荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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三雲くんを案内する
「ん?」
鬼怒田さんに呼ばれ、開発室へ向かおうと自室の扉を開けて歩き出した時に、廊下の奥で白い隊服が曲がって行ったのが見えた。
この階は住み込みの隊員の部屋があるフロアなので、白い隊服…オレンジ色の線が入ったあれはC級のだった。ここにC級がうろついてることは珍しい。
「…?」
可能性は限りなく低いが、C級になりすました侵入者かもしれない。そう判断して足音を立てないようにしながら、C級が向かって行った方へ早足に向かう。
「…」
角でちらっと様子を窺えば、C級の隊服の人は窓から外を見ていた。
焦っているような表情を浮かべる横顔は若い。記憶しているC級の顔を思い出しながら、これは本気で迷子かもしれないなと思い直してそちらの方へ足を進めた。
「困ったな…」
「ねえ、そこのC級くん」
「っはい!」
ばっと振り向いて、私の姿を見つけて安堵した表情を浮かべた顔に見覚えがあった。この前、悠一の口添えで入ったばかりの三雲くんだ。
入ったばかりなら、この広い本部の中で迷っていても不思議ではない。
「迷った?」
「はい、そうなんです。どこかで乗るエレベーターを間違えたみたいで…。すみません、開発室へ行きたいんですが、場所を教えていただけませんか?」
申し訳なさそうに言ってくる少年は、開発室へ行きたいと言った。開発室なら私も呼ばれてるし、ついでに案内してあげるか。
「それなら連れてってあげるよ。私も用事があるんだ」
「いいんですか?ありがとうございます!」
私の言葉に頷いた三雲くんは、歩き出した私の後を追いかけてくる。
廊下を戻り、私の部屋の前を通過。さっきいた場所の反対側にあるエレベーターに乗り込み、目的の階のボタンを押すとゆっくり扉が閉まって静かに動き出した。
「本部の中はちょっと複雑だから迷うのも仕方ないよ。さっきの所は住み込みの隊員の部屋があるフロアね」
「貴女も住み込みなんですか?」
「そうだよ」
エレベーターが低い音を反響させながら移動する間、三雲くんと会話する。
「ポジションは何やってるの?」
「あ、一応レイガストを持っているんですが…しっかりしたポジションはまだ」
「お、珍しい。レイガストか」
あれの防御力はおいしいからね、なんて話していればゆっくりと静止したエレベーターの扉が開く。
「この廊下を右にいくよ。目印はそこの赤い花の観葉植物ね」
「はい」
エレベーターを降り、二人で廊下を歩く。時折すれ違う隊員達と挨拶をかわしつつ、目的の場所へ向かう。
「仮想モールモッドの訓練はどうだった?」
「あ、はい。恥ずかしい話、時間切れでした…」
「いやいや、逆に考えれば時間一杯まで攻撃を凌いだんだよ?倒し方なんて、徐々に慣れていけばできるようになるから大丈夫だよ」
レイガストなら持久戦向きだし、倒せなくても君が引き付けてる間にほかの人が出来る事が生まれるから心配しなくても大丈夫だよ、と笑う。
「そうでしょうか…」
「そうそう。強くなるのは大事だけど、強さにもいろんな方向があるからね」
それこそ攻撃や防御に優れているとか、前衛に出なくてもみんなの助けになるような戦術を考えたりとか、他にもトラップなんかで敵を翻弄したりとか、結構色々あるんだよ。
そう言えば、三雲くんは納得したように頷いた。それに私も頷き返して、ひとつの角を曲がった。
「ということで、開発室に到着です」
「あ、ここなんですね」
「道、覚えられたかな。帰りはここまっすぐ戻るとラウンジの近くに出るよ。騒がしい声が聞こえてくるから大丈夫だと思う」
「わかりました。大丈夫そうです」
ぺこりと頭を下げた三雲くんにいえいえと手を振っていれば、奥から鬼怒田さんがやってくるのが見えた。
「蒼!わざわざすまん、機械の調子が悪くてな。こっちで手伝ってくれ」
「はーい、いま行きまーす。…じゃあね、三雲くん。応援してるよ」
「あ、はい。ありがとうございました」
もう一度頭を下げた三雲くんに手を振って、鬼怒田さんの方へと歩いて行った。
迷子を発見
開発室までご案内
(鬼怒田さん、あの子もここに用事だそうですよ)
(ん?ああ、人を回そう)
