荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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国近ちゃんと女子会
「おー、さすが国近ちゃん」
「ありがとうございます~」
ただいま太刀川隊の隊室で、ここのオペレーターの国近ちゃんと2人きり。「たまにはちょっとお喋りしましょうよ~」という国近ちゃんに快諾し、まだ任務まで時間があるというので太刀川隊の隊室にお邪魔しております。
「私、これうまく出来ないんだ。どうしてもはみだしちゃって」
「ふふ、慣れれば出来ますよ~。蒼さん器用ですもん」
テーブルの上にお菓子や飲み物を並べているものの、今は2人ともそれらに手を伸ばしてはいない。
私が揃って伸ばした両手は、国近ちゃんの細くて白い指たちが支えているマニキュアによって爪の色を変えられていた。
「こういうの、たまに塗りたくなるよね」
「ですよねー」
さすがに学校じゃ塗れませんけど、と呟く国近ちゃんの目はとても真剣だ。丁寧に塗られていく私の爪たちは、彼女の髪の色と同じ色をしている。派手すぎないピンク色。
「ところで蒼さん~」
「はあいー」
不注意で剥がないように気を付けなくちゃ、と考えていればほんわりした国近ちゃんの声が響く。それに返事をすれば、国近ちゃんは私の爪を塗りながらぽつぽつと呟いた。
「前から聞きたかったんですけど~」
「なになに?」
続きを促せば、ふっと視線を上げた彼女と目が合う。にっこり笑って首を傾げた国近ちゃんの口から、予想していなかった一言が飛び出した。
「蒼さんは、好きな人とかいないんですか?」
「…うん?」
思わぬ言葉に聞き返すも、国近ちゃんは依然にこにこ笑ってもう一度重要な言葉を口にした。
「好きな人ですよ~」
「うーん、今はいないかな」
私の返答に、ええーと不満げに声を上げた国近ちゃんに苦笑する。そうだった、女子に恋愛トークはつきものだった。
「蒼さん、荒船くんと仲がいいじゃないですか。荒船くんはどうなんです~?」
「好きだけど、ライクの方の好きかなあ。荒船くんの方なんかは、私のこと頼りない師匠くらいにしか思ってないんじゃない?」
どっちかといえば恋人というよりも保護者のような感じだし、と胸中で呟く。実際、荒船くんは同い年から後輩まで面倒見が良い。
「そうかなあ。荒船くん、蒼さんに対してだけすごく過保護だと思うんですけど」
「ああ、過保護すぎるなとは思うよ」
国近ちゃんの言葉に頷けば、びしっと指差される。
「そこですよ!好きな子には過保護になっちゃうと思いません?」
「そうかなあ…荒船くんは私なんかより、もっと良い子好きになりそうだけど。加賀美ちゃんとか同い年だし、性格良いし」
「かがみんか~」
そこがいたか~、と国近ちゃんが空気の抜けるような声で呟いた。それに笑えば、国近ちゃんがクッキーをざくりと齧って気を取り直すように口を開く。
「うーん、話しかえましょ。蒼さん、もてますよねー」
「それは国近ちゃんもでしょー?美人さんなんだし」
「えへへ、ありがとうございます」
でもまあ、この仕事に身を置いている限り任務だって遠征だってある。危険と隣り合わせの仕事なのだ、いつ死んでしまうか、いなくなってしまうかなんてわからない。親しい人を失くしたくないから、だから、恋愛はしないと決めた。両親を亡くしてから、私は酷く怖がりになってしまった。
「しばらくは、ひとりでいいかな」
「…そっかあ」
聡い国近ちゃんは、自嘲気味につぶやいた私の言葉の陰に隠れた真意を拾ってくれたらしい。寂しそうに眉を下げて頷いた。
「国近ちゃんは?」
「私も、いまのところはいないですね~」
ふふ、とふたりで笑う。
私の爪は綺麗に塗られ、国近ちゃんのマニキュアは瓶の中へ戻って行った。そして幾つかのマニキュアが並べてある中へとピンク色の小瓶を戻しながら言う。
「うちの隊ではそういうのないんですけど、風間隊とか二宮隊とかだとみんなしっかりしてるじゃないですか」
「うん、大人っぽいって感じがするよね」
「蒼さんもそう思うでしょ?だから、学校で会う男の子たちってなんか幼く見えちゃうんですよね~」
「あ、それはわかる」
なんか違うって感じがするよねえ、と2人で頷き合う。
