モニターの中に立つ彼の目の前にびゅわりとバンダーが構築される。茶髪の彼が拳銃型トリガーを起動し、構えて――…
「…うっわ」
「な、すげえだろ」
諏訪さんがすごいと言った理由がわかった。この子、すごいトリオン量だ。構えた拳銃型トリガーから発射された1発1発のアステロイドの弾丸が大きくて高威力だ。
そう柔らかくもないはずの装甲を削りに削られ、最終的に弱点の目を打ち抜かれて倒れ伏したバムスターを背に、彼がぐっと拳を上げて喜びをアピールした。顔が見えた。
「…諏訪さん」
「あ?」
この子の名前は出水くん、だよな。とモニターに映る彼の情報を記憶の山から引っ張り出して諏訪さんに問いかける。
「この子達のトリガー解説って誰がしたかわかります?」
「ああ、スナイパーが東さん、銃手が俺たち、攻撃手が太刀川…射手はお前含めて出払ってたんで口頭説明だけだな」
「そうなんですか」
銃手もいいけれど、攻撃手や狙撃手を選ばなかったということは中距離でガンガン撃ちたいタイプなんだろうか。派手にやりたいとか、格好良さそうだからという理由で拳銃型のトリガーを使っている人もいるし。頭の回転が良い子なら、射手をやってみてもいいと思うけどなあ。射手仲間にならないかなあ。
「んん…」
「なんかイイコト思いついたか?」
「射手の格好良さアピールしてきたいです」
射手について口頭でしか知らないのなら、もしかしたら転向してくれるかもしれないしと軽い気持ちで諏訪さんに零せば、私の横で堤さんが頷く。
「ああ、なら2番入っていいよ。例の彼は3番見てるし」
「やった!堤さんありがとうございます!」
ブースが訓練生たちに裂かれることが多い為、1番・2番ブースだけは基本的に正隊員が使えるようにと常時確保されている。そのうちの1つに入る許可を得たのでささっと監視室から飛び出した。
◆
『蒼、敵は何がいい?』
『派手にやるんなら片っ端からでいいんじゃね?』
『なんでもいいですよー』
『了解。じゃあモールモッドから出そうか』
途中で換装しながら訓練室へ向かう。
しゅん、と扉が開いた先では入りたてのC級達がばらけてブースの周りに集まっていた。お目当ての出水くんは、相変わらず3番ブースの前に居る。中で友達らしき子が弧月を片手にバムスターと戦っている。
『よし、お願いしますね』
『おう、任せとけ』
出水くんのいる3番ブースの前を抜け、2番ブースの扉を開く。いきなりの正隊員の登場に、何人かのC級隊員がこちらを興味深そうに見ているがそこはスルーだ。
「さ、いっちょ頑張りましょ」
ブースの中心より少し奥まで進み、くるりと振り向く。軽く手を上げれば、それを合図と確認したモニター室の諏訪さん達が仮想トリオン兵を送り出してくる。
『さあ頑張れ』
笑いを含んだ諏訪さんの声に疑問符が浮かびかけるが、目の前に現れる光景に疑問符が吹っ飛んで行った。確かに派手にやるって言ってたけど、初っ端からモールモッド5体とは。ざわりとC級達の視線が一斉にこちらに向いたのを感じる。
「ホントに派手になるな…アステロイド」
出現したモールモッドの位置を手早く確認し、最大出力のトリオンキューブを右手に生成。とりあえずは手前のやつから、と移動と共にばらけさせたアステロイドを流れるように撃ち出した。
◆
「今日の蒼さん、なんか機嫌いいっすね」
「お、わかる?」
出水くんと2人、警戒区域の屋根の上。
太刀川隊と合同任務中、近界民が出るたびに慶が飛んで行って一掃してしまうので暇をしていた。出番がない。
「いまの慶、ボーダーに入りたての出水くんの興味を引こうとしてた私を見ている感じだなって」
「あー、あんな無双っぷりでしたもんね」
あの時は結局モールモッドだけでは飽き足らず、一通りのネイバーを相手にして、アステロイドからバイパー、ハウンドにトマホークなんかの合成弾まで披露した。
当初の目的を忘れるくらい私自身も楽しんで、ブースから出たら出水くんがきらきらした目でこちらを見ていたのだ。
「でもね、あの時は弟子にしてくれって言われるとは思ってなかったんだ」
「え、そうだったんすか?」
「私としては、射手仲間が増えたらいいなくらいだったの。いやー嬉しい誤算だった」
私と会ったそのすぐ後に拳銃型のトリガーを手放して射手へ転向した出水くんは、そのままの足で弟子にしてほしいと私の所へやって来たのだ。もう快諾だった。
「あの時は荒船くんもいなかったし、出水くん強くするの楽しそうだと思って快諾したんだ」
強くなってくれて嬉しい限りですよ、とにんまり笑えば出水くんも同じようににんまりと笑った。
「おれは正直、あの時蒼さんに一目惚れしたようなもんでしたけど」
「あ、それすごい嬉しい」
出水くんと2人で笑い合っていれば、鳴り響くサイレンと共に出現した黒い門。屋根から立ち上がって見回せば、少し離れた慶の近くにもいくつか門が開いている。
「これは慶さんだけじゃ足りないね」
「うっし、頑張りましょっか」
「じゃあそっちは弟子に任せた!」
「了解師匠!」
頼もしい出水くんに背中を任せ、正面から現れるトリオン兵に叩き込むためのトリオンキューブを生成した。
出水くんが弟子入りしたお話
両者一目惚れ!