変に時系列にそってるから三雲くんはまだC級設定、という話
名乗ってないのに名前を知られてる三雲くんが気付くのはもうちょい先
「ん?」
鬼怒田さんに呼ばれ、開発室へ向かおうと自室の扉を開けて歩き出した時に、廊下の奥で白い隊服が曲がって行ったのが見えた。
この階は住み込みの隊員の部屋があるフロアなので、白い隊服…オレンジ色の線が入ったあれはC級のだった。ここにC級がうろついてることは珍しい。
「…?」
可能性は限りなく低いが、C級になりすました侵入者かもしれない。そう判断して足音を立てないようにしながら、C級が向かって行った方へ早足に向かう。
「…」
角でちらっと様子を窺えば、C級の隊服の人は窓から外を見ていた。
焦っているような表情を浮かべる横顔は若い。記憶しているC級の顔を思い出しながら、これは本気で迷子かもしれないなと思い直してそちらの方へ足を進めた。
「困ったな…」
「ねえ、そこのC級くん」
「っはい!」
ばっと振り向いて、私の姿を見つけて安堵した表情を浮かべた顔に見覚えがあった。この前、悠一の口添えで入ったばかりの三雲くんだ。
入ったばかりなら、この広い本部の中で迷っていても不思議ではない。
「迷った?」
「はい、そうなんです。どこかで乗るエレベーターを間違えたみたいで…。すみません、開発室へ行きたいんですが、場所を教えていただけませんか?」
申し訳なさそうに言ってくる少年は、開発室へ行きたいと言った。開発室なら私も呼ばれてるし、ついでに案内してあげるか。
「それなら連れてってあげるよ。私も用事があるんだ」
「いいんですか?ありがとうございます!」
私の言葉に頷いた三雲くんは、歩き出した私の後を追いかけてくる。
廊下を戻り、私の部屋の前を通過。さっきいた場所の反対側にあるエレベーターに乗り込み、目的の階のボタンを押すとゆっくり扉が閉まって静かに動き出した。
「本部の中はちょっと複雑だから迷うのも仕方ないよ。さっきの所は住み込みの隊員の部屋があるフロアね」
「貴女も住み込みなんですか?」
「そうだよ」
エレベーターが低い音を反響させながら移動する間、三雲くんと会話する。
「ポジションは何やってるの?」
「あ、一応レイガストを持っているんですが…しっかりしたポジションはまだ」
「お、珍しい。レイガストか」
あれの防御力はおいしいからね、なんて話していればゆっくりと静止したエレベーターの扉が開く。
「この廊下を右にいくよ。目印はそこの赤い花の観葉植物ね」
「はい」
エレベーターを降り、二人で廊下を歩く。時折すれ違う隊員達と挨拶をかわしつつ、目的の場所へ向かう。
「仮想モールモッドの訓練はどうだった?」
「あ、はい。恥ずかしい話、時間切れでした…」
「いやいや、逆に考えれば時間一杯まで攻撃を凌いだんだよ?倒し方なんて、徐々に慣れていけばできるようになるから大丈夫だよ」
レイガストなら持久戦向きだし、倒せなくても君が引き付けてる間にほかの人が出来る事が生まれるから心配しなくても大丈夫だよ、と笑う。
「そうでしょうか…」
「そうそう。強くなるのは大事だけど、強さにもいろんな方向があるからね」
それこそ攻撃や防御に優れているとか、前衛に出なくてもみんなの助けになるような戦術を考えたりとか、他にもトラップなんかで敵を翻弄したりとか、結構色々あるんだよ。
そう言えば、三雲くんは納得したように頷いた。それに私も頷き返して、ひとつの角を曲がった。
「ということで、開発室に到着です」
「あ、ここなんですね」
「道、覚えられたかな。帰りはここまっすぐ戻るとラウンジの近くに出るよ。騒がしい声が聞こえてくるから大丈夫だと思う」
「わかりました。大丈夫そうです」
ぺこりと頭を下げた三雲くんにいえいえと手を振っていれば、奥から鬼怒田さんがやってくるのが見えた。
「蒼!わざわざすまん、機械の調子が悪くてな。こっちで手伝ってくれ」
「はーい、いま行きまーす。…じゃあね、三雲くん。応援してるよ」
「あ、はい。ありがとうございました」
もう一度頭を下げた三雲くんに手を振って、鬼怒田さんの方へと歩いて行った。
迷子を発見
開発室までご案内
(鬼怒田さん、あの子もここに用事だそうですよ)
(ん?ああ、人を回そう)
変に時系列にそってるから三雲くんはまだC級設定、という話
名乗ってないのに名前を知られてる三雲くんが気付くのはもうちょい先