荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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荒船くんとホットミルクを飲む
真夜中の本部。
報告書をまとめている最中にホットミルクが飲みたくなったのだけれど、生憎牛乳を切らしていたのでコンビニまで行こうと廊下を歩いていた。
「さて、ちょっと行ってきますか」
ちょっと遠いけど、気分転換になるしと本部から歩き出したすぐ後に、真横に黒っぽい何かがドガッと地面に降って来た。
「!」
「…蒼さん」
「びっくりしたな、荒船くんか」
地面にひび割れを入れて、こちらを見ながら立ち上がった彼は良く知った顔だった。珍しくも夜間任務に入っていたのだろうけれど、なんで下に降りてきたのかと首を傾げた。
「こんな時間にどこに行くつもりですか」
「最寄のコンビニだけど」
わざわざ屋上から飛び降りてきたのは、出てきた私を引き止めるためか。とくに隠す必要もないからコンビニに行く、と言えば荒船くんは鋭く目を細めた。
「コンビニ?」
「ホットミルク飲もうと思ったんだけど、牛乳切らしてて」
そういう訳で、ちょっと行ってくるねと歩き出そうとしたら目の前に荒船くんが立ち塞がった。なんでしょう、と視線を上げれば怖い顔をした荒船くんが口を開いた。
「何時だと思ってるんです、駄目ですよ」
「えー?牛乳買うだけで寄り道しないよ?」
まさかの制止に不満を漏らすが、荒船くんは私の身体をくるりと回して本部の方へ向けた。軽く背中を押して、私に戻るよう促してくる荒船くんに抵抗しながら不満をぶつける。
「ほら、戻ってください」
「私はホットミルクが飲みたいんだ」
「明日にしてください」
「ホットミルク…」
「駄目だっつってんだろうが」
しかし荒船くんが折れるつもりは毛頭無いようで、トーンがひとつ下がった声で言われる。これは駄目だなと諦めて、眉を下げてとぼとぼ本部へ戻った。
◆
「うーん」
あれから数分後、現在地はラウンジにある自販機前。荒船くんの反対方向のコンビニに向かう手も考えたけれど、面倒になってラウンジまでやってきた。
荒船くんが警戒してるなら、道を変えてもどうせばれてしまうだろうし。
「何か飲みたいんだけども」
ホットミルク飲みたかったなあ、と呟きながら自販機を物色する。本部の外に出ようとした時にちらっと見たけれど、ここの自販機の牛乳は売り切れになっている。
「コーヒーは寝られなくなりそうだし…お茶系も気分じゃない…」
どうしたもんかなと考えた結果、やっぱり今日のところは部屋に撤退することに決めた。今の私にはホットミルク以外は考えられない。
「戻りましょ」
ふう、と溜息を吐いて自室へと踵を返した。
◆
報告書のついでに、やりかけの課題も片付けてしまおうと机に向かっていた。静かに文字を綴っていたら、すぐ横の窓の外でがしゃっと音が鳴ってびくりと身体が震えた。
「!?」
なんだと横を向けば、窓の外にぶら下がる人影があった。窓枠に片手でぶらさがったその人はとんとん、と指先で窓を叩いて開けるようにジェスチャーしてくる。
「…荒船くん、その登場の仕方はどうかと思うよ」
「こっちのほうが早かったんで」
窓の鍵を開けて窓枠にぶら下がった荒船くんを部屋に招き入れた。休憩時間になったんだろうけど、何してんだこの子は。
「なにしにきたの?」
「届け物です」
そう言った荒船くんは、窓枠に少しだけ足を掛けたまま後ろから何かを取り出した。
「どうぞ」
「なにこれ」
差し出されたのは、白いビニール袋。最寄りのコンビニのマークがついているそれを受け取れば、思っていたよりもずしりとした重みを伝えてきた。
「あ、牛乳」
覗き込んだ袋の中にあったのは、買いに行こうと思っていた牛乳のパックが2本。わざわざ買ってきてくれたのか、と思っていれば荒船くんがひっくい声で言ってくる。
「俺としては、夜中に出掛けるのは極力控えて頂きたいんですが」
「ハイ」
意見というか、もはや警告に近い言葉に頷けば荒船くんが深く息を吐いて続ける。
「夜中に欲しい物があるなら、太刀川さんでも使えばいいじゃないですか」
「最初はそうしようと思ったんだけど、いま忍田さん監視の元レポート作成に追われてるらしくて」
「…」
荒船くんの視線が「駄目な大人だ」と告げている気がするが、それについては私も同意する。
「とにかくありがと」
「いえ」
「荒船くん、せっかくだから一緒に飲んでいく?」
時間あるかなと聞けば、少しだけこちらをじっと見た荒船くんが小さく頷いた。
「少しだけなら」
「!ありがとう、すぐ準備するね」
穂刈くん達に連絡を入れてから換装を解く荒船くんを横目に、念願のホットミルクをつくろうとキッチンへ急いだ。
真夜中の牛乳宅配便
荒船くんとホットミルクを飲む