(これ終わったら荒船くん誘ってご飯いこっか)
(お、いいっすね)
何回かリクエストをいただいていたお話でした。
荒船くんより出水くんの方が先に入隊してましたね!
「蒼ー」
「はあいー」
お昼時、ボーダーの食堂。
本日のお昼・親子丼を食べ終わってまったりしていると、後ろから名前を呼ばれた。返事をしながら振り向けば、2つ年上の諏訪さんがこちらへ歩いてくるところだった。
「あれ、諏訪さんどうしました?」
「いま時間あるか?今日入ったC級にすげえのいるぜ」
「すぐいきます!」
訓練ブースを監視している諏訪さんが、私だけに聞こえるように小さく「すごいの」と称したC級に興味を引かれて席を立った。ささっとお盆を片付けて、待っていてくれた諏訪さんと食堂の出口に向かって歩き出した。
◆
「たーらいま」
「おかえんなさい。いらっしゃい蒼」
「堤さんこんにちは。お邪魔します」
訓練ブースの監視室。少し薄暗いモニターだらけのその部屋の、1番奥にある椅子に堤さんが座っていた。
「堤、あいつどこいる?」
「3番ブースに入ったところです」
「じゃあ蒼そこ座れ、そっちのが見やすい」
「了解」
諏訪さんが指差したモニターの近くの椅子に座り込む。後ろからのアングルなので、後ろ姿しか見えない。色素の薄い髪色の男の子がブースに入ってくる。
「武器は何使ってるんです?」
「アステロイド」
「お、射手ですか?」
「残念、銃手だよ。拳銃型使ってる」
「なんだー…」
諏訪さんの言った単語に射手か!とテンションが上がり、続いて苦笑気味に言われた堤さんの言葉に少し気落ちしながらもモニターを見続ける。
「まあ見てろよ」
「諏訪さん、バムスター出します」
「おう」
堤さんが告げ、諏訪さんが了承すると仮想ネイバーの出現ボタンを押した。直後、モニターの中に立つ彼の目の前にびゅわりとバンダーが構築される。茶髪の彼が拳銃型トリガーを起動し、構えて――…
「…うっわ」
「な、すげえだろ」
諏訪さんがすごいと言った理由がわかった。この子、すごいトリオン量だ。構えた拳銃型トリガーから発射された1発1発のアステロイドの弾丸が大きくて高威力だ。
そう柔らかくもないはずの装甲を削りに削られ、最終的に弱点の目を打ち抜かれて倒れ伏したバムスターを背に、彼がぐっと拳を上げて喜びをアピールした。顔が見えた。
「…諏訪さん」
「あ?」
この子の名前は出水くん、だよな。とモニターに映る彼の情報を記憶の山から引っ張り出して諏訪さんに問いかける。
「この子達のトリガー解説って誰がしたかわかります?」
「ああ、スナイパーが東さん、銃手が俺たち、攻撃手が太刀川…射手はお前含めて出払ってたんで口頭説明だけだな」
「そうなんですか」
銃手もいいけれど、攻撃手や狙撃手を選ばなかったということは中距離でガンガン撃ちたいタイプなんだろうか。派手にやりたいとか、格好良さそうだからという理由で拳銃型のトリガーを使っている人もいるし。頭の回転が良い子なら、射手をやってみてもいいと思うけどなあ。射手仲間にならないかなあ。
「んん…」
「なんかイイコト思いついたか?」
「射手の格好良さアピールしてきたいです」
射手について口頭でしか知らないのなら、もしかしたら転向してくれるかもしれないしと軽い気持ちで諏訪さんに零せば、私の横で堤さんが頷く。
「ああ、なら2番入っていいよ。例の彼は3番見てるし」
「やった!堤さんありがとうございます!」
ブースが訓練生たちに裂かれることが多い為、1番・2番ブースだけは基本的に正隊員が使えるようにと常時確保されている。そのうちの1つに入る許可を得たのでささっと監視室から飛び出した。
