荒船と出水の師匠シリーズ
荒船と出水の師匠シリーズ・短編詰め
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
出水くんが看病しに来る
「…なんということでしょう…」
昨日はなんか体調悪いから早く寝よう、と早めに就寝したのに体調は改善するどころか悪化していた。ぴぴ、と計測を終た体温計は39.2℃という数字を叩きだしている。
これはよろしくない展開だ。
「うー…」
今日は非番だし、何かを約束している予定もない。
しかし今日買い物に行こうと思っていたので、冷蔵庫には殆ど何も入っていない。風邪薬も切らしている。ついでにベッドに横になっているのに頭はふらふらして、まともに立てそうにもない。
「これはまずい…」
体温計をサイドテーブルに置いて、枕元に置きっぱなしの携帯を引き寄せる。それから目当ての連絡先を探し、「朝早くからごめんね、お願いがあるんだけど」とメッセージを打ち始めた。
◆
ぴんぽん、とチャイムの音が響いて沈んでいた意識がゆっくりと浮上する。それから静かに玄関の扉が開く音が聞こえて、閉じていた目をゆるゆると開けた。
「蒼さーん、お邪魔しまーす…」
玄関から遠慮がちに呼びかける声が聞こえて、ベッドに沈んでいた身体をのろのろと起こした。半ばぼやけた視界に入ったのは、隊服姿の出水くんだった。
「、いずみくん」
「体調どうで…うわ、顔真っ赤じゃないですか」
起きちゃ駄目でしょ、とぱたぱた近づいてきた出水くんが私の肩を押して、力の入りにくい身体は簡単にベッドへ逆戻りとなった。ついでに乱れた布団も首元まで戻される。
「熱は測りました?」
「あー、朝は39度ちょいだった…。いろいろたのんでごめんね」
「それは別にいいですけど…荒船さんには?」
「いうわけないでしょう」
「ですよねー」
ふふふ、と笑いながら言えば出水くんは苦笑いをした。がさりとテーブルに置かれた袋の中は、私が出水くんに頼んで買ってきて貰ったウィダーとか薬なんかが入っているはずだ。
「なにか食べました?」
「たべてないけど、なんとかするからいいよ。出水くんにいろいろ買ってきてもらったし」
「は?このまま帰れって言うんですか」
「え、うん」
このあと任務でしょ?と首を傾げるが、出水くんは私を見たまま深く溜め息を吐いた。あ、なんかこの動作、荒船くんに似てるなあ。
「まだ1時間以上ありますし、それまで看病くらいさせてくださいよ」
「え」
「おれに出来る事は少ないと思いますけど、いないよりはマシでしょ?」
そう言った出水くんは、コンビニの袋からゼリー飲料を取り出してこちらを振り向いた。
「とりあえず、これ食べれますか?」
「…たべる」
ほんとに帰るつもりが無いらしいと頷けば、わざわざキャップを開けてから私にパックを差し出してくれた。ゆっくり上半身だけ身体を起こしてそれを受け取り、お礼を言って口を付ける。
「ん、おいしい…」
手軽に栄養が取れて、喉にも優しい。もぐもぐゼリーを噛み砕きながら、やっぱり風邪のときはこれがいい、とひとり頷く。出水くんはといえば、コンビニの袋を漁っていくつかの箱を取り出していた。
「風邪薬はこれ買ってきました」
「ありがと」
がさがさと薬の箱を開封して、中から小分けにされた錠剤を取り出す出水くんを見る。部屋に入った時からトリオン体だし、風邪はうつらないだろう。
「ポカリ買って来たんで、これで飲んでください」
「うん」
わざわざ出してくれた1回分の薬と、飲み物をテーブルの上に置かれる。飲み干したゼリーのパックをゴミ箱に放って、ペットボトルへと手を伸ばす。
「…あれ、あいてる」
捻ろうとしたペットボトルのキャップが既に開いていたことに首を捻れば、ひえぴたの箱を取り出しながら出水くんが呟く。
「前に蒼さんが風邪引いた時、ゼリーのキャップも開けられないくらい弱ってたって聞いてたんで」
「荒船くん情報か」
「はい」
前に風邪を引いたときには荒船くんが来たしなと思い出す。そんな情報まで共有してるのかと思いながら錠剤を飲み込めば、出水くんが苦笑いしながら近づいてきた。
「蒼さん、おでこ失礼しますよ」
「うん」
出水くんに髪の毛をかき上げられ、それを左手で抑えれば冷たいひえぴたを丁寧に貼られる。