(おいしい、これでもうちょい頑張れる…)
(あまり無理しないで下さい)
ホットミルクにはちみつを入れるか否か
真夜中の本部。
報告書をまとめている最中にホットミルクが飲みたくなったのだけれど、生憎牛乳を切らしていたのでコンビニまで行こうと廊下を歩いていた。
「さて、ちょっと行ってきますか」
ちょっと遠いけど、気分転換になるしと本部から歩き出したすぐ後に、真横に黒っぽい何かがドガッと地面に降って来た。
「!」
「…蒼さん」
「びっくりしたな、荒船くんか」
地面にひび割れを入れて、こちらを見ながら立ち上がった彼は良く知った顔だった。珍しくも夜間任務に入っていたのだろうけれど、なんで下に降りてきたのかと首を傾げた。
「こんな時間にどこに行くつもりですか」
「最寄のコンビニだけど」
わざわざ屋上から飛び降りてきたのは、出てきた私を引き止めるためか。とくに隠す必要もないからコンビニに行く、と言えば荒船くんは鋭く目を細めた。
「コンビニ?」
「ホットミルク飲もうと思ったんだけど、牛乳切らしてて」
そういう訳で、ちょっと行ってくるねと歩き出そうとしたら目の前に荒船くんが立ち塞がった。なんでしょう、と視線を上げれば怖い顔をした荒船くんが口を開いた。
「何時だと思ってるんです、駄目ですよ」
「えー?牛乳買うだけで寄り道しないよ?」
まさかの制止に不満を漏らすが、荒船くんは私の身体をくるりと回して本部の方へ向けた。軽く背中を押して、私に戻るよう促してくる荒船くんに抵抗しながら不満をぶつける。
「ほら、戻ってください」
「私はホットミルクが飲みたいんだ」
「明日にしてください」
「ホットミルク…」
「駄目だっつってんだろうが」
しかし荒船くんが折れるつもりは毛頭無いようで、トーンがひとつ下がった声で言われる。これは駄目だなと諦めて、眉を下げてとぼとぼ本部へ戻った。
◆
「うーん」
あれから数分後、現在地はラウンジにある自販機前。荒船くんの反対方向のコンビニに向かう手も考えたけれど、面倒になってラウンジまでやってきた。
荒船くんが警戒してるなら、道を変えてもどうせばれてしまうだろうし。
「何か飲みたいんだけども」
ホットミルク飲みたかったなあ、と呟きながら自販機を物色する。本部の外に出ようとした時にちらっと見たけれど、ここの自販機の牛乳は売り切れになっている。
「コーヒーは寝られなくなりそうだし…お茶系も気分じゃない…」
どうしたもんかなと考えた結果、やっぱり今日のところは部屋に撤退することに決めた。今の私にはホットミルク以外は考えられない。
「戻りましょ」
ふう、と溜息を吐いて自室へと踵を返した。
◆
報告書のついでに、やりかけの課題も片付けてしまおうと机に向かっていた。静かに文字を綴っていたら、すぐ横の窓の外でがしゃっと音が鳴ってびくりと身体が震えた。
「!?」
なんだと横を向けば、窓の外にぶら下がる人影があった。窓枠に片手でぶらさがったその人はとんとん、と指先で窓を叩いて開けるようにジェスチャーしてくる。
「…荒船くん、その登場の仕方はどうかと思うよ」
「こっちのほうが早かったんで」
窓の鍵を開けて窓枠にぶら下がった荒船くんを部屋に招き入れた。休憩時間になったんだろうけど、何してんだこの子は。
「なにしにきたの?」
「届け物です」
そう言った荒船くんは、窓枠に少しだけ足を掛けたまま後ろから何かを取り出した。
「どうぞ」
「なにこれ」
差し出されたのは、白いビニール袋。最寄りのコンビニのマークがついているそれを受け取れば、思っていたよりもずしりとした重みを伝えてきた。
「あ、牛乳」
覗き込んだ袋の中にあったのは、買いに行こうと思っていた牛乳のパックが2本。わざわざ買ってきてくれたのか、と思っていれば荒船くんがひっくい声で言ってくる。
「俺としては、夜中に出掛けるのは極力控えて頂きたいんですが」
「ハイ」
意見というか、もはや警告に近い言葉に頷けば荒船くんが深く息を吐いて続ける。
「夜中に欲しい物があるなら、太刀川さんでも使えばいいじゃないですか」
「最初はそうしようと思ったんだけど、いま忍田さん監視の元レポート作成に追われてるらしくて」
「…」
荒船くんの視線が「駄目な大人だ」と告げている気がするが、それについては私も同意する。
「とにかくありがと」
「いえ」
「荒船くん、せっかくだから一緒に飲んでいく?」
時間あるかなと聞けば、少しだけこちらをじっと見た荒船くんが小さく頷いた。
「少しだけなら」
「!ありがとう、すぐ準備するね」
穂刈くん達に連絡を入れてから換装を解く荒船くんを横目に、念願のホットミルクをつくろうとキッチンへ急いだ。
真夜中の牛乳宅配便
荒船くんとホットミルクを飲む
(おいしい、これでもうちょい頑張れる…)
(あまり無理しないで下さい)
ホットミルクにはちみつを入れるか否か