荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
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時枝くんと世間話
「あ。七草、ちょっといいか」
「はーい、なんでしょう」
「これを嵐山に渡してくれないか。城戸さんから呼ばれてしまって、すぐ戻らないといけないんだ」
「わかりました、任せてください」
廊下を歩いていたら反対側から歩いてきた忍田さんに嵐山隊への命令書と、報告書とその他の書類の束を持って行ってくれないかと頼まれた。
なにやら急に城戸さんから呼び出しが掛かって渡しに行く時間が無くなったそうだ。特に急いでいたわけでもないので、快諾して嵐山隊の作戦室まで足を運んできたのだが。
「失礼します。あ、時枝くんこんにちは。准いる?」
「こんにちは、蒼さん。嵐山さんなら今出ていきましたよ」
「なんと」
作戦室に居たのは時枝くんだけ。准の不在を告げられ、行き場を失った書類がへにゃりとたわんだ。
「書類ですか」
「うん、直接手渡せって言われたから預けて行く訳にもいかないんだ…追いかけるかな。どこ行ったかわかる?」
「行き違いになったら面倒でしょうし、ここで待っていればいいじゃないですか」
「時枝くんの邪魔にならない?」
「構いませんよ」
「じゃあ、少しだけお邪魔します」
こちらにどうぞ、と勧められたソファに腰を下ろす。
勧めた本人はすっと立ち上がって部屋の隅へ向かった。
「どうぞ」
「わ、ありがとう」
戻って来た時枝くんはトレーに珈琲と焼き菓子を載せていた。
手際よく目の前に置かれたそれらにお礼を言う。
自分の分も淹れてきたらしい時枝くんは、静かに私の前のソファに座った。
「蒼さんはミルク1つと砂糖2個でしたよね」
「うん、覚えててくれてありがとう」
よくここには遊びに来るからか、時枝くんは私の珈琲の好みを覚えていてくれたようだ。
せっかくだからと淹れてくれた珈琲を一口飲む。うん美味しい。
「最近忙しそうですけど、疲れてませんか」
「ううん、平気。時枝くんこそ疲れてない?ここ2・3日テレビ出っぱなしでしょ」
「広報はうちの仕事ですから」
「学校もあるのに良く頑張ってると思うな。疲れたらちゃんと言うんだよ」
「はい。蒼さんも気をつけてください」
「ありがと」
ちまちまとマドレーヌを口にしたりしつつのんびり談笑する。
時枝くんは多くの人にずっと無表情だと思われてるけど、わりと仲良くなればこうして笑顔を見せてくれる事がある。
初めてこの笑顔を見たときはその可愛さに不覚にもときめいてしまった事を覚えている。
「うん、やっぱいいね」
「何がですか」
「時枝くんの笑顔が。素敵だわー」
「そうですか、ありがとうございます。蒼さんの笑顔も素敵だと思いますよ」
「ありがとー」
嵐山隊は基本的に皆素直だ。思ったことをそのまま伝えてくれる。
まあ、良くも悪くも正直なので木虎ちゃんみたいに他の隊員に生意気と言われてしまうことも多々あるが、嬉しいとか、楽しいとかの感情をそのまま伝えてくれるとこちらも嬉しくなる。
「あれ、蒼じゃないか。来てたのか」
「あ、准。おかえりー」
「嵐山さん、お帰りなさい」
しばらく談笑していると、作戦室の扉が開いて准が中に入ってきた。
二人で挨拶をしてソファから立ち上がる。私は当初の目的である書類を、時枝くんは准に珈琲を淹れる為だろう。全く時枝くんは出来る良い子だ。
「これ、忍田本部長から。大事な物だから直接渡せって言われたんだけど、准が居なかったからちょっと時枝くんとお茶しながら待ってた」
「なんだ、そうだったのか。ありがとう」
「いーえ」
准がソファに座って書類に目を通し始めると、時枝くんが珈琲とお菓子を手に戻ってきた。
2時から任務だって言ってたから木虎ちゃんも来るだろうし、そろそろ戻らないと邪魔になっちゃうな。
「じゃ、私は戻るね」
「ああ、わざわざありがとう」
「どういたしまして。時枝くん、珈琲とお菓子ご馳走様でした」
「はい。また来てください」
「うん、またね!」
最後に准と時枝くんの笑顔を見てから、手を振って嵐山隊の作戦室を後にした。
時枝くんと世間話
束の間の癒し!
