荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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迅のお悩み相談
まだ10時とご飯時から外れているせいか、あまり人気のない食堂にお昼からの任務に備えるために早めのご飯を食べるべくやってきた。
「聞いてよゆうちゃん」
「その呼び方やめたらな」
本日のおすすめ、アジフライ定食をテーブルに置きながら、目の前に座ろうとする人物に声を掛けた。
「荒船くんがさあ」
「人の話きいてる?」
「聞いてるよ、悠一」
お昼のラーメンをテーブルに置いて、私の前に座った悠一に適当に頷く。城戸さんに呼ばれてたとかで本部に居たのを捕まえて、お昼一緒に食べようと誘ったのだ。ぱきり、と割り箸を綺麗に割った悠一が聞いてくる。
「で、蒼の弟子がなんだって?」
「今度の非番の日に遊びに行こうって誘ってくれたんだけど、ちょっと遠いみたいで。私が離れてても大丈夫かな」
「ああ、そういうこと」
視てくれる?と聞けば悠一はそれから少しの間じっと私を視て、こくりと頷いた。
「大丈夫そうだな」
「良かった」
基本的に私は、本部周辺から動かない事になっている。万が一私が本部から離れている間にどこかの国から侵攻を受けても困るので、遠くに出かける前には城戸さんに許可を貰うのはもちろんの事、悠一にも未来をちょろっと見てもらってからにしている。
「じゃあ連絡しちゃおう」
「はー、デートか」
荒船くんに遊びに行けるよ、と連絡を送っていれば悠一が「羨ましいね」と呟いた。私と荒船くんが2人で出かけるところまで視たのだろう。
「分類的にはそうなるかなあ」
「出水は一緒じゃないんだろ?おれのサイドエフェクトがそう言ってる」
「うん、太刀川隊は任務が入ってるんだって」
出水くんも一緒に行けたらよかったのに、と呟きながら携帯を仕舞ってアジフライに端を伸ばす。ざくり。
「あ、おいしい」
「そりゃよかったな」
それからしばしお互いのご飯を食べていれば、悠一がふと思い出したようにぽつりとつぶやいた。
「…そういやお前等ってまだ付き合ってないのか」
「ごふっ」
唐突な言葉に飲み込みかけていたアジフライの尻尾がのどに刺さった。せき込みながら慌てて冷たい水をぐっと呷り、悠一を睨む。対する悠一はきょとんとした顔をしている。
「なに、どうした?」
「けほ…えー、と…悠一が言うと高確率でそうなりそうで嫌なんだけど…」
「え?蒼、荒船の事嫌いなわけ?」
「え、何言ってんの。嫌いだったら普通手元に置いておかないでしょ」
「ん?」
「え?」
「…」
「…」
「冷めるよ」
「冷めるね」
互いに「何言ってんのこいつ」状態に陥ったので、いったん頭を冷やすために食事を再開させる。
だけど、悠一が言った言葉が頭の中をぐるぐる反響している。「まだ」付き合ってないって言ったことが重要だ。悠一って確か、ほぼ確定してることならすごく先の事でも視えるんじゃなかっ…たっけ、か…。
「……」
「蒼、箸止まってるぞ」
「悠一のせいだと思うなー」
アジフライをざくざく齧りながら唸る私に対して悠一がのんびりと言う。
「まー、あくまで未来の話だからな。行動次第でどうとでも変わるさ。変わらない場合もあるけど」
「そうでしょうけどね…」
いくら未来といえど、悠一の言葉は侮れないのだ。だからといってこのままだと荒船くんを変に意識してしまう。嫌いじゃないけど、なんか困る…あ、だめだ考えれば考えるほど意識する。こうなったら最終手段を使ってしまおう。
「…悠一」
「ん?あ、そっち向きたくないな」
「そんな事いわずに」
「これ食ったらな」
私が言おうとしたことを察した悠一が苦笑いでラーメンをすする。大方、私の赤い目でも視てしまったんだろう。悠一の記憶を消して、私の記憶も消すのが1番無難な気がする。ひとり頷いていれば、ふと動きを止めた悠一が呟く。
「…なあ、そう言えばの話。たまに、蒼と接触した後になんか未来が変わったなー、と思ったことが何回かあるんだけど」
「ははは」
「…なるほどね」
私の乾いた笑いで全てを察したらしい悠一が、同じ様に乾いた笑いを零した。それだけ似たような轍を踏みまくっていると言う事だろうが、記憶を消してしまえば気付かない。
「ご馳走様でした」
「ごちそうさま」
すっかり食べつくして綺麗になった食器たちを片付けて、2人で食堂から歩き出す。
「なあ、自分の記憶を消すってどうやんの?相手と自分の視線を合わせないとダメなんだろ?」
「鏡があるじゃない」
「あー」
鏡を使えば自分と目が合わせられるでしょ、なんて言いながら本部の玄関へ向かう。
1歩先に居る悠一が振り返って、ふうと息を吐いた。とりあえず、悠一の記憶から変えなくては。
「一緒にご飯は食べたけど、特に何もなかったことに改竄しますので」
「りょーかい」
痛くしないでねと茶化すように笑った悠一に、サイドエフェクトを発動させた赤い目で視線を絡めた。
迅悠一のお悩み相談
1回ご飯1食分!