「うぐ、冷たい…」
「蒼さんがあっついんですよ」
体温もっかい測っておきます?と置きっぱなしにしていた体温計を渡される。出水くんから受け取ったそれを、シャツの裾から突っ込んで脇に挟んだ。
「あとは、さすがに荒船さんみたいにおじやは作れないんで、消化に良さそうなものをいくつか買ってきました。お腹空いたら食べて下さい」
「ん、ありがとう」
冷蔵庫に入れておきますね、と出水くんがキッチンへと歩いていく。その姿を見送ってぼうっと宙を眺め、ぴぴっと鳴った体温計を取り出す。表示された体温を見て、眉をひそめた。
「あ、測れました?」
「んー」
体温計を睨む私に首を傾げた出水くんが、キッチンから戻ってくる。手を出されたので体温計を渡せば、表示された温度を見て出水くんがひくりと口角をひきつらせた。
「よ、41度…」
「こわれたかな」
「いやー、多分これ壊れてないですよ…」
体温計をテーブルへ置いた出水くんが私へ手を伸ばしてくる。その手を目で追って、直後に頬に触れた感触にびっくりして悲鳴を上げた。
「つっめたい!」
「あー、やっぱ蒼さんがすげえ熱してますね…」
「しんじらんない…いずみくんすごいつめたい…」
「おれ平熱36度くらいっすよ?」
告げられた言葉が信じられずにぺたぺたと出水くんの手を触るけれど、冷たいものは冷たい。体温計は壊れていなかったか。
「薬飲んだから熱は下がってくると思いますし、もう寝て下さい」
「そうする…」
しんじられない…と呟きながらベッドへ倒れ込むと、出水くんが苦笑いしながら布団を整えてくれる。
「じゃあおれ帰りますけど、何かあったら呼んでくれていいですからね。飛んできますんで」
「ん、ありがと」
ぽんぽん、と布団を軽くたたきながら出水くんが言う言葉に頷く。早くも効いてきた薬のせいだろうか、ゆるりと近づいてきた眠気に瞼が下がる。
「ゆっくり寝て、ちゃんと治してくださいよ」
「がんばる…」
髪の毛をわしゃりと撫でられて、その心地よさに誘われるままゆっくり目を閉じた。
風邪を引きました
出水くんが看病に来る
(お蔭さまで治りました)
(おー、そりゃ良かったです)
BBF発売で情報過多でたぎって熱が出たんだ
ちなみに出水くんは蒼さんちのパス教えてもらってる
「…なんということでしょう…」
昨日はなんか体調悪いから早く寝よう、と早めに就寝したのに体調は改善するどころか悪化していた。ぴぴ、と計測を終た体温計は39.2℃という数字を叩きだしている。
これはよろしくない展開だ。
「うー…」
今日は非番だし、何かを約束している予定もない。
しかし今日買い物に行こうと思っていたので、冷蔵庫には殆ど何も入っていない。風邪薬も切らしている。ついでにベッドに横になっているのに頭はふらふらして、まともに立てそうにもない。
「これはまずい…」
体温計をサイドテーブルに置いて、枕元に置きっぱなしの携帯を引き寄せる。それから目当ての連絡先を探し、「朝早くからごめんね、お願いがあるんだけど」とメッセージを打ち始めた。
◆
ぴんぽん、とチャイムの音が響いて沈んでいた意識がゆっくりと浮上する。それから静かに玄関の扉が開く音が聞こえて、閉じていた目をゆるゆると開けた。
「蒼さーん、お邪魔しまーす…」
玄関から遠慮がちに呼びかける声が聞こえて、ベッドに沈んでいた身体をのろのろと起こした。半ばぼやけた視界に入ったのは、隊服姿の出水くんだった。
「、いずみくん」
「体調どうで…うわ、顔真っ赤じゃないですか」
起きちゃ駄目でしょ、とぱたぱた近づいてきた出水くんが私の肩を押して、力の入りにくい身体は簡単にベッドへ逆戻りとなった。ついでに乱れた布団も首元まで戻される。
「熱は測りました?」
「あー、朝は39度ちょいだった…。いろいろたのんでごめんね」
「それは別にいいですけど…荒船さんには?」
「いうわけないでしょう」
「ですよねー」
ふふふ、と笑いながら言えば出水くんは苦笑いをした。がさりとテーブルに置かれた袋の中は、私が出水くんに頼んで買ってきて貰ったウィダーとか薬なんかが入っているはずだ。
「なにか食べました?」
「たべてないけど、なんとかするからいいよ。出水くんにいろいろ買ってきてもらったし」
「は?このまま帰れって言うんですか」
「え、うん」