年下なんかでも、歌川くんとか辻くんなんかは大人びてる代表だと思うし。
「それに比べてうちの隊は、そういうの本っ当にないんですよね~」
「隊長でさえ、きりっとしてるのあんまり見ないからねえ」
「一応ボーダートップの隊なんですけどねえ」
脳裏に描いた太刀川隊に、2人で生ぬるい目をしつつ乾いた笑いを零す。戦闘以外はいまいちなここの隊長は、下手をすると1番(頭が)幼く見えるかもしれない。
軽く頭を振って脳裏に浮かぶ慶を追いだし、国近ちゃんに聞いた。
「話題を変えよう。国近ちゃん、ボーダーの中では誰が好みに近い?」
「そうですね~…」
爪もきれいに乾いたし、お茶を飲みつつお菓子をつまみながらお喋りしていれば、しゅんと作戦室の扉が開いて慶と出水くんがやってきた。
「あ、蒼さんだ」
「なんだ、来てたのか」
「こんにちは。お邪魔してまーす」
歩いてくる2人に対して挨拶し、国近ちゃんと目を合わせる。男子が来たからには、女子会はここで終了だ。
「今日はおしまいですね~」
「この続きはまた今度だねえ」
散らかしてしまったお菓子たちを片付けて、忘れ物がないか確認する。太刀川隊はこのあとすぐに防衛任務が入っているから、邪魔にならない内にお暇しよう。
「蒼さん、明日はお時間ありますか?」
「明日?任務は夜間だし、それまでなら空いてるよ。多分ラウンジにいると思う」
「じゃあ~、夕方ごろに遊びに行ってもいいですか?」
「いいよ、もちろんおいで!」
国近ちゃんが言う言葉に、ぐっと親指を立てて即答する。国近ちゃんが来るなら、彼女の好きなお菓子や飲み物でも用意しておこう。
「じゃあ、明日連絡待ってるね」
「学校終わったらすぐ行きますよ~」
「了解、お邪魔しました」
にへーと笑う彼女と別れて、違うスペースのソファに座っている慶たちにも顔を出す。そこでソファいっぱいに伸びた慶を見て、先程国近ちゃんと話していた内容が頭を過ぎて苦笑いしてしまった。
「おふたりさん、お邪魔しましたー」
「おー」
「またいつでもどーぞ」
2人に挨拶して、太刀川隊の作戦室の扉を開けた。扉から出た後に振り返って、こちらに手を振る国近ちゃんに手を振り返す。
それから、明日の用意をすべく買い物に出かけようと歩き出した。
国近ちゃんと女子会
in太刀川隊作戦室!
(ドーナツ持ってきました~)
(わ、おいしそう!)
「おー、さすが国近ちゃん」
「ありがとうございます~」
ただいま太刀川隊の隊室で、ここのオペレーターの国近ちゃんと2人きり。「たまにはちょっとお喋りしましょうよ~」という国近ちゃんに快諾し、まだ任務まで時間があるというので太刀川隊の隊室にお邪魔しております。
「私、これうまく出来ないんだ。どうしてもはみだしちゃって」
「ふふ、慣れれば出来ますよ~。蒼さん器用ですもん」
テーブルの上にお菓子や飲み物を並べているものの、今は2人ともそれらに手を伸ばしてはいない。
私が揃って伸ばした両手は、国近ちゃんの細くて白い指たちが支えているマニキュアによって爪の色を変えられていた。
「こういうの、たまに塗りたくなるよね」
「ですよねー」
さすがに学校じゃ塗れませんけど、と呟く国近ちゃんの目はとても真剣だ。丁寧に塗られていく私の爪たちは、彼女の髪の色と同じ色をしている。派手すぎないピンク色。
「ところで蒼さん~」
「はあいー」
不注意で剥がないように気を付けなくちゃ、と考えていればほんわりした国近ちゃんの声が響く。それに返事をすれば、国近ちゃんは私の爪を塗りながらぽつぽつと呟いた。
「前から聞きたかったんですけど~」
「なになに?」
続きを促せば、ふっと視線を上げた彼女と目が合う。にっこり笑って首を傾げた国近ちゃんの口から、予想していなかった一言が飛び出した。
「蒼さんは、好きな人とかいないんですか?」
「…うん?」
思わぬ言葉に聞き返すも、国近ちゃんは依然にこにこ笑ってもう一度重要な言葉を口にした。
「好きな人ですよ~」
「うーん、今はいないかな」
私の返答に、ええーと不満げに声を上げた国近ちゃんに苦笑する。そうだった、女子に恋愛トークはつきものだった。
「蒼さん、荒船くんと仲がいいじゃないですか。荒船くんはどうなんです~?」
「好きだけど、ライクの方の好きかなあ。荒船くんの方なんかは、私のこと頼りない師匠くらいにしか思ってないんじゃない?」