◆
『蒼、敵は何がいい?』
『派手にやるんなら片っ端からでいいんじゃね?』
『なんでもいいですよー』
『了解。じゃあモールモッドから出そうか』
途中で換装しながら訓練室へ向かう。
しゅん、と扉が開いた先では入りたてのC級達がばらけてブースの周りに集まっていた。お目当ての出水くんは、相変わらず3番ブースの前に居る。中で友達らしき子が弧月を片手にバムスターと戦っている。
『よし、お願いしますね』
『おう、任せとけ』
出水くんのいる3番ブースの前を抜け、2番ブースの扉を開く。いきなりの正隊員の登場に、何人かのC級隊員がこちらを興味深そうに見ているがそこはスルーだ。
「さ、いっちょ頑張りましょ」
ブースの中心より少し奥まで進み、くるりと振り向く。軽く手を上げれば、それを合図と確認したモニター室の諏訪さん達が仮想トリオン兵を送り出してくる。
『さあ頑張れ』
笑いを含んだ諏訪さんの声に疑問符が浮かびかけるが、目の前に現れる光景に疑問符が吹っ飛んで行った。確かに派手にやるって言ってたけど、初っ端からモールモッド5体とは。ざわりとC級達の視線が一斉にこちらに向いたのを感じる。
「ホントに派手になるな…アステロイド」
出現したモールモッドの位置を手早く確認し、最大出力のトリオンキューブを右手に生成。とりあえずは手前のやつから、と移動と共にばらけさせたアステロイドを流れるように撃ち出した。
◆
「今日の蒼さん、なんか機嫌いいっすね」
「お、わかる?」
出水くんと2人、警戒区域の屋根の上。
太刀川隊と合同任務中、近界民が出るたびに慶が飛んで行って一掃してしまうので暇をしていた。出番がない。
「いまの慶、ボーダーに入りたての出水くんの興味を引こうとしてた私を見ている感じだなって」
「あー、あんな無双っぷりでしたもんね」
あの時は結局モールモッドだけでは飽き足らず、一通りのネイバーを相手にして、アステロイドからバイパー、ハウンドにトマホークなんかの合成弾まで披露した。
当初の目的を忘れるくらい私自身も楽しんで、ブースから出たら出水くんがきらきらした目でこちらを見ていたのだ。
「でもね、あの時は弟子にしてくれって言われるとは思ってなかったんだ」
「え、そうだったんすか?」
「私としては、射手仲間が増えたらいいなくらいだったの。いやー嬉しい誤算だった」
私と会ったそのすぐ後に拳銃型のトリガーを手放して射手へ転向した出水くんは、そのままの足で弟子にしてほしいと私の所へやって来たのだ。もう快諾だった。
「あの時は荒船くんもいなかったし、出水くん強くするの楽しそうだと思って快諾したんだ」
強くなってくれて嬉しい限りですよ、とにんまり笑えば出水くんも同じようににんまりと笑った。
「おれは正直、あの時蒼さんに一目惚れしたようなもんでしたけど」
「あ、それすごい嬉しい」
出水くんと2人で笑い合っていれば、鳴り響くサイレンと共に出現した黒い門。屋根から立ち上がって見回せば、少し離れた慶の近くにもいくつか門が開いている。
「これは慶さんだけじゃ足りないね」
「うっし、頑張りましょっか」
「じゃあそっちは弟子に任せた!」
「了解師匠!」
頼もしい出水くんに背中を任せ、正面から現れるトリオン兵に叩き込むためのトリオンキューブを生成した。
出水くんが弟子入りしたお話
両者一目惚れ!
(これ終わったら荒船くん誘ってご飯いこっか)
(お、いいっすね)
何回かリクエストをいただいていたお話でした。
荒船くんより出水くんの方が先に入隊してましたね!