(じゃあね)
(おう、またな)
まだ10時とご飯時から外れているせいか、あまり人気のない食堂にお昼からの任務に備えるために早めのご飯を食べるべくやってきた。
「聞いてよゆうちゃん」
「その呼び方やめたらな」
本日のおすすめ、アジフライ定食をテーブルに置きながら、目の前に座ろうとする人物に声を掛けた。
「荒船くんがさあ」
「人の話きいてる?」
「聞いてるよ、悠一」
お昼のラーメンをテーブルに置いて、私の前に座った悠一に適当に頷く。城戸さんに呼ばれてたとかで本部に居たのを捕まえて、お昼一緒に食べようと誘ったのだ。ぱきり、と割り箸を綺麗に割った悠一が聞いてくる。
「で、蒼の弟子がなんだって?」
「今度の非番の日に遊びに行こうって誘ってくれたんだけど、ちょっと遠いみたいで。私が離れてても大丈夫かな」
「ああ、そういうこと」
視てくれる?と聞けば悠一はそれから少しの間じっと私を視て、こくりと頷いた。
「大丈夫そうだな」
「良かった」
基本的に私は、本部周辺から動かない事になっている。万が一私が本部から離れている間にどこかの国から侵攻を受けても困るので、遠くに出かける前には城戸さんに許可を貰うのはもちろんの事、悠一にも未来をちょろっと見てもらってからにしている。
「じゃあ連絡しちゃおう」
「はー、デートか」
荒船くんに遊びに行けるよ、と連絡を送っていれば悠一が「羨ましいね」と呟いた。私と荒船くんが2人で出かけるところまで視たのだろう。
「分類的にはそうなるかなあ」
「出水は一緒じゃないんだろ?おれのサイドエフェクトがそう言ってる」
「うん、太刀川隊は任務が入ってるんだって」
出水くんも一緒に行けたらよかったのに、と呟きながら携帯を仕舞ってアジフライに端を伸ばす。ざくり。
「あ、おいしい」
「そりゃよかったな」
それからしばしお互いのご飯を食べていれば、悠一がふと思い出したようにぽつりとつぶやいた。
「…そういやお前等ってまだ付き合ってないのか」
「ごふっ」
唐突な言葉に飲み込みかけていたアジフライの尻尾がのどに刺さった。せき込みながら慌てて冷たい水をぐっと呷り、悠一を睨む。対する悠一はきょとんとした顔をしている。
「なに、どうした?」
「けほ…えー、と…悠一が言うと高確率でそうなりそうで嫌なんだけど…」
「え?蒼、荒船の事嫌いなわけ?」
「え、何言ってんの。嫌いだったら普通手元に置いておかないでしょ」
「ん?」
「え?」
「…」
「…」
「冷めるよ」
「冷めるね」
互いに「何言ってんのこいつ」状態に陥ったので、いったん頭を冷やすために食事を再開させる。
だけど、悠一が言った言葉が頭の中をぐるぐる反響している。「まだ」付き合ってないって言ったことが重要だ。悠一って確か、ほぼ確定してることならすごく先の事でも視えるんじゃなかっ…たっけ、か…。
「……」
「蒼、箸止まってるぞ」
「悠一のせいだと思うなー」
アジフライをざくざく齧りながら唸る私に対して悠一がのんびりと言う。
「まー、あくまで未来の話だからな。行動次第でどうとでも変わるさ。変わらない場合もあるけど」
「そうでしょうけどね…」
いくら未来といえど、悠一の言葉は侮れないのだ。だからといってこのままだと荒船くんを変に意識してしまう。嫌いじゃないけど、なんか困る…あ、だめだ考えれば考えるほど意識する。こうなったら最終手段を使ってしまおう。
「…悠一」
「ん?あ、そっち向きたくないな」
「そんな事いわずに」
「これ食ったらな」
私が言おうとしたことを察した悠一が苦笑いでラーメンをすする。大方、私の赤い目でも視てしまったんだろう。悠一の記憶を消して、私の記憶も消すのが1番無難な気がする。ひとり頷いていれば、ふと動きを止めた悠一が呟く。
「…なあ、そう言えばの話。たまに、蒼と接触した後になんか未来が変わったなー、と思ったことが何回かあるんだけど」
「ははは」
「…なるほどね」
私の乾いた笑いで全てを察したらしい悠一が、同じ様に乾いた笑いを零した。それだけ似たような轍を踏みまくっていると言う事だろうが、記憶を消してしまえば気付かない。
「ご馳走様でした」
「ごちそうさま」
すっかり食べつくして綺麗になった食器たちを片付けて、2人で食堂から歩き出す。
「なあ、自分の記憶を消すってどうやんの?相手と自分の視線を合わせないとダメなんだろ?」
「鏡があるじゃない」
「あー」
鏡を使えば自分と目が合わせられるでしょ、なんて言いながら本部の玄関へ向かう。
1歩先に居る悠一が振り返って、ふうと息を吐いた。とりあえず、悠一の記憶から変えなくては。
「一緒にご飯は食べたけど、特に何もなかったことに改竄しますので」
「りょーかい」
痛くしないでねと茶化すように笑った悠一に、サイドエフェクトを発動させた赤い目で視線を絡めた。
迅悠一のお悩み相談
1回ご飯1食分!
(じゃあね)
(おう、またな)