このあと任務でしょ?と首を傾げるが、出水くんは私を見たまま深く溜め息を吐いた。あ、なんかこの動作、荒船くんに似てるなあ。
「まだ1時間以上ありますし、それまで看病くらいさせてくださいよ」
「え」
「おれに出来る事は少ないと思いますけど、いないよりはマシでしょ?」
そう言った出水くんは、コンビニの袋からゼリー飲料を取り出してこちらを振り向いた。
「とりあえず、これ食べれますか?」
「…たべる」
ほんとに帰るつもりが無いらしいと頷けば、わざわざキャップを開けてから私にパックを差し出してくれた。ゆっくり上半身だけ身体を起こしてそれを受け取り、お礼を言って口を付ける。
「ん、おいしい…」
手軽に栄養が取れて、喉にも優しい。もぐもぐゼリーを噛み砕きながら、やっぱり風邪のときはこれがいい、とひとり頷く。出水くんはといえば、コンビニの袋を漁っていくつかの箱を取り出していた。
「風邪薬はこれ買ってきました」
「ありがと」
がさがさと薬の箱を開封して、中から小分けにされた錠剤を取り出す出水くんを見る。部屋に入った時からトリオン体だし、風邪はうつらないだろう。
「ポカリ買って来たんで、これで飲んでください」
「うん」
わざわざ出してくれた1回分の薬と、飲み物をテーブルの上に置かれる。飲み干したゼリーのパックをゴミ箱に放って、ペットボトルへと手を伸ばす。
「…あれ、あいてる」
捻ろうとしたペットボトルのキャップが既に開いていたことに首を捻れば、ひえぴたの箱を取り出しながら出水くんが呟く。
「前に蒼さんが風邪引いた時、ゼリーのキャップも開けられないくらい弱ってたって聞いてたんで」
「荒船くん情報か」
「はい」
前に風邪を引いたときには荒船くんが来たしなと思い出す。そんな情報まで共有してるのかと思いながら錠剤を飲み込めば、出水くんが苦笑いしながら近づいてきた。
「蒼さん、おでこ失礼しますよ」
「うん」
出水くんに髪の毛をかき上げられ、それを左手で抑えれば冷たいひえぴたを丁寧に貼られる。
「うぐ、冷たい…」
「蒼さんがあっついんですよ」
体温もっかい測っておきます?と置きっぱなしにしていた体温計を渡される。出水くんから受け取ったそれを、シャツの裾から突っ込んで脇に挟んだ。
「あとは、さすがに荒船さんみたいにおじやは作れないんで、消化に良さそうなものをいくつか買ってきました。お腹空いたら食べて下さい」
「ん、ありがとう」
冷蔵庫に入れておきますね、と出水くんがキッチンへと歩いていく。その姿を見送ってぼうっと宙を眺め、ぴぴっと鳴った体温計を取り出す。表示された体温を見て、眉をひそめた。
「あ、測れました?」
「んー」
体温計を睨む私に首を傾げた出水くんが、キッチンから戻ってくる。手を出されたので体温計を渡せば、表示された温度を見て出水くんがひくりと口角をひきつらせた。
「よ、41度…」
「こわれたかな」
「いやー、多分これ壊れてないですよ…」
体温計をテーブルへ置いた出水くんが私へ手を伸ばしてくる。その手を目で追って、直後に頬に触れた感触にびっくりして悲鳴を上げた。
「つっめたい!」
「あー、やっぱ蒼さんがすげえ熱してますね…」
「しんじらんない…いずみくんすごいつめたい…」
「おれ平熱36度くらいっすよ?」
告げられた言葉が信じられずにぺたぺたと出水くんの手を触るけれど、冷たいものは冷たい。体温計は壊れていなかったか。
「薬飲んだから熱は下がってくると思いますし、もう寝て下さい」
「そうする…」
しんじられない…と呟きながらベッドへ倒れ込むと、出水くんが苦笑いしながら布団を整えてくれる。
「じゃあおれ帰りますけど、何かあったら呼んでくれていいですからね。飛んできますんで」
「ん、ありがと」
ぽんぽん、と布団を軽くたたきながら出水くんが言う言葉に頷く。早くも効いてきた薬のせいだろうか、ゆるりと近づいてきた眠気に瞼が下がる。
「ゆっくり寝て、ちゃんと治してくださいよ」
「がんばる…」
髪の毛をわしゃりと撫でられて、その心地よさに誘われるままゆっくり目を閉じた。
風邪を引きました
出水くんが看病に来る
(お蔭さまで治りました)
(おー、そりゃ良かったです)
BBF発売で情報過多でたぎって熱が出たんだ
ちなみに出水くんは蒼さんちのパス教えてもらってる