どっちかといえば恋人というよりも保護者のような感じだし、と胸中で呟く。実際、荒船くんは同い年から後輩まで面倒見が良い。
「そうかなあ。荒船くん、蒼さんに対してだけすごく過保護だと思うんですけど」
「ああ、過保護すぎるなとは思うよ」
国近ちゃんの言葉に頷けば、びしっと指差される。
「そこですよ!好きな子には過保護になっちゃうと思いません?」
「そうかなあ…荒船くんは私なんかより、もっと良い子好きになりそうだけど。加賀美ちゃんとか同い年だし、性格良いし」
「かがみんか~」
そこがいたか~、と国近ちゃんが空気の抜けるような声で呟いた。それに笑えば、国近ちゃんがクッキーをざくりと齧って気を取り直すように口を開く。
「うーん、話しかえましょ。蒼さん、もてますよねー」
「それは国近ちゃんもでしょー?美人さんなんだし」
「えへへ、ありがとうございます」
でもまあ、この仕事に身を置いている限り任務だって遠征だってある。危険と隣り合わせの仕事なのだ、いつ死んでしまうか、いなくなってしまうかなんてわからない。親しい人を失くしたくないから、だから、恋愛はしないと決めた。両親を亡くしてから、私は酷く怖がりになってしまった。
「しばらくは、ひとりでいいかな」
「…そっかあ」
聡い国近ちゃんは、自嘲気味につぶやいた私の言葉の陰に隠れた真意を拾ってくれたらしい。寂しそうに眉を下げて頷いた。
「国近ちゃんは?」
「私も、いまのところはいないですね~」
ふふ、とふたりで笑う。
私の爪は綺麗に塗られ、国近ちゃんのマニキュアは瓶の中へ戻って行った。そして幾つかのマニキュアが並べてある中へとピンク色の小瓶を戻しながら言う。
「うちの隊ではそういうのないんですけど、風間隊とか二宮隊とかだとみんなしっかりしてるじゃないですか」
「うん、大人っぽいって感じがするよね」
「蒼さんもそう思うでしょ?だから、学校で会う男の子たちってなんか幼く見えちゃうんですよね~」
「あ、それはわかる」
なんか違うって感じがするよねえ、と2人で頷き合う。
年下なんかでも、歌川くんとか辻くんなんかは大人びてる代表だと思うし。
「それに比べてうちの隊は、そういうの本っ当にないんですよね~」
「隊長でさえ、きりっとしてるのあんまり見ないからねえ」
「一応ボーダートップの隊なんですけどねえ」
脳裏に描いた太刀川隊に、2人で生ぬるい目をしつつ乾いた笑いを零す。戦闘以外はいまいちなここの隊長は、下手をすると1番(頭が)幼く見えるかもしれない。
軽く頭を振って脳裏に浮かぶ慶を追いだし、国近ちゃんに聞いた。
「話題を変えよう。国近ちゃん、ボーダーの中では誰が好みに近い?」
「そうですね~…」
爪もきれいに乾いたし、お茶を飲みつつお菓子をつまみながらお喋りしていれば、しゅんと作戦室の扉が開いて慶と出水くんがやってきた。
「あ、蒼さんだ」
「なんだ、来てたのか」
「こんにちは。お邪魔してまーす」
歩いてくる2人に対して挨拶し、国近ちゃんと目を合わせる。男子が来たからには、女子会はここで終了だ。
「今日はおしまいですね~」
「この続きはまた今度だねえ」
散らかしてしまったお菓子たちを片付けて、忘れ物がないか確認する。太刀川隊はこのあとすぐに防衛任務が入っているから、邪魔にならない内にお暇しよう。
「蒼さん、明日はお時間ありますか?」
「明日?任務は夜間だし、それまでなら空いてるよ。多分ラウンジにいると思う」
「じゃあ~、夕方ごろに遊びに行ってもいいですか?」
「いいよ、もちろんおいで!」
国近ちゃんが言う言葉に、ぐっと親指を立てて即答する。国近ちゃんが来るなら、彼女の好きなお菓子や飲み物でも用意しておこう。
「じゃあ、明日連絡待ってるね」
「学校終わったらすぐ行きますよ~」
「了解、お邪魔しました」
にへーと笑う彼女と別れて、違うスペースのソファに座っている慶たちにも顔を出す。そこでソファいっぱいに伸びた慶を見て、先程国近ちゃんと話していた内容が頭を過ぎて苦笑いしてしまった。
「おふたりさん、お邪魔しましたー」
「おー」
「またいつでもどーぞ」
2人に挨拶して、太刀川隊の作戦室の扉を開けた。扉から出た後に振り返って、こちらに手を振る国近ちゃんに手を振り返す。
それから、明日の用意をすべく買い物に出かけようと歩き出した。
国近ちゃんと女子会
in太刀川隊作戦室!
(ドーナツ持ってきました~)
(わ、おいしそう!)