(さーて今日も頑張ろー)
「あ。七草、ちょっといいか」
「はーい、なんでしょう」
「これを嵐山に渡してくれないか。城戸さんから呼ばれてしまって、すぐ戻らないといけないんだ」
「わかりました、任せてください」
廊下を歩いていたら反対側から歩いてきた忍田さんに嵐山隊への命令書と、報告書とその他の書類の束を持って行ってくれないかと頼まれた。
なにやら急に城戸さんから呼び出しが掛かって渡しに行く時間が無くなったそうだ。特に急いでいたわけでもないので、快諾して嵐山隊の作戦室まで足を運んできたのだが。
「失礼します。あ、時枝くんこんにちは。准いる?」
「こんにちは、蒼さん。嵐山さんなら今出ていきましたよ」
「なんと」
作戦室に居たのは時枝くんだけ。准の不在を告げられ、行き場を失った書類がへにゃりとたわんだ。
「書類ですか」
「うん、直接手渡せって言われたから預けて行く訳にもいかないんだ…追いかけるかな。どこ行ったかわかる?」
「行き違いになったら面倒でしょうし、ここで待っていればいいじゃないですか」
「時枝くんの邪魔にならない?」
「構いませんよ」
「じゃあ、少しだけお邪魔します」
こちらにどうぞ、と勧められたソファに腰を下ろす。
勧めた本人はすっと立ち上がって部屋の隅へ向かった。
「どうぞ」
「わ、ありがとう」
戻って来た時枝くんはトレーに珈琲と焼き菓子を載せていた。
手際よく目の前に置かれたそれらにお礼を言う。
自分の分も淹れてきたらしい時枝くんは、静かに私の前のソファに座った。
「蒼さんはミルク1つと砂糖2個でしたよね」
「うん、覚えててくれてありがとう」
よくここには遊びに来るからか、時枝くんは私の珈琲の好みを覚えていてくれたようだ。
せっかくだからと淹れてくれた珈琲を一口飲む。うん美味しい。
「最近忙しそうですけど、疲れてませんか」
「ううん、平気。時枝くんこそ疲れてない?ここ2・3日テレビ出っぱなしでしょ」
「広報はうちの仕事ですから」
「学校もあるのに良く頑張ってると思うな。疲れたらちゃんと言うんだよ」
「はい。蒼さんも気をつけてください」
「ありがと」
ちまちまとマドレーヌを口にしたりしつつのんびり談笑する。
時枝くんは多くの人にずっと無表情だと思われてるけど、わりと仲良くなればこうして笑顔を見せてくれる事がある。
初めてこの笑顔を見たときはその可愛さに不覚にもときめいてしまった事を覚えている。
「うん、やっぱいいね」
「何がですか」
「時枝くんの笑顔が。素敵だわー」
「そうですか、ありがとうございます。蒼さんの笑顔も素敵だと思いますよ」
「ありがとー」
嵐山隊は基本的に皆素直だ。思ったことをそのまま伝えてくれる。
まあ、良くも悪くも正直なので木虎ちゃんみたいに他の隊員に生意気と言われてしまうことも多々あるが、嬉しいとか、楽しいとかの感情をそのまま伝えてくれるとこちらも嬉しくなる。
「あれ、蒼じゃないか。来てたのか」
「あ、准。おかえりー」
「嵐山さん、お帰りなさい」
しばらく談笑していると、作戦室の扉が開いて准が中に入ってきた。
二人で挨拶をしてソファから立ち上がる。私は当初の目的である書類を、時枝くんは准に珈琲を淹れる為だろう。全く時枝くんは出来る良い子だ。
「これ、忍田本部長から。大事な物だから直接渡せって言われたんだけど、准が居なかったからちょっと時枝くんとお茶しながら待ってた」
「なんだ、そうだったのか。ありがとう」
「いーえ」
准がソファに座って書類に目を通し始めると、時枝くんが珈琲とお菓子を手に戻ってきた。
2時から任務だって言ってたから木虎ちゃんも来るだろうし、そろそろ戻らないと邪魔になっちゃうな。
「じゃ、私は戻るね」
「ああ、わざわざありがとう」
「どういたしまして。時枝くん、珈琲とお菓子ご馳走様でした」
「はい。また来てください」
「うん、またね!」
最後に准と時枝くんの笑顔を見てから、手を振って嵐山隊の作戦室を後にした。
時枝くんと世間話
束の間の癒し!
(さーて今日も頑張ろー)