荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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ホワイトデー2016
「蒼」
「あれ、悠一おはよう」
深夜任務を終えて、食堂で朝ごはんを食べていたら悠一が現れた。こんな朝早くから本部に来るなんて珍しい。
「これ渡しに来たんだ。バレンタインのお返し」
「わ、ありがとう」
悠一から貰ったのは、お高くてあまり手が出せないお店のロゴが入った少し大きめの青い箱。軽いけど、何が入ってるのかなと思えば目を細めながら悠一が言う。
「マカロンだよ。蒼が好きそうなやつ詰めてもらった」
「ほんと!ありがとう!」
「いーえ」
愉しげに笑う悠一が「前座っていい?」というのに頷いて、一緒に朝ごはんを食べる事にした。マカロン食べるの楽しみだなあ!
◆
「蒼さーんっ!」
「その声は佐鳥くんとみたー!」
後ろから掛けられた元気な声にばっと振り向けば、満面の笑みの佐鳥くんが「正解ー!」と叫びながら駆け寄ってくるところだった。くう、かわいい。
「嵐山隊のみんなからバレンタインのお返しです!佐鳥が預かってきました!」
「わーい、ありがとう」
准や時枝くんたちからのお返しが詰まった真っ赤な紙袋を手渡され、思いのほか重いそれに笑みがこぼれる。によによしていれば、佐鳥くんが後ろからもうひとつ小さな青い箱を取り出したのが見えた。
「で、これは佐鳥からです!佐鳥の鳥で鳥キャンディ!蒼さん鳥好きでしょ?」
「好き!ありがとう、開けるの楽しみ!」
鳥キャンディ!と浮かれる私を見て、佐鳥くんは満足げににっこり笑った。
◆
「お、いたいた蒼ー」
「諏訪さんこんにちはー」
「よ、これうちの連中からバレンタインのお返し」
ラウンジちょっと手前の廊下で、近寄ってきた諏訪さんが私に紙袋を差し出してきた。がさがさ鳴るそれをありがたく受け取ってお礼を言う。
「わざわざありがとうございます」
「緑のが俺で、白いのが堤、笹森がオレンジでオサノが黄緑な」
「了解。ありがとうございましたって伝えて下さい」
「おう」
じゃあなー、と軽く手を振って去って行く諏訪さんを見送っていれば、後ろから声を掛けられる。
「随分大荷物ですね」
「あ、奈良坂くん」
静かな声に振り返れば、三輪隊スナイパーの奈良坂くんが立っていた。これから任務なのだろうか、隊服姿で私を見下ろしている。
「これ、バレンタインのお返しです。その打ち合わせの時に気に入っていたチョコにしました」
「えっ!」
バレンタインの少し前に、奈良坂くんと一緒にチョコ会議をした時の事を言っているのだろう。好みを覚えていてくれて嬉しい。顔が自然と笑顔になるまま、奈良坂くんにお礼を言う。
「ふふ、ありがと」
「いえ。ガトーショコラ、美味しかったです」
「そう言ってもらえると、作った甲斐があったよ」
笑ってそう言えば、奈良坂くんもほんの少し口角を上げて微笑んだ。それから任務へ行くという奈良坂くんに手を振って、私はラウンジへと足を踏み入れた。
◆
「うわ」
「ずいぶん大量ですね」
「いいだろう、いっぱいもらっちゃった」
ラウンジで東さんや犬飼くん、当真くんたちなどから貰ったバレンタインのお返しを抱えて、お昼ご飯を約束していた風間隊の作戦室へとやってきていた。今までの分も全部持っているから、両手はバーゲン帰りみたいになっている。
「向こうに置いてきますよ」
「さすがに邪魔でしょ」
「ありがとう」
そう言った歌川くんと菊地原くんに両手に持った紙袋たちを取り上げられ、ベイルアウト用のベッドルームへと運ばれていく。いやー、思ったより大量だった。
「蒼さんはこっち座ってください」
「あ、うん」
ソファに座っている歌歩ちゃんに呼ばれて彼女の横に座り込む。ここでお昼ご飯食べるって聞いてたけど、歌歩ちゃんは妙ににこにこしているだけで特に準備している様子もない。
「蒼さん、今日のご飯はなんと風間さん達が作ってくれるんですよ!」
「え!」
お昼ご飯を作ってくれる!?と驚いていれば、戻って来た菊地原くんと歌川くんが口々に言う。
「大したものは作れませんけどね」
「それでも頑張るので、楽しみにしててください」
「た、楽しみにしてる…!」
全力で頷いたところで作戦室の扉が開き、外から大荷物の蒼也さんが入って来た。いそいそと近づいた歌川くんと菊地原くんに荷物を渡して、私に目を留めた。
「なんだ蒼、早かったな」
「蒼也さんこんにちは、お邪魔してます」
「お前たちはそこで座って待っていろ。歌川、菊地原、用意は良いな」
「「はい」」
蒼也さんにも座ったままでいるよう指示されて、歌歩ちゃんと2人で歌川くんが淹れてくれたお茶を飲みつつ待機する。蒼也さん達はてきぱきとお揃いの濃紺のエプロンを身に着けて、キッチンへと消えていった。
「どうしようすごく楽しみ」
「ですね」
すごい楽しみなのは歌歩ちゃんも一緒みたいで、2人でにこにこしながらキッチンで懸命に料理する3人の後ろ姿を見守った。
◆
「よいしょ、」
風間隊の3人が作り上げた、すこし不恰好で、すごく美味しかったオムライスを堪能してしばらく。
ラウンジに戻ってまたいくつかのお返しを貰って、やってきた慶さんと模擬戦して、ついでという風にお返し貰って部屋に戻って来た。貰ったお返しは部屋の隅で山になりかけている。
「いやー、慶さんからこんな良いの貰えるとは…」
期待してるよとは言ったものの、まさか近くの水族館のペアチケットが貰えるとは思っていなかった。嬉しい誤算だ。これは後で誰か誘って行こうとにやにやする。
「よし!準備しますか!」
宝の山は後で順次開封していくとして、とりあえずは夕飯に招いた出水くんと荒船くんの為に準備しなくては。
約束は7時に取り付けたし、太刀川隊も荒船隊も今日は任務はなかったからゆっくり過ごせるだろう。
「頑張りましょー」
自分に気合を入れて、キッチンへと足を進めた。
◆
「調子に乗って作りすぎたかな」
目の前に広がるのは、昨日の内から仕込んでいたハヤシライスソース、がっつり炊いた白いご飯、エビフライに豆腐サラダ、ミネストローネとデザートに生クリームをたっぷり乗せたシフォンケーキ。
「…余ったら悠一でも呼べばいいか」
足りなくなるよりは良いでしょう、と1人頷いて時計を見上げる。もうすぐ約束の時間だなと思ったのもつかの間、部屋にピンポーンと電子音が響き渡る。
「ん、いいタイミング」
玄関へ向かい、鍵を開錠して扉を開ければ私服姿の弟子たちが立っていた。
「蒼さんこんばんは!」
「こんばんは」
「こんばんは!いらっしゃーい!」
ささ入って、と促して2人を部屋に招き入れる。靴を脱いだ2人を洗面台に向かわせて、料理を運んでしまおうとキッチンへと戻った。
「あ、すげえ良い匂いする」
「蒼さん、手伝います」
「ありがと、じゃあその辺のやつ運んでもらっていい?」
「了解、出水それ持ってくれるか」
「りょーかい」
重い物なんかを荒船くんたちに運んでもらって、その合間を縫うようにコップやらお皿やらを運んでいく。全部を運び終えてテーブルに着けば、荒船くんと出水くんが別々に紙袋を取り出した。
「どーぞ、蒼さん」
「バレンタインのお返しです」
「わ、ありがとう!」
2人から紙袋を受け取って、テーブルの下に置いておいた赤と青の紙袋を取り出した。これは私から2人へバレンタインのお返しだ。
「これは私から」
「え、料理だけじゃないんすか」
「期待しててって言ったもの。はいどーぞ」
「ありがとうございます」
「うわー、ありがとうございます」
荒船くんと出水くんに紙袋を渡して、にんまりと笑う。ちゃんと受け取ってくれたし、あとは晩御飯を一緒に食べるだけだ。
「さ、冷めないうちにご飯食べよ」
「はい」
「おれもう腹ペコですよ」
ぐうと鳴ったお腹を押さえて出水くんが笑う。彼等と私の好きなものをたくさん作ったし、いっぱい食べたら腹ごなしに模擬戦に付き合ってもらおうと笑った。
ホワイトデー2016
お返しを貰いまくる
(よっしじゃあちょっと戦いに行こ)
(お、やりますやります!)
(さすがにちょっと休憩しましょうよ…)
ホワイトデー中に間に合った!
風間隊でご飯食べたい
「蒼」
「あれ、悠一おはよう」
深夜任務を終えて、食堂で朝ごはんを食べていたら悠一が現れた。こんな朝早くから本部に来るなんて珍しい。
「これ渡しに来たんだ。バレンタインのお返し」
「わ、ありがとう」
悠一から貰ったのは、お高くてあまり手が出せないお店のロゴが入った少し大きめの青い箱。軽いけど、何が入ってるのかなと思えば目を細めながら悠一が言う。
「マカロンだよ。蒼が好きそうなやつ詰めてもらった」
「ほんと!ありがとう!」
「いーえ」
愉しげに笑う悠一が「前座っていい?」というのに頷いて、一緒に朝ごはんを食べる事にした。マカロン食べるの楽しみだなあ!
◆
「蒼さーんっ!」
「その声は佐鳥くんとみたー!」
後ろから掛けられた元気な声にばっと振り向けば、満面の笑みの佐鳥くんが「正解ー!」と叫びながら駆け寄ってくるところだった。くう、かわいい。
「嵐山隊のみんなからバレンタインのお返しです!佐鳥が預かってきました!」
「わーい、ありがとう」
准や時枝くんたちからのお返しが詰まった真っ赤な紙袋を手渡され、思いのほか重いそれに笑みがこぼれる。によによしていれば、佐鳥くんが後ろからもうひとつ小さな青い箱を取り出したのが見えた。
「で、これは佐鳥からです!佐鳥の鳥で鳥キャンディ!蒼さん鳥好きでしょ?」
「好き!ありがとう、開けるの楽しみ!」
鳥キャンディ!と浮かれる私を見て、佐鳥くんは満足げににっこり笑った。
◆
「お、いたいた蒼ー」
「諏訪さんこんにちはー」
「よ、これうちの連中からバレンタインのお返し」
ラウンジちょっと手前の廊下で、近寄ってきた諏訪さんが私に紙袋を差し出してきた。がさがさ鳴るそれをありがたく受け取ってお礼を言う。
「わざわざありがとうございます」
「緑のが俺で、白いのが堤、笹森がオレンジでオサノが黄緑な」
「了解。ありがとうございましたって伝えて下さい」
「おう」
じゃあなー、と軽く手を振って去って行く諏訪さんを見送っていれば、後ろから声を掛けられる。
「随分大荷物ですね」
「あ、奈良坂くん」
静かな声に振り返れば、三輪隊スナイパーの奈良坂くんが立っていた。これから任務なのだろうか、隊服姿で私を見下ろしている。
「これ、バレンタインのお返しです。その打ち合わせの時に気に入っていたチョコにしました」
「えっ!」
バレンタインの少し前に、奈良坂くんと一緒にチョコ会議をした時の事を言っているのだろう。好みを覚えていてくれて嬉しい。顔が自然と笑顔になるまま、奈良坂くんにお礼を言う。
「ふふ、ありがと」
「いえ。ガトーショコラ、美味しかったです」
「そう言ってもらえると、作った甲斐があったよ」
笑ってそう言えば、奈良坂くんもほんの少し口角を上げて微笑んだ。それから任務へ行くという奈良坂くんに手を振って、私はラウンジへと足を踏み入れた。
◆
「うわ」
「ずいぶん大量ですね」
「いいだろう、いっぱいもらっちゃった」
ラウンジで東さんや犬飼くん、当真くんたちなどから貰ったバレンタインのお返しを抱えて、お昼ご飯を約束していた風間隊の作戦室へとやってきていた。今までの分も全部持っているから、両手はバーゲン帰りみたいになっている。
「向こうに置いてきますよ」
「さすがに邪魔でしょ」
「ありがとう」
そう言った歌川くんと菊地原くんに両手に持った紙袋たちを取り上げられ、ベイルアウト用のベッドルームへと運ばれていく。いやー、思ったより大量だった。
「蒼さんはこっち座ってください」
「あ、うん」
ソファに座っている歌歩ちゃんに呼ばれて彼女の横に座り込む。ここでお昼ご飯食べるって聞いてたけど、歌歩ちゃんは妙ににこにこしているだけで特に準備している様子もない。
「蒼さん、今日のご飯はなんと風間さん達が作ってくれるんですよ!」
「え!」
お昼ご飯を作ってくれる!?と驚いていれば、戻って来た菊地原くんと歌川くんが口々に言う。
「大したものは作れませんけどね」
「それでも頑張るので、楽しみにしててください」
「た、楽しみにしてる…!」
全力で頷いたところで作戦室の扉が開き、外から大荷物の蒼也さんが入って来た。いそいそと近づいた歌川くんと菊地原くんに荷物を渡して、私に目を留めた。
「なんだ蒼、早かったな」
「蒼也さんこんにちは、お邪魔してます」
「お前たちはそこで座って待っていろ。歌川、菊地原、用意は良いな」
「「はい」」
蒼也さんにも座ったままでいるよう指示されて、歌歩ちゃんと2人で歌川くんが淹れてくれたお茶を飲みつつ待機する。蒼也さん達はてきぱきとお揃いの濃紺のエプロンを身に着けて、キッチンへと消えていった。
「どうしようすごく楽しみ」
「ですね」
すごい楽しみなのは歌歩ちゃんも一緒みたいで、2人でにこにこしながらキッチンで懸命に料理する3人の後ろ姿を見守った。
◆
「よいしょ、」
風間隊の3人が作り上げた、すこし不恰好で、すごく美味しかったオムライスを堪能してしばらく。
ラウンジに戻ってまたいくつかのお返しを貰って、やってきた慶さんと模擬戦して、ついでという風にお返し貰って部屋に戻って来た。貰ったお返しは部屋の隅で山になりかけている。
「いやー、慶さんからこんな良いの貰えるとは…」
期待してるよとは言ったものの、まさか近くの水族館のペアチケットが貰えるとは思っていなかった。嬉しい誤算だ。これは後で誰か誘って行こうとにやにやする。
「よし!準備しますか!」
宝の山は後で順次開封していくとして、とりあえずは夕飯に招いた出水くんと荒船くんの為に準備しなくては。
約束は7時に取り付けたし、太刀川隊も荒船隊も今日は任務はなかったからゆっくり過ごせるだろう。
「頑張りましょー」
自分に気合を入れて、キッチンへと足を進めた。
◆
「調子に乗って作りすぎたかな」
目の前に広がるのは、昨日の内から仕込んでいたハヤシライスソース、がっつり炊いた白いご飯、エビフライに豆腐サラダ、ミネストローネとデザートに生クリームをたっぷり乗せたシフォンケーキ。
「…余ったら悠一でも呼べばいいか」
足りなくなるよりは良いでしょう、と1人頷いて時計を見上げる。もうすぐ約束の時間だなと思ったのもつかの間、部屋にピンポーンと電子音が響き渡る。
「ん、いいタイミング」
玄関へ向かい、鍵を開錠して扉を開ければ私服姿の弟子たちが立っていた。
「蒼さんこんばんは!」
「こんばんは」
「こんばんは!いらっしゃーい!」
ささ入って、と促して2人を部屋に招き入れる。靴を脱いだ2人を洗面台に向かわせて、料理を運んでしまおうとキッチンへと戻った。
「あ、すげえ良い匂いする」
「蒼さん、手伝います」
「ありがと、じゃあその辺のやつ運んでもらっていい?」
「了解、出水それ持ってくれるか」
「りょーかい」
重い物なんかを荒船くんたちに運んでもらって、その合間を縫うようにコップやらお皿やらを運んでいく。全部を運び終えてテーブルに着けば、荒船くんと出水くんが別々に紙袋を取り出した。
「どーぞ、蒼さん」
「バレンタインのお返しです」
「わ、ありがとう!」
2人から紙袋を受け取って、テーブルの下に置いておいた赤と青の紙袋を取り出した。これは私から2人へバレンタインのお返しだ。
「これは私から」
「え、料理だけじゃないんすか」
「期待しててって言ったもの。はいどーぞ」
「ありがとうございます」
「うわー、ありがとうございます」
荒船くんと出水くんに紙袋を渡して、にんまりと笑う。ちゃんと受け取ってくれたし、あとは晩御飯を一緒に食べるだけだ。
「さ、冷めないうちにご飯食べよ」
「はい」
「おれもう腹ペコですよ」
ぐうと鳴ったお腹を押さえて出水くんが笑う。彼等と私の好きなものをたくさん作ったし、いっぱい食べたら腹ごなしに模擬戦に付き合ってもらおうと笑った。
ホワイトデー2016
お返しを貰いまくる
(よっしじゃあちょっと戦いに行こ)
(お、やりますやります!)
(さすがにちょっと休憩しましょうよ…)
ホワイトデー中に間に合った!
風間隊でご飯